おまけep14 この想いがずっと

 会社員の妙が現在の恋人であるみちると出会ったのは、会社からそう遠くないカフェである。花粉症で会社を早退した妙が内科の病院を探しているときに同じカフェに居合わせた。


 みちるの可愛さに一瞬で惹かれた妙が、みちるはどこから来たのだろうとカフェの帰りをそっと付いていったところ、なんと内科のクリニックのスタッフだったことがわかる。そうして妙は患者としてみちるに接触して晴れてお近づきになれたわけで、、


 ラブラブなら働いてる場所が近いって良いよね!


 ある日のこと、みちるが仕事を終えて身支度をしているとチャットアプリの通知が鳴った。妙から『仕事終わったから今から帰るよ~』のお知らせであった。ちなみに二人は最近同棲を始めたので、お互いの職場から駅を挟んだところに住んでいる。プライバシー確保と通勤を考慮した素敵立地だ。


『わ。ちょうど私も帰るところ。一緒に帰ろう♡』


 恋愛に倦怠期があるなら当然、絶好調に盛り上がるときもあるわけで、今が二人にとってわきゃわきゃ盛り上がっているときなんです。近くで待ち合わせをして一緒に夕飯の買い出しをしてから帰ることになりました。


みちる「今日はなんにしようかねー♡」


妙「青椒肉絲が食べたい気分~♪」


みちる「あ、いいねー♡ ピーマン美味しいねー♡」←


妙「あれも飲みたい。みちるのたまごスープ~!」


みちる「うんうん。いいよ、作ったげる♡」


 どこでも脳からイチャイチャエネルギーが出せる気功師のようなカップル。買い物した袋を半分ずつ持つと、家路を急いだ。


「あ!そうだ、ここ寄ってこうよ!」


 みちるが通りがかりに思い立ったのが、いつも通り過ぎるだけで気にしていた神社だった。


「ここ、縁結びで有名なんだって。ね、行こっ!」


「へー、それは知らなかった。ちゃんとご挨拶しないとだね!」



 夕方も過ぎて薄暗くはあるけれど、参拝者の多いその神社は明るく照らされていて心地の良い風が吹いている。参拝者もちらほらいるようだ。


 参道をゆっくりと歩き、賽銭箱の前にたどり着く。言葉少なに互いに手をパンパンと叩くと、目を閉じて祈った。




「ねぇ、なにお願いしたの?」


 帰り道、隣を歩くみちるが妙の顔をのぞき込んで上目遣いにそう聞いた。これは答えを間違えてはいけないやつですねと、優しい目をして妙が答えた。


「二人の想いがこのまますれ違わないでずっと一緒に居られますように。」


 どうだ? それを聞いたみちるが二度目をぱちっと閉じるとやがてニコぉぉっと笑みを漏らした。じわじわと嬉しさがこみ上げたみたいです。


「うん、うん!そうだね!」


「大丈夫?これで合ってたかな?」


「うん♡ 満点ですよ!♡」


「で、みちるはなんて願ったの?」


「・・・私はなんか、もう少し力んだ感じだったかな。今妙ちゃんのを聞いて反省してる。。絶対に私たちが離れませんように。おねがいおねがいおねがいおねがい×無限した。。。」


「あはははは」


「今日、たまごスープ全部あーんしてあげるね。」


「いや、熱いよ。。」


「私たちの方が熱いよ♡」




この想いがずっと。





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はあぁぁぁぁぁ!!

200%デレになってしまった。おかしいな・・・





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