第122話 行くわよ
「ファンの前ではちゃんとアイドルするんだな」
「当たり前でしょう? 最近はすぐにSNSで広められる時代なんだから。ファン対応雑な奴は素人よ。」
俺の質問に呆れたような顔で返す。
俺にばれるのは問題ないのか?
「彼の言っていたことに気になるけど、私達はやるべきことをしないと。そろそろ撮影するから、変なこと言わないでよね?」
そう言ってゆまは手持ちのカメラを起動させる。
「こんにちはー。本日は和歌山県の沖島にやってきました! 最近沖島で起こっている怪奇現象を追っていきたいと思います!」
ゆまは手持ちカメラに手を振りながら話始める。
「村人に話を伺った結果、廃校近くで怪奇現象が起こっているようです。その謎を追うために廃校近くへ向かっていきま~す!」
ゆまはそのまま先ほど聞いた建物を目指す。
歩いて三十分程、俺達は案内されるまでもなく異様な建物を見つける。
木造の家に大きな穴が空いている。
何か生物に齧られたような跡や何か鋭利な刃物で斬られたような跡が残っており、近くのスチール製の車庫が根こそぎ齧られており柱が一本残っているのみであった。
「これは凄いですね……明らかにただの動物の仕業じゃありません。おそらく妖怪の仕業です! その謎を追うために、更に捜査を続けたいと思います」
そう言って、ゆまは一度カメラを止める。
「ねえ、これなんの妖怪だと思う?」
「断定はできないが、おそらく動物が妖怪化した可能性が高い。この歯形の数から、数も相当だ」
「馬鹿ねー。これはおそらく化け猫よ。きっと人間に殺されて恨みを持った化け猫が妖怪になって現れた。これで決まり」
「化け猫がそんな大量に出るか?」
「教えてあげるわ。ありえないなんて思っていると、いざという時動けないわよ。あの廃校が怪しいわね。夜になったら、廃校に行くわよ」
「なぜ夜に? 昼の方が安全だろう?」
「あんたねー、世間の妖怪退治のイメージは夜なの。その方が画面が迫力出るでしょう? 画面映えも気にしてこそタレント!」
俺はタレントではない。
どうするか……。
少し考えるが、十中八九廃校に居る妖怪も既に分かっている。
俺なら一瞬で祓えるだろうし、良いか。
「分かった。夜になったら、廃校に向かおう」
俺達は周囲を探索しながら夜を待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます