おまけエピソード8 大天使は修羅場も甘い
戸田です。医療事務として内科クリニックで受付をしています。
受付ではニコニコと愛想よく。なるべく柔らかい印象を心がけています。おかげさまで、皆さんに可愛がられていて、とくにみちるさんには仲良くしてもらっています。今日は仕事が終わって、これから彼ピと晩ご飯デートに行く途中です。
「お腹空いたねー♪なに食べよっかっ・・・・ん?アレは・・・?!」
彼ピと話ながら街を歩いていると、なんとなく見覚えのあるシルエットの女性が前を歩いていた。
(あの人は確か、、あ。みちるさんの彼女?? 2回しか受付で会ってないからちょっと自信ないけど、でもあんな感じだったよな・・・?本当に美人さんだったから顔を見れば間違えないと思うけど、、。みちるさん曰く「ラブリー大天使の妙ちゃん♡」だっけ。いやでも、知らない女性と腕なんか組んで、、普通友達同士であそこまでいちゃいちゃする?苗字は確か、、そう、)
「・・・さん?」
あ、うっかり声に出してしまった。振り返ってしまわれた。ど、どうしよう?
「はい?」
あ、でも苗字で振り返ったからやっぱり合ってたんだ。
「あ、すみません。あの、クリニックの戸田です。受付で何度かお会いしてて、、見かけたからつい声をかけちゃいました。」
「??? クリニック?ですか?」
(ん?やっぱりまずかったのかな?クリニックを知らないフリするってことは、話しかけちゃまずかったか。。)
「あ、いえ、なんでもないです。じゃ、じゃあ!」
私は彼の手を引っ張って、そこから逃げ出した!
「あーん、やばいよぉ!みちるさんの彼女の浮気現場見ちゃったー!」
-翌日、クリニックのお昼休憩にて-
「と言うことがあったんです、みちるさん。」
不確かながら、みちるさんにすっかり話してしまいました。
ズズズー、、とアロエドリンクを吸い込みながら、すました顔をしてみちるさんが、
「えーうちの妙ちゃんがー?戸田ちゃんの人違いだと思うなー」
「だったらいいんですけど、ただ、苗字で呼びかけたら振り向いて返事をしてくれたので間違いないと思うんですよ。私のことは知らないフリしてたけど、、」
「んー、まぁわかった。ありがと。でも浮気とかじゃないと思うな。妙ちゃんの私に対する愛は態度でわかるからさ。」
まぁ、私の勘違いならそれに越したことはありません。しかし、隣に居た金髪のあの子。あの子もモデルみたいに可愛かったな、、。アレなら浮気心とか起こしちゃってもおかしくない気がするし、、。
「あ、慌ててたからブレブレなんですけど、一応隠れて写真撮っておいたんで、送りますね。」
コソッと隠し撮りしたちょっとピンボケのあの二人の写真をみちるのスマホに送った。金髪のかわいこちゃんの顔はわりとはっきり映ってるけど、肝心の妙さんの方は横顔しか移ってない。
-その日の晩-
妙が仕事から帰宅すると、みちるは先に帰っていた。
「ただいまー」
玄関で靴を脱ぎ、居間に入ると、え?
「やだやだやだやだー!」
リアクションする暇もなく、みちるが泣きながら飛びついてきた。今、コアラのように私の体にしがみついて抱っこしている。
「え?え?なになになに?!どうしたの?」
「やだ!他の人のところに行かないで!」
「は?ちょっとちゃんと説明してくれないとわかんないよ!?」
仕方なく、しがみつくみちるのお尻に両手を添えて、抱っこしながらよいしょっとソファに倒れ込んだ。
ぐすっ、いやぁ。ぐすっぐすっ
「ちょっとちょっと、ゆっくりでいいから話してよ。どこも行かないから。」
みちるはたどたどしく、戸田ちゃんが見た昨日のことをぼそぼそと話し出した。
「ほら、ちゃんと証拠の写真だって、、ぐすっ、あるんだからね、、こんな、可愛い子と、、そりゃ、私より若くて妙ちゃんだってそんな気になっちゃったりするのかも知れないけど、、でも、、わ、わかれたくないーーー!」
しがみついて泣きじゃくるみちる。こんななっちゃうんだ?意外、、ってそんな場合じゃないな。
「いや、それ私じゃないよ!写真見せてみ?」
あ、ああ。これは、、
「ああ。これ香織ちゃんだ。」
「!!!やだーーー!名前呼ぶなー!」
「うははっ、待って待って。この子、うちの妹の彼女なんだよ。」
金髪の子の顔ははっきり写真に写っていた。見覚えのある顔。この子は私の妹の彼女。
「2個下の妹の彼女の香織ちゃんだよ。」
「で、でも、さっきそれは私じゃないって嘘ついた・・・。」
「嘘じゃないよ。だって私はその頃会社にいたもん。」
「・・・もう泣きすぎて頭回らない。何でもいいから浮気しないで。私のこと捨てないって言って!」
やばい、これは、、可愛いっ!思わずにやける。
「あのさ、これ私の妹だよ。双子じゃないけど、そっくりなんだよ。ドッペルゲンガーって言われてるんだから。」
「は、、?妹?」
「そうそう。だから苗字で呼んで振り返ったんだよ。ね、つじつま合うでしょ?」
私はスマホをとりだして、スピーカーにして妹に電話をした。
「もしもしー?どしたん?」
「あ、あんたさ、昨日香織ちゃんとデートしてなかった?」
「んー?してたよー。夜、○○駅の近くでご飯食べに行ってたー」
「そかそか。仲良くてなによりだよ。ごめん、またあとで話すからとりあえず切るねー」
「なにそれ。まぁいいや。はーい」
通話が切れた。みちるは私の太ももの上で跨がったまま黙りこくっている。
「ね、私は浮気なんてしてないよ。みちるしか勝たんから安心して?」
「・・・・・・・・・恥ずかしくて死にそうなので、お風呂に入ってきます・・・。」
「あはは。良いけど、私もびっくりしたから仲直りのちゅーくらいしていってよ。」
「ご、ごめんなさぁい!」
泣きはらした目で、沢山ちゅーしてくれた。
「あ、ほら。妹の写真見て?」
スマホのフォルダから何枚かの妹の写真をみちるに見せる。
「うっわ、似てるし、、激かわっ。」
「そそ。妹も彼女の香織ちゃんも、雑誌モデルとかやってて、それで知り合ったらしいよ。」
「うわー、ハイスペ。。」
「ダブルデートする?」
「え、良いんですか?心臓保たないと思うんですけど。。」
「いや、貴方も大概可愛いからね?笑」
「もう絶対浮気しないでね?」
「いや、してないから。笑」
------------------------------------------------------------------------------------------------
短編3話のGL書きました。
「二人がいいの」
短いのでそちらも是非読んで頂けたら嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます