おまけep81 奇跡を産み落とした母昇華される

「さぁ、お寿司を取ったから沢山食べてね♡」


 みちるの「結婚を反対されたらどうしよう」という心配は杞憂に終わり、妙の母で百合育ち百合好きの志恵は両手放しでみちるを歓迎した。


「は、はい。いただきます。わぁ、美味しそう♡」


 妙はなんとなくわかっていた。末は母親似である。自分へのシスコンを拗らせた末でさえ、みちるの可愛さに沼った。うちの家族は全員、みちるに簡単に落ちるだろうと。


「ああ、なんて可愛らしいの。。みちるさん、どこの血が混ざってらっしゃるのかしら・・・?」


「あ、はい。埼玉と群馬です。」モグモグ


「え、普通なのね!ギャップ萌え~!♡」


 妙は思った。よし。もうなんでも好きモードに入ったな。これで結婚の障害はなくなった。


「ねぇ、ママ。スエね、妙ちゃんとみちるちゃんの家に住みたい。」

「あら、ダメよ?新婚さんはしばらくは二人きりじゃないと。でもいずれ同居も良いわね!(私の未来予想図♡)」


 妙は思った。そう。これなんだ。この二人は自分の世界が強すぎて人の意見を考えない。。まだ萌の方が私に似て良識があるんだ。


「ねぇ、妙ちゃん。お母様と末ちゃんって似てらっしゃるのね♪」(圧すげえな?)


 みちるは思った。萌ちゃんって割と扱いやすいほうなのね。


 姉の結婚に肉体が拒否反応を示し動けないうちに、萌の評価は爆上がりした。


 しばらくして、夕食も終わり、二人が今後末永く共にいたいという気持ちは家族に伝わった。


「じゃあ、お母さん。ちょっと萌のところに寄って帰るから、今日はこの辺で。」

「お母様、今日はありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。」


 二人は仲睦まじく帰り支度を始めた。


 母、志恵の独壇(2回目)


 ああっ、見て、この二人を。。なんて仲睦まじく、お似合いなの。。

 私、高校のテニス部の先輩に憧れていたとき、一度だけ二人きりで帰ったことがある。。手を繋ぎたくて、良く顔を見たくて、、でもできなかった。。後悔だらけの私。でも今は素敵な夫がいて、可愛い娘が3人もいるけれど、、それは満足しているけれど、、ああ、やっとあの頃の気持ちが清らかに、、今、、この二人によって昇華されていくようだわ・・・!!!


「あ、そうそう、最後に聞きたいのだけど、みちるさんってスポーツは何かやってらしたの?」


「? はい、えーと。高校でテニス部に入ってましたけど、それ以外は特に・・・。」


「はぁぁぁぁうっっっっっ!!!!!♡♡♡」



 志恵は、自身の甘酸っぱい過去の思い出とみちるがシンクロしたことによって、完全に昇華した。



「あ、ありがとう。。それが聞けてもう、、私は感謝しかない・・・。」



みちる(え、なに?どした?)


妙「え、なに?どした?」


末「ママ、良かったね。テニス部の先輩って感じの人、無条件で好きだもんね。」


 このあと、志恵は憑き物がが落ちたように益々綺麗になったという。



 みちるは帰り道に一人思った。


(よくわからないけど、、テニス部で良かった。。)


(そういえば、テニス部と言えば、なーたんとかにも報告しないとな。あとは、後輩の愛加とか。。ああ、結婚ってやること多いのね♡)

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