第27話
「はぁっ、はぁっ……」
力をすべて使い果たし、立っている気力すらもなくなり、倒れるように
魔女の体は原型を残さないほどに燃やし尽くした。ここまでやれば、さすがの魔女ももう復活はできないだろう。
どれくらい戦っていたかはわからないが、周囲は
————やっぱり約束守れなかったな。
もう出入口は
ちゃんと二人は無事に地上に出られただろうか
そして、アレには気づいてくれただろうか。
気づいてくれたなら、いずれこの時代の僕にたどり着けるはずだ。
ちょっとズルいかもしれないが、それくらいのズルなら神様も許してくれるだろう。
失った右足から血と熱が抜けていく。
寒気とともに視界がかすみ、意識がだんだんと遠のいていく。
明確に、そして確実に死の足音が近づいてきている。
そんな中、背中に人の温もりを感じた。
死の間際の幻覚かもしれないが、それでも感じたんだ。
それが誰なのかは、そんなもの聴かなくてもわかる。
「ちゃんと守りましたよ、約束」
『うん、ちゃんと見てたよ』
その声に視界が
『私には見てることしかできなかったけど、それでも君の
その言葉一つで僕は救われた気がした。
ほかでもない彼女に感謝される。それだけで胸の奥がすっと軽くなった。
「これで僕の旅も終わりですね」
ここが長いようで短かった旅の終着点。まさか過去に来るなんて思ってもいなかったが、最後が魔女との戦いなんて僕にしては上出来だろう。
『ちがうよ、————ここから始まるんだよ』
少女は優しい声音でそう言った。
そうだった、ここは終わりじゃない始まりなんだ。————僕らではない僕らの。
どんな出会いで、どんな旅になるか。
大冒険かもしれないし、何気ない日々の積み重ねかもしれない。それを想像するだけで自然と笑みがこぼれた。
あぁ————それは、なんて……。
「なんだか安心したら眠くなってきちゃいました」
『いいよ、疲れただろうし一休みしよっか。でも、その前に』
『ズルはダメだよ。神様が見逃しても、私は見逃さないから』
「えぇーっ!?いまそれですか?」
二人でひとしきり笑った。
『おやすみなさい』
「……おやすみ、なさい」
眠るようにゆっくりと重くなった
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