おまけep32 愛の重さ
最近、みちるの愛が重い。
でも心地よい重さだ。私はそれがとても嬉しい。
中学、高校、短大と、私は女の子に囲まれて育った。そして、与えられる愛も求められる愛もとても重いものだった。
なぜか束縛され、依存され、ちゃんと好きなのに好きを求められ、愛しているのに愛を求められた。
下の妹たちも同じように私を取り合っていた。みんな物理的に距離が近い。
昔、親友に相談したら、「妙はそういう引力がある」と言っていた。「妙が良い物過ぎて、一度得たらなくなる恐怖があるんだろう」って。
それがかえって関係を壊すと思うのに。
みちるは、底なしに愛をくれるし、言葉でも態度でもそれを伝えてくれる。色んな相性が良いと思う。あと二人とも自分の顔が良いことを自認しているから、変に自虐もないし、かといって自慢げでもないのが良い。周りにもてはやされる鬱陶しさとかも理解し合っているし、驕りもない。顔に性格は出ると思うから、美人だからと言って性格が愛せなければその顔も愛せやしないと二人とも知っている。
あの人の笑顔が美しいのは、顔が整っているからだけじゃない。ちゃんと生きてきて、心を考えた人だからだと思う。
昔はもっと闇の深い感じで重い女だったとみちるは言っていた。正直、たまにそういう片鱗がみえることがある。だけどそういうところを出さないようにしているみちるを感じるから、溜まらなく愛しい。
与えられたいから与える愛の重さじゃなくて、与えたいだけで与えてくるみちるの愛の重さが心地よい。だから、もうこんな人は私には現れないだろうと思うんだ。
そんな風に考えていると、みちるが「なに考えてるの?」と聞いてきた。私たちは今、二人でお風呂に入っている。みちるの体に自分の体を預けて抱っこされて湯船に浸かっている状態だ。
「ん?いや、こうやって抱っこされてお風呂入るのも慣れてきたなぁって。笑」
「あははー、妙ちゃんは抱っこする側属性だもんね♡」
「うんー。でももう、これもないとやだなぁ。」
「かわいいっ!」
赤ちゃんみたいに可愛がってくるみちるももう慣れた。
「妙ちゃん、髪伸びてきたね。伸ばすの?」
「うーん、伸ばそうとしてるけど、みちるはどっちがいい?」
「今、すごくうなじがセクシーなの♡」
「答えになってないよ。笑」
「短いのも長いのもきっとこのうなじはセクシーだと思うから、適度に私を転がしてくれたら嬉しいわ♡」
「あはは。わかった♡」
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