おまけep40 萌と香織④
妙とみちるの家から帰る途中、香織は萌の手を繋いで引くようにゆっくり歩いた。とりあえず、香織の家に戻ることに。萌は喋らないけど怒っているわけではなさそうだと表情をみて香織は思う。そして少し安堵した。
思い返す。みちるから連絡を受けたときに、「ただの独占欲だから許す許さないの話ではない」と言われた。安心するまでそばにいてあげれば良いと。
(みんな、大人だなぁ。。)
と、香織は思う。誰かのことでこんなに一喜一憂することを経験したことがなかった。だけど今、どうしたら萌を安心させられるのかと自分だって同じくらい考えていることを香織は気づいていない。
香織の家にさしかかった時、予想していない事態が起きた。
「かお?」
隣の家からアキが出てきたところに遭遇してしまった。
(うわっ、やばい。なんてときに、、)
手を繋いで少し後ろを歩く萌のほうが振り向けない。どんな顔をしているだろう。気づいているはず。この人が私が関係を持っていた人だって。
「かお?」と呼んだその人を萌はただ見つめた。そして、(私の呼ばない呼び方をしているんだ)とまた悲しくなった。繋いだ手をギュッと強く握りしめ・・・。
慌てる香織は、後ろを振り向き、
「萌・・・ごめん。大丈夫だから、お願い。」
なんとも言えない必死で切ない顔をした香織をみて、萌は闇に落ちてはいけないと気を取り直した。
「大丈夫。もう大丈夫だから。」
そういうと、返事をしない香織と何やら怪しい雲行きを感じたアキがさらに話しかける。
「その子、かおの彼女?」
「う、うん。できた。彼女。すごく大切な彼女。」
「ふうん?そっか。良かったね?」
嫌みじゃない。本当に嬉しそうな顔をしてそういうアキ。
「じゃね。私これから彼とデートなんだ。」
「あ、そうなんだ。じゃあね。」
ひらひらと手を振って去って行くアキ。すぐに香織は萌を部屋まで連れて行き、安心させなければと焦った。そして部屋につくと、
「ごめん。本当にごめん。いやな思いばかりさせて・・・。」
「せっかく一緒に帰ってきてくれたのに、、いやだったよねさっきの。」
片手だけを強く持ったまま、香織は萌の顔をのぞき込んで辛そうな顔をする。すると、萌は香織に近寄って、首に両手を回して抱きついた。
「大丈夫。ごめんね。私が香織を好きすぎてダメだっただけだから。香織が悪いことなんて1つもないの。ごめんね。」
それを聞いて、香織は初めて人を恋する気持ちで思い切り泣いた。
「泣かないで。香織が私だけ好きなのを疑ってるわけじゃないの。独占欲なだけ。すごく好きよ。どこへもいかないでね?」
「う、うん。ぐすっ、、いかないよあたりまえでしょっ!」
「それにしても、、綺麗な人だったねあの人。」
「ひゃ、、え、」
「あはは。まぁ、嫌なものはいやだけど。今から機嫌取ってくれるんでしょ?」
「も、もちろん。たくさん機嫌とる。。」
「じゃあ、仲直りね。ごめんなさい。」
「・・・ねぇ、萌。」
「なあに?」
「一緒に暮らさない?」
びっくりする萌。香織の肩に乗せていた頭をガバッと離して、香織の顔を「本気?」と見つめた。
「うん。離れないで一緒に居ようよ。」
「私がずっとそばにいたら重いかもよ?」
「あはは。重くないよ。二人でいたら萌はきっとふわふわに軽くなるよ。」
「ほんとーに?じゃあ、一緒に住みたい。」
「あ!末が本気泣きして抵抗しそう・・・。」
「あー。。。」
「ま、その辺は二人で考えよう♪」
みちるの言うとおり、二人は愛が深まりました。
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