おまけep38 萌と香織②

「えー、今話すの?」


「話すの。」


「だって、話したら病むでしょ?」


「は?黙ってても病むよ?」


「んー」


「帰るし。2週間は触らせないよ?いいの?」


「・・・2週間だけなの?」


「それ以上は私が困るでしょ?」


「はぁぁぁ、、ええと、一人だけ恋人というかセ、セ、セフレテキナノガ・・・いまして、、。」


「は!?セフレ!?いつまで?」


「あわわわ。かぶってない!萌と被ってないよ!?」


「だれ。」


「と、隣に住んでる・・・お姉ちゃん。。」


「は!?今も隣に居るってこと?」


「あーん!もう何でもないってばぁ!」


「話なさい。ほらみて。目。もうあと少しで泣くよ?いいの?」


「ああああああっ!話すから!泣かないでっ!」

「え、なんでこうなった!?浮気してるわけでもないのに・・・。」


「同じよ、、ぐすっ・・・」


「あああっ!(珍しく困惑の)」



 香織の回想


 あれは小学生の頃だったと思う。

 お隣の空き家に引っ越してきたのはパパとママ、それと中学生のお姉さんだった。


 名前はアキちゃん。引っ越しの挨拶で玄関に来てくれたときから、私は遊び相手ができたと喜んだ。アキちゃんも一人っ子だからか私のことを可愛がってたくさん遊んでくれた。


 一緒にお風呂にも入ったし、お互いの家にお泊まりだってしていた。でもアキちゃんが受験に入るとそういう時間も減っていって、、私は中学生に。そしてアキちゃんは高校生になった。


 高校生になったアキちゃんは、彼氏がいたと思う。たまにアキちゃんを家まで送って帰っていく男の子をみかけた。まだその時はなんとも思わなかった。


 中学生の頃の私は、人気バンドのボーカルとかに夢中で、クラスの男の子にあまり興味がなかった。そうこうしていると私は高校生に、アキちゃんは大学生になった。


香織「あ!アキちゃんだ。久しぶり~!」


アキ「あ。かおじゃん。高校の制服だ、似合うね。」


香織「ふふーん、似合うっしょ。おっぱいも大きくなった。」


 久しぶりに見るアキちゃんに、私は成長した姿を見てもらえて嬉しかったから、胸を突き出してみせた。


アキ「ほんとだ。育ったねそこも。笑」


香織「アキちゃんもすっかり大人っぽくなっちゃって~!また昔みたいに遊んでって言えないなぁ。。」


アキ「いいよ?今からウチにおいでよ。」


香織「いーのー?行く行く。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


萌「それで?」


香織「あ、はい。その日になぜか致しました。」


萌「なぜそうなる!」


香織「ああん、ごめんなさぁい。」

「なんか大人っぽくなっててエロいし良い匂いするなーなんてドキドキしたら、見透かされたのか、、なんか、こう、、、ガバッとな?」


「私もびっくりしたんだよ?」


萌「それで・・・?ぐすっ、ううっ、、付き合ったの?」


香織「いや、そのまま。たまに会ってエッチするだけ。」


萌「なんでよ。ぐずっグスっ。。」


香織「付き合おうって言われたんだけど、イマイチそういうのよくわからなくて?」


「私が人を本気で好きになったのって萌が初めてなんだよ。」


萌「。。。。」

「で、いつまでそういう関係だったの?」


香織「うっ、萌と仲良くなるちょっと前、、、かな。。ひ、頻度は少なくなってたけど。。」


 それを聞いた瞬間、滝のような涙を流す萌。

 いや、浮気とかしてないから。でも突っ込めないこの空気。空気薄っ。重っ。


萌「まだ、、隣に住んでるんでしょ、、その人と、、たまに、会ったりするの・・・?」


香織「ああああっ、ないない。ていうか、そうだ!私、萌がいるって言うし!」


萌「なんで会いに行くのよぉぉぉ!!!(涙ナイアガラ)」


香織「はいっ!ごめんなさい、会いません!」


「あの、、もしうっかり会っちゃったら、彼女出来たって言うし。さっきも言ったけど、私は萌に会うまで好きとかよくわからなくて、萌が本当に好きになった初めての人だから、、。」


萌「・・・許す。」


香織「え!!?許すの?(驚愕)」


萌「これは私の独占欲の問題だから、香織が悪くないのはわかる。」


「でも今日は私、おねえちゃんに慰めてもらいに行く。ぐすっ。。」


香織「え、ええ。。。」


萌「だから今日は帰る。ここにいたら機嫌直すタイミングわからないし。でも愛してる。。大好き。どこも行かないからどこも行かないで。わかった?」


香織「う、うん。私も愛してるよ?」


萌「わかってる。。」



 そう言って、萌はよろよろと帰っていった。

 隣の民家を睨みつけてから。こわい。

 そしてなぜかキスはしてくれた。謎感情。


 ど、、どっと疲れた。。

 萌を玄関で見送ると、自室のベッドに戻り倒れ込む。


「ていうか。。私だって萌が妙さんに甘えてるときになにも思わないわけではないんだけどなぁ。笑」


 そうつぶやくと、香織は眠くなったので寝た。


 基本、深く悩む前に寝てしまう性格だった。



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