おまけep16 うちの彼女は本当に可愛くて
妙は今日、みちると横浜デートにでかけている。定番の中華を楽しみ、山下公園をぶらぶらしてラブラブする予定だ。
風のない穏やかな休日。日差しがほどほどにさして最高のデート日和。盛り上がっているこの二人には、見えるもの全てが素敵に見える。
肉まんかわいい。月餅かわいい。
山下公園に着くと、海を見ながらゆっくり過ごそうとなった二人はベンチに隣り合って腰をかけた。みちるはご満悦で海のキラキラを眺めてスマホで写真を撮ったりしている。
妙はそんなみちるを眺めている。
露出の少ない、薄いオレンジ色の花柄ワンピースを着ているみちるはとてもふわりとした印象だが、妙にとっては愛する恋人であり、その魅力はたまらなく脈を打ち惹きつけられるものだった。
うちの彼女は本当に可愛いな。
日差しで薄茶色の髪がいつもより明るく見える。肌は白く健康的でやわらかそうな腕や首筋につい目が行く。
うちの彼女は。本当に。かわいい。
横顔に目が行く。いつもは正面から見ることが多い恋人の横顔。パーツごとに、目、鼻、唇と順にみつめていく。
まつげながいな。
うちの彼女は、ほんとうに、かわいいな。
そうもしていればみちるも視線に気づくので、「ん?♡」とにっこりして妙を愛しそうに見つめる。
人ってあまり、、そんな風に瞬間的ににっこりして嬉しそうに微笑んで人の顔みたりしないでしょ?
みちるは妙のことが大好きだから、反射的に機嫌の良い顔と機嫌の良い声がでるの。隣に来れば嬉しいし、話しかけられたら嬉しいし、目が合えば嬉しい。それがとてもよく伝わるから、妙はみちるが自分にとって大事なものだとちゃんと認識している。
「かわいいなってみてたんだよ。」
みちるは「んふふ~」と嬉しそうに笑うと、突然理由もなくご褒美があったこどものようにベタベタしてくる。妙の片手を両手で自分の太ももの上に持って行って、指を一本ずつもみもみしていじり倒す。
「手も好きだなぁ。まぁ全部好きなんだけどさ。」
妙は自分が好意を伝えると、それ以上に好意を跳ね返してくるみちるがすごく好き。そういう時間を感じる度に、じわっと胸が温かくなるんだけど、すっかり中毒になっている。
二人とも美人だから、そんな風に外で一緒に居れば、あわよくばと近づいてくるナンパもいる。だけど妙はこれほど愛してくれるみちるに焼きもちを妬いたりはしない。
「ねぇ、おねーさん達すごく可愛いね。このあと一緒に遊ばない?」
そんな風に声をかけられることはもう何度かあった。その度にみちるは心底興味なさそうに断るから。妙は何の不安も感じない。ただ、、
「ね、あっちいこ。」
ちょっとしつこくされる時間が長くなりそうに感じた妙は、みちるの手をひっぱり歩き出した。
「んっ・・・どうした?妙ちゃん?あんなのほっとけばいいのに。」
歩きながら、妙の方がみちるの腕に自分の腕を絡めて体の距離をぐっと縮める。
「んー、イヤなんだよ。みちるのことじろじろ見られるのが。」
「あら、そうなの?焼きもち妬いちゃった?♡」
「んーん。心配してないから。焼きもちは妬かないよ。みちる成分を勝手に摂取して欲しくなかっただけ。小さじ1杯でもイヤだね。」
ちょっとツンとした顔で素直にそういう妙に、みちるのハートには矢が刺さった。
「ちょっと・・・待って・・・。」
「私、ついに千本目の矢がハートに刺さりました。。。」
はうぅぅぅ、、と悶絶しながら心臓を押さえるみちる。
「妙ちゃん、突然刺すのやめてくれない?ここで襲って欲しいの?」
「え、なにそれ?どういう話?」
「もー!大好きって話♡」
家まで二人きりになるのが待てません。
-------------------------------------------------------------------
「横浜 ホテル」検索ポチ。
この二人の盛り上がりは265年後も終わりません。
徳川幕府より長く続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます