おまけep91 好きなモノがある人は割と他のことに許容あるある
妙が意図せず玉の輿に乗って1時間後。
妙はみちるの父であるご当地アイドルおっかけ歴23年の忠治郎によって作られた渾身のシアタールームにいた。ちなみになぜ23年なのかというと、みちるが6歳の時に「パパ嫌い」が始まって、その喪失感を埋めるためにおっかけを始めたから。
そしてこのシアタールームでは毎日のように、忠治郎がご当地アイドルのDVDを、麗華が宝塚のDVDを観ては歓喜の悲鳴が上がり、成人したみちるを東京へと決意させたというそれは深い経緯があったことを知らされた妙。
それはどうでもいいけど、地主のなんか過ごそうな家なのは教えておいて欲しかったと思う妙。でもなんか麗華の宝塚DVDの説明が始まっちゃったから言えねぇ・・・な感じで笑顔だけはなんとか固定させていた。
鑑賞会が始まる前に、みちるに「この鑑賞会を文句言わずにしておけば、妙ちゃんはお母さんに文句を言われることはまずないわ。それがうちの暗黙のルールなの。」と言われていた。家族みんな、お互いに好きが振り切っていたため、否定し合わない、好きにやらせるという協定が結ばれていた。
3時間後。
「ハァ・・・♡ 今日も美しき世界に癒されることが出来て幸せでした。」合掌
麗華は恍惚とした表情で満足していた。
「今日はさらに、リアルがそばに居たもの。こんな幸福があるなんて、、お母さん信じらんない!♡」
妙は宝塚と比べて「リアル」という謎の扱いを受けた。これは麗華にとっては最高位を与えたようなものだった。結婚の承諾のようなものだ。
みちる「あ、お母さん。そろそろ帰るね?明日も仕事だから。」
麗華「あら、そう?じゃあ、駅まで送っていくわね?」
みちる「今度はちゃんと有給取って、泊まりでこっちに来るから。」
麗華「わかったわ。お母さんもそっちに遊びに行くから♡」
妙(ああ、やっと解放された。。な、長かった。)
早朝から長時間電車に揺られてきた妙。今まで興味がなかったDVDを3時間見せられ、眠気は頂点に達していた。
妙(お父さんが居たら、あと3時間、ご当地アイドルのDVD見せられたのかな・・・。そっちの方が少し興味あるかな。。)
ちょっとマイナスに引っ張られかけた妙だったが、玉の輿に乗ったこともあり、文句など言えない。新しい家族の好きなものを私も愛せるようになろう!とおかしなテンションになってみちるの家を立つことになった。
実はローズクォーツピンクのBMWだった麗華の車に乗って、駅へと送ってもらった。なんかもう、二人が駅で降りると街ゆく人がざわついたが、みちるは割とこの田舎で騒がれることに慣れていた。ある意味、ご当地アイドルよりアイドルらしかったこんにゃく美人みちる。
「それでは、麗華さん。今日はありがとうございました。」
「お母さん、またねー。」
「はぁい。気をつけて帰ってね♡」
なんてやりとりをして、二人はやっと電車に乗って息をついた。
「疲れたでしょー、妙ちゃん。お母さんに付き合ってくれてありがとうね?♡」
「ごめん、途中何度か意識が飛びかけたけど、でも来られて良かった。」
この二人、家に戻るまで麗華に結婚しますの報告を一度もしてないことに気がつかなかった。でもいいの。もう洗礼は受けたから♡
「「早く帰っていちゃいちゃしよー!!♡♡」」
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