魔法チート持ち 筋肉至上主義の異世界へ転移する

ノツノノ

異世界といったら魔法でしょ

「突然ですが貴方には異世界に行ってもらいます」

「は?」


私は真っ白な空間で女性と向かい合って座っていた。


「混乱するのもわかります。ですが時間がないので欲しい能力を言ってください」

「え、じゃあ私が魔法だと思う物を、全てノーリスクで使えるようにして欲しいです」

「わかりました」

「グッ…」


頭が痛み、自分の知らない知識が入ってきて、感覚で魔法が使えるようになったとわかる。


「じゃあ移動始めるわよ、向こうでは自由に生きなさい」

「待っ…」


質問をしようとした瞬間、フワッとした感覚が襲ってきた。


「おーい、詰まってるぞ〜?」

「あ、すいません主神様」

「次から気をつけろ〜」




「なんとか誤魔化せた、危なかったわ」



ーーーーー


ザワザワと話し声が聞こえる。


「ん?」


私は目を開け辺りを見回す。

勢いで押し切られ考える時間がなかったが、今の状況を見る限り、これは異世界転移というやつだろう。


転移した場所は街の中。

あの女性、多分だが女神のおかげか看板に書かれている文字が読める。


女神には自由に生きろと言われている。

魔王を倒して世界を救って、とかじゃなくて良かったと思う、元の世界に未練は無いし帰りたいとも思わない。


「異世界転移の定番といえば、冒険者ギルドか」


自由と言われてもお金などの問題がある。

問題を解決するため、冒険者ギルドへと向かう。


ギィ…


ギルドの看板を見つけて中に入る。


私へ視線が一気に集まる。

ガタイのいい男達からの視線に少し怯むも受付へと歩いていく。


「どうしたの?依頼?」


受付の人は子供に話しかける様に言ってくる。

そんなに子供っぽいか?一応、大学生だったんだが…


「登録をお願いしたいです」

「「「〜〜〜!」」」


登録を求めると周囲が騒がしくなった。

騒いでいる大半は笑っている、これはギルドで絡まれるアレか。


「おうガキ、お前みたいなヒョロガリは要らねぇ。早く家に帰んな!」


ほらね?

1人の男が肩を回しながら近づいてくる。ガタイはかなり良く、目つきも鋭い。


「俺がテストしてやるよ。俺の腹を思いっきり殴れ、俺が倒れたら合格だ」


男が構える。


吹き飛ばすだけなら風でも起こそうと考えたが、殴りと指定されている。


「じゃあいきますよ?」


腕に魔力を込め、頑丈さと力を向上させる。


「ふっ!」


ぶつかる寸前で魔力を放出し振り抜く!


「グハ!」


ガシャーン!


タイミングは完璧、私は見事男を吹き飛ばした。


「おい、あいつ腹筋のムッチを吹き飛ばしたぞ!」

「見た目はあんなにヒョロヒョロなのに…」

「あの子の筋肉は大きさじゃない、質なのよ!」


周りの人達は何故か筋肉を称賛している。

え、どういうこと…?


なんで…筋肉?


ピロン


脳内で機械的な音が聞こえ、説明が流れ出した。


『この世界が筋肉至上主義だからです。

主が使っている【私】を含めた魔法は空想上の物でしかありません。』


へ?


普通とは少しだけ違う異世界生活が始まった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法チート持ち 筋肉至上主義の異世界へ転移する ノツノノ @pannda1617491021

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ