おまけep88 若さとパワー。好き・・・。
今日は水曜日。
みちるはお休みで、妙は仕事の日だ。
少し寂しいけれど、たまには会えない時間があるほうが会える時間が大事に思えるし、良い緩衝材になるとみちるは思っている。
朝、妙を思い切り愛情表現して送り出すと、たまには一人で出かけてみようと思った。特にプランはない。妙より少しだけ、そう少しだけ長く生きている分、自身の心の穏やかさが妙の心の安寧に繋がることをみちるは知っていた。(自称、昔はもっと重かった女みちる。)
(そうだなぁ、、ちょっと遠くで、そこまで遠くないところ、、。一人でも楽しいところ。。んー。。)
そうだ。鎌倉に行こう♩鎌倉なら電車で1時間くらいだ。観光場所はたくさんあるから、今日は一人で行って、次は妙ちゃんと二人で行けば良い。下見だね!それでもって、しらす丼でも食べてこよう!
じゃあ、妙ちゃんに報告して、、着替えてでかけようっと。
みちるは妙にメッセージを送った。
『妙ちゃん、ちょっと鎌倉ぶらぶらしてくるね!♡』
『何それ楽しそうなこと思いついたね!いってらっしゃい!』
『今度二人で行けるようにリサーチしてくるわ!♡』
『ナンパだけ気をつけてよー!』
『妙ちゃんより魅力的な人なんて居ないわ♡』
うふふ、心配なのね妙ちゃん。大丈夫よ、私は貴方のことだけで頭がいっぱいだから、、、。今日の晩ご飯は鎌倉野菜でサラダを作ってあげたいの。さすが良妻だねって褒めてもらうんだ♡
ご機嫌なみちる。がその時、妙は名刺フォルダから鎌倉に近い取引先を探した。そして2、3件の取引先をピックアップすると電話をかけた。
『お世話になります!今日、近くまで行くのですが、ご挨拶に伺っても?』
よし完璧だ。
「主任!ちょっと2、3社回ってきます。神奈川なので直帰でも良いですか?」
「良いよー。」
ははははは!どうだ!完璧だ!
みちるより遅れて電車に乗ること約1時間。たまにみちるから送られてくる写真を元に、みちるのルートを割り出す妙。
「よし、このままいけば、みちるがお昼ご飯を食べる前に接触できる!」
考えることがまだ幼い妙だった。みちると違って会えない時間もたまには必要とかあまり思ってない。みちるより少しだけ、そう少しだけ若輩ものだった。
「ほほう、、この画像から見るに、、今いるのはあの商店街だな・・・?追いつける!」
駅に着くなり、電車を降りて急ぎ足でホームへと向かう。
「なんか、今の私、、ラブコメの主人公っぽくない?」
そして、商店街に入ると、大体みちるがいるであろうポイントへと近づき、息を切らせながらあたりを見渡す。キョロキョロ。。
平日と言うこともあり、それほど人は多くない。出来る。私ならあの天使の姿を簡単に見つけることが出来る!あ!ほら!いた!!息を整えながら、じりじりとみちるの背後に近づく妙。
「お姉さん、かわいいですね。お茶しませんか?」
妙はみちるの背後から近寄りナンパした。少し声を低くしている。
「・・・結構です。」
みちるは目も向けずに冷たく断るので一向に気づかない。
「そんなこと言わないで、一緒にご飯食べようよ?」
ちょっと腕を引っ張ってみた。いひひひ
「ちょっ、触らないで!」
やっと振り向くみちる。
「じゃじゃーん!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「あはははは。ちょーびっくりしてる!驚いた?」
「え、ええ・・・?た、妙ちゃん、、え、なぜ?ちょっ、驚いて心臓が、、」
「ごめーん、こっちに仕事作って驚かせようと思って来ちゃった!」
「え、なにそれ。信じられない可愛いなんだけど、、。え、仕事大丈夫?」
「お昼一緒に食べよ?で、仕事してくるからあとで晩ご飯も一緒に食べよ?」
「なにそれ、、。え、無理。好きになっても良いですか?」
「良いですよ?もっと好きになってください♡」
「ああん、やっぱり妙ちゃん、私よりアグレッシブなのね、、。好き。。」
そうして、二人でしらす丼を食べると、妙は颯爽と仕事に出かけていった。みちるは社寺巡りへ。夕方は待ち合わせてデートすることにした。
「ああ、やっぱり私には妙ちゃんが運命の人なんだわ。。だってこんなに、こんなに驚くような嬉しいことをしてくれるもの・・・。心臓痛い。」
きっと、若いうちだけだわ。ありがとう、妙ちゃん。私、今日のこと・・・忘れない。。
みちるは大仏を拝みながら泣いた。
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