おまけep35 シンクロニシティ

 今日は妙だけがお休みの日。


 みちるを仕事に送り出してから、部屋の掃除、トイレとお風呂の掃除を済ませて一息ついているところ。


 お昼ご飯は簡単に済ませる。二人で食べる夕飯を沢山食べて楽しく過ごしたい。


 晩ご飯な何にしようかな?辛いの食べたいなぁ・・・。アラビアータ?いや、チゲも良いな。そんな風に考えていると、仕事の昼休憩に入ったみちるからメッセージが入る。


『お昼だよー♡ 今日はなんかまだ食欲なくて、スムージーだけにしちゃった。』


 あらら。食欲ないのかぁ、、


『食欲ない?今、晩ご飯何にしようか考えてるんだけど、軽めにする?』


『ううん。夜はきっとお腹空く。』


『食べたいものあるかな?』


『うんと、お魚が食べたいかな。鱈とか。』


『鱈でチゲとかは?』


『あ、それすっごくいい♡ 妙ちゃん、天才♡』


『作ってないしまだ食べてないけど褒めてくれてありがとう。笑』


『妙ちゃんがご飯作って待っててくれるって考えるだけで、みちるはなんかもう、すごいことになるよ♡』


『あはは。ちゃんと仕事してね?』



 さてと。じゃあ、スーパーに買い物でも行きましょうかね。


 妙はそれから一人で普段行き慣れたスーパーへと出かける。散歩がてら公園などを歩き、カフェでコーヒーを飲みながら文庫本を読む。十分のんびりしてからスーパーで夕飯の買い出しを。


(あ。このシュークリームも買ってこうかな?あ、でも買うならケーキ屋さんのおいしいやつがいいか。)


 甘いものが好きなみちるの喜ぶ姿を思うと、ちゃんとおいしいやつを選んであげたい。また今度で良いね。


 なんなら、シュークリームぐらい私が作ってあげようかな。なんて考えながら家路を急いだ。そうしてまた家に戻り、洗濯をしたりベッドのシーツを替えたりとしていればすぐに夕方になってしまう。


 元々、料理は好きな方だ。下に二人も妹がいるから、いつも料理を作ってあげれば妹たちが喜んだ。おやつはいつも、ホットケーキとかを教えながら一緒に作ってあげたっけ。だから、みちるが美味しいと言って食べてくれるのを想像するだけで、ちゃんと作ろうって思える。


 鱈の切り身や野菜、香辛料をぐつぐつと煮込み始めた頃、みちるがタイミング良く帰宅した。


「ただいまー。いい子にしてた?♡」


 キッチンに立って夕飯を作る妙の後ろから、腰に手を回してすりすりしてくるかわいい彼女。


「いい子にしてたよ。もうすぐできるから手を洗ってうがいしてくださいね?」


「うん♡」

「あ、お豆腐屋さんの患者さんが美味しい豆腐をくれたの。もうお鍋に豆腐入れちゃった?」


 そういって、なんか特別そうな豆腐を手に取って見せてくれたみちる。


「あ!豆腐買うの忘れたよ!」


「あはぁ~♡ すっごい良いタイミングだったみたいですね♡」


「わー、よかったー。みちる天才。」


 頭をなでて褒める。すると、


「んふふー♡ 今日ね、これも買ってきたんだよ?」


 そう言って小さな白い箱を差し出すみちる。中身は、


「シュークリーム♡」


「わ。わぁ。」


 あまりのシンクロニシティに棒読みな感嘆をあげてしまった。


「え、好きでしょ?今日は気分じゃなぁい?」


「ううん、、、今日、みちるに買おうか迷って今度にしようって思ったから。びっくりした。」


「そかそか。テレパシーで通じ合ってたんだね♡みちるは今日妙ちゃんがこれ食べたいって思ったよ?」


「いや、冗談じゃなくて本当にそうなのかも知れないって思うよ、、なんかすごいなぁー」


「すごいに決まってるじゃん。私と妙ちゃんだよ?♡」


「そっかぁ。。おそるべしLOVE・・・」

「あ、ところでチゲの辛さは1辛~5辛ならどの辺がいい?」



「私は5辛。」

「みちるは1辛~!」



 うわお!そこはシンクロしないんだ??


「じゃ、じゃあ、間とって2.5辛にするね♡」


「唐辛子みたいに刺激的に二人の愛をすり合わせるってこと?♡」


「ん。それでいいよ。笑」


「あんっ、冷たい。好き。」




-------------------------------------------------------


強弱の天才

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る