おまけep30 スライムの作り方

 ある休日


 みちるのHPを天井まであげるコツを先天的な才能で掴んだ妙の話。


「妙ちゃん。今日のお昼ご飯はなにがいーい?♡」


 ソファに座る妙に後ろから抱きついて尋ねるみちる。甘やかしているつもりだが甘えたいのが手に取るようにわかる。


「んー。みちるの作るものならなんでも!美味しいもん。」


 全肯定。まず褒める。しかしすかさず、


「あ、でもあれ食べたいな。みちるのさぁ、キノコの醤油パスタ!あれおいしかった。」


 なんでもいいは本来言ってはいけない。言われた方はかえって困る。全肯定する為に言ったがすぐに願望を伝える。キノコパスタが好きなのではなく、みちるのキノコパスタというのもポイントだ。


「あれ好きだった?♡ じゃー、作ったげるね?♡」


 そう言って、妙の首筋に顔をぐりぐり押しつけるみちる。上機嫌である。


「あーん、妙ちゃん、ホントかっわいい♡」


 「好きよ♡」と言って羽で飛ぶようにキッチンへとみちるは去って行った。


 食べ終わると、作ってもらったのだからと妙が洗い物をしようとすると、みちるはご機嫌なので「いいよ?妙ちゃん、ゆっくりしてな?」と言って自分が洗い物をしようとする。おかん気質健在。この場合、断ってはいけない。


「わかった、ありがと。優しいね!」


 そう言ってとりあえずまかせる。しばらくしてから妙はみちるの横にてててっと近寄っていって、


「一人じゃつまんないから洗ったお皿拭くね!」


 そう言って、ぴったりと肩をくっつけてお手伝いを始めるのだ。


「えー♡ 一人じゃ寂しかったの!?♡」


 この時点でゲージは満タン。


「妙ちゃん♡ アイス買ってあるから一緒に食べよっか?♡」


「うん。でも1個で良いよ?みちるのをあーんするから。」


「そぉ?♡ わかったー!♡♡♡」


 溶けそうなみちる。大変だ。いますぐ冷凍庫へアイスと一緒に入れろ。


「冷蔵庫の中、もうあまり食材がないからあとでお買い物行こ?」


 みちるがそう提案すると、


「うん。そうしよう。イチャイチャしてからね?」


「ぎゃわいいっ!♡」


 絶叫とかわいいが混ざり合ったみちる。


 そんなこんなで、夕方までは二人きりでソファの上で過ごす。横向きに妙が足を投げ出して、その真ん中にみちるが座ってバッグハグされる形だ。


「はぁぁぁぁ♡ 妙ちゃん、私今一番幸せよ♡」


「私の方が幸せだよ。」


 うなじにキスをされながらそう言われ、軽いめまいと鳥肌ゾクゾクなみちる。


「ずっとこうしてたいね。そばにいてね、みちる。浮気しないでね?」


 この脈略のない嫉妬と独占欲でHP貯蔵庫は決壊。


「するわけないよー!♡♡♡」



 天然たらし、妙であった。


 みちるはスライム化した。 




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用意するのはお砂糖だけで。



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