おまけep61 萌と香織の同棲日記②
萌と香織はただのバカップルではない。意外と有名な雑誌モデルだった。二人のSNSは当然、インフルエンサーとして知れていて、何万人ものフォロワーがいる。
萌のSNSを見てみると、ある日は香織とのツーショット。ある日は香織とおそろいで買ったアクセ。そしてまたあるときは香織と食べたおしゃれなカフェのご飯と言った具合。
香織のSNSを見てみると、「引っ越しました!」と書かれた日の写真には新居と題され萌の姿が見切れていた。その他にもおそろいのマグカップ、おそろいのパジャマ、おそろいのバッグと言った具合にアップされている。
そう、もはや二人のファンは、「この二人、マジで仲良すぎるよね」と、親友という見方をされていた。
ある日、二人が街を歩いていると、当然若い女子達に気づかれていた。二人はサングラスをかけていたが、それがかえってモデルらしさを醸し出していた。女子高生達がザワザワと騒ぎ出す。
「うそっ!あの二人って、〇○のモデルさんじゃない?!」
「え、あ!萌ちゃんじゃん。え、隣って香織ちゃん?」
「うっそ、顔ちっさ!色白っ!足細っ!」
萌「ありゃりゃ?今日、なんか気づかれやすかったかな?」
香織「ん?え、気づかれてる?まぁ良くない?」
気づかれないこともあれば気づかれることもある。二人もまったく顔を隠さずに街を歩くこともある。騒がれても、「静かにしてね♡」とウインクでもすれば収まるのを良く知っていた。しかし今日は声をかけられてしまう日だった。
ファン「あ、あのっ!私ずっと香織ちゃんのファンなんです!握手してもらえますか!?」
この時、香織はまずいと思った。萌のファンだったら良かったが、自身のファンであったことに一抹の不安を覚えた。(ファンと不安をかけているよ!)
萌はヤキモチを妬きだしたら結構長いし重い。ヤンデレが発動しやしないかとヒヤヒヤした。萌の方をちらっと見ると、固定笑顔ではあるがなにも喋らない。つまりなにを考えているか読みづらかった。
香織「あ、えーと。ごめんね、握手はできないけどありがとうね!」
出していた手を引っ込めてしょんぼりする可愛らしい女子高生。
ファン「私、香織ちゃんのSNS、毎日見てます!本当に萌ちゃんと一緒に居て、仲良しなんですね!お二人でいると本当に可愛くて素敵です!カップルみたい!」
ピクッ。この「カップルみたい」という言葉が、萌の態度を急軟化させた。
萌「香織?握手してあげなよ。」
香織「え?(いいの?)」
萌「こんなに可愛いファンなんだから、大事にしないと。ね?」
ファン「え!!!お、お願いします!っていうか、萌ちゃんもお願いします!!」
萌「いいよ♡ かわいいね。」握手。
香織「じゃ、じゃあ、私もいいよ。」握手。
ファン「きゃー!嬉しすぎる!私、一生手洗わないですっ!ありがとうございます!」
この歓喜の声で周りの女子高生達に囲まれる事態となったので、萌は香織の手をつかんで走って逃げた。
香織「はぁはぁ、、つ、つかれた。。いや、、私たちも有名になったもんだね。。」
萌「はぁ~。そだね。帽子くらい持ち歩かないとダメかもね。」
香織「萌、ファンならヤキモチ妬かないんだね。ヒヤヒヤしちゃったよ。笑」
萌「え、嫌ですけど?」
香織「え!嫌だったの?!」
萌「ファンだからねー、それでお仕事あるんだから仕方ないけど。その握手した手は帰ったら私で塗り替えるからね?」
香織「あ、。嬉しいお誘いですか?」
萌「決まってるでしょ?さ、帰るよ?」
香織「は、はい!」
萌「萌が一番好きっていっぱい言ってね?」
香織「う、うん。喜んで♡」
萌「私にも言わせたかったら、言いたくなるくらい口説いてね?」
香織「わかった!♡」
萌「かわいい、大好き。」
他の女は肥やし。
この二人の新婚モードはまだまだ続く。
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