おまけep90 ここだよみちるんち、あがってあがって?

 駅前でいちゃついていた二人は、テンプレのごとくいちゃいちゃを見られつつ、みちるの母である珠子に無事会うことができた。


「さぁさぁ、どうぞ乗って!二人共後ろの座席で良いわよ!離れてなんていられないのでしょう?」


 にっこにこに笑って機嫌の良い珠子。宝塚ファン歴長く、一目見たときから妙に魅了されている。さすがみちると血を分けた親子である。


みちる「お母さん、迎えに来てくれてありがとうね。」

珠子「当然じゃなーい。妙ちゃん、ここから車でも20分くらいかかるのよ。くつろいでいてね?」

妙「ありがとうございます、お母様。」

珠子「あら♡お母様なんて気恥ずかしいわ!麗華って呼んでね♡」

妙「は、はい。麗華さん。」


 妙はこれから先ずっと、珠子が珠子であることを知ることがなかった。


珠子改め麗華「お腹は空いてる?」

みちる「ううん。新幹線の中でお弁当食べちゃった。」

麗華「あらそう。ならとりあえず家に向かうわね!」


 雑談をしながら、和気あいあいと交流する麗華と妙。前に一度会っている。そこまで緊張することもなかった。


麗華「さ、着いたわよ。」


 麗華は車をゆっくり走らせながら着いたというが、辺りは畑や雑木林で民家は見当たらない。不思議そうにキョロキョロする妙はここで驚愕の事実を知る。


妙「え?ええっ!?こ、ここ?」

みちる「うん。ここー。」

妙「え、城?」


 雑木林の奥に現れたのは、大きな古い家屋。瓦屋根のそれは立派な、お城にも見えなくもない御殿だった。


麗華「うふふ。うちは地主なの。このへんの土地、みーんなみちるが相続するから、貴方達夫婦は将来安泰よ♡」

妙「え、ええ…。」口あんぐり 


 妙は知らずに玉の輿に乗っていた。


妙(え。お腹痛い。前情報少なかった…。)


 これは…お父様にお会いするのは益々緊張するってもんだ…。だ、大丈夫かな…。

 車から降りて三人は家の玄関へと歩く。これはきっと、飼い犬のたーくんとか可愛い名前言ってたけど、土佐犬とか出てきたらどうしよう、、怖い。。


 和式の玄関を引き、中に通されると、まじかよ?見たことのない大きさの熊の木彫りと数十万はしそうなアメジストのドームが。あわわ。


みちる「ここがみちるんちだよ♡洋風のお人形さんみたいな私とイメージ違うからびっくりしたでしょ?♡」

妙「あ、はい。イメージより質感に驚いています。。」

みちる「あ、ところでお父さんは?居間にいるの?」

麗華「あ、ごめーん。お父さん、推し活どうしても行くって止められなかったー♡」

みちる「え、まじ?北関東クローバー?」

麗華「ううん。今日は群馬chan47の握手会。」

妙(え、え、え、???)

みちる「妙ちゃん、ごめん!お父さん、ご当地アイドルの追っかけしてるの。。」

麗華「気にしないでね。このまま一生会わなくても別に大丈夫だから。」

妙「え、え、え、???」

みちる「ね、うちはお母さんが大丈夫なら全て大丈夫って言ったでしょ♡」

妙「あ、うん。はい。え?」

みちる「あ、いたいた♡たーくぅぅん!♡会いたかったぁ!♡」

たーくん「ハッハッハッハッハッハ」


 土佐犬じゃなくてパグだった。


妙「きゃわっ!」

みちる「ね、かっわいいでしょ♡」

妙「うわー抱っこしていい?」

みちる「いいけど、発情期だった気が、、あっ!」

妙「え、う、うわー!」


 妙は生まれて初めて雄にマウントされた。割とショックな出来事であった。


みちる「ちょっ!さすがにたーくんでも妙ちゃんにそれやるのはダメダメ~!」

麗華「ああ、微笑ましいわ。スミレの花が咲いたよう♡」


 

 みんな自分勝手な一族だったので何も問題なかった。


 続く


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