第33話 古代遺跡②
「お客様、申し訳ございません。ガーディアン型カラクリットの安全認識機能が、誤作動している様です。お客様を排除対象と認識してしまいました。」
我々は、ナバラム聖王国の王都マルロムにおいて、古代の遺跡を訪れ、更に未探索の地下にまで足を踏み入れた。地下の遺跡内では、ロボットのような姿をした対話型カラクリットという機械と遭遇したが、そこには別のタイプの機械、ガーディアン型カラクリットが存在していた。しかしながら、彼らは我々を排除対象として認識してしまったようだ。
すぐに、ジュリアとダニーさんには避難してもらった。
「まずいな…。カラクリット君。この状況を何とか収めて貰えないかい?」
「お客様、申し訳ございません。通常、私が問題ないと認識した相手は、排除対象が除外される様にプログラムされています。恐らくは、2500年もの年月の間に、機能の一部が故障してしまったのでしょう。」
「このままでは、戦闘になるが構わないか?」
「お客様が強者であるのは、解析結果で承知しています。それに我々は、お守りするお相手もござませんので、破壊して頂いても構いません。」
「わかった。では、イーナ。目標は、ガーディアン型カラクリット。機能を停止せよ!」
「承知しました!」
俺は、真名により鑑定アプリを起動させ、スマホ画面にガーディアン型カラクリットを表示させた。
名前 ガーディアン型カラクリット
HP 800
MP 620
AT 440
MAT 620
DEF 700
MDEF 510
DEX 220
INT 100
AGI 420
スキルなし
機能 魔導砲
説明 国民の保護と、地下施設の倉庫への侵入者を排除する為に造られた機械。魔石の魔力を動力にしている。戦闘に特化しており、対話能力はなし。
「イーナ、結構強いぞ!俺は全く歯が立たないから任せた。」
「はい。団長!おまかせ下さい。久しぶりの戦闘で腕が鳴ります。」
ガーディアン型カラクリットは、対話型カラクリットとは、見た目も大きさも異なっていた。身体の大きさは、2mを超え、男性であっても見上げるほどの巨体であった。二足歩行で移動し、両手を使える点は、ロボットのようであった。
ガーディアン型カラクリットの素材が何であるかは謎であるが、その強度は極めて高いように見受けられた。背中には砲のようなものが見えるが、両手に武器を持っていないことから、素手で戦うタイプの機械と思われる。
そして、カラクリットは、イーナの間合いに侵入する。腕を振りかぶった動作から、これからパンチ攻撃が来ることが予想される。
Gashan!
イーナは、手持ちの盾で攻撃を受け止め、そのまま剣で切りつけて反撃した。
Gachan!
イーナの攻撃がカラクリットのボディにヒットする。しかし、カラクリットの守りは硬く、大きなダメージは与えられなかった様だ。
「クッ。かなり硬いな…。」
その後もカラクリットからの攻撃は続いている。イーナは、盾で相手攻撃を受け止めて反撃するスタイルだが、双方とも守りが硬く、戦闘は膠着状態になっていた。
それを打ち破ったのは、カラクリットの方である。背中の砲が肩に乗り、砲身が正面へと移動する。
「イーナ!デカいの来るぞ!回避だ!」
Pushuun!!
砲からは、魔力を凝縮したエネルギーの塊が飛び出して行った…。これは、データによると魔導砲と呼ばれるものらしい。至近距離からの攻撃で、イーナはギリギリ回避する。
Dokaahn!
エネルギーは、奥の壁にヒットして、大きな音と、振動の波が押し寄せる。どうやら強力な攻撃だったようだ。
直撃した壁は、大穴があき、周囲が崩れ始めている。
作業型カラクリットが数体集まってきており、これから壁の修復を始めるらしい。
ガーディアン型カラクリットは、魔導砲によってかなりの魔力を消耗したらしく、流石に連発するのは難しい様である。
「ホーリースラッシュ!」
そして、今度はイーナが攻撃を仕掛けた。彼女の剣からは白色の光が発せられ、その輝きはイーナの周りに広がっていく。そのまま思い切り剣を振り下ろし、白光りした剣をカラクリットに叩きつけた。
Gashaahn!
攻撃は命中し、カラクリットに大きな傷が開いた。胸部に深く刻まれたその傷は、まるで機械の躯体が割れたかのように開いている。イーナの使った聖なる一撃「ホーリースラッシュ」は、この機械の防御を貫いたようだ。しかし、それが使える回数にも限りがあるため、注意が必要である。
(それならば…。)
「北条 響が発動する。スキル"ストレージ"!」
俺は、ストレージアプリを起動して、ある物を取り出すことにした。それは…。
名前 聖光の剣 ( イーナエスト専用 )
ランク R ( レア )
レベル 100 (MAX)
補正値 AT + 150 DEX +50 AGT +50
装備スキル 聖光斬
「イーナ!これを使え!」
「団長!恩にきます。」
イーナは、課金ガチャから手に入れた聖光の剣を握った。その瞬間、剣全体が彼女に呼応するかのように微かに輝きを放った。
この武器は完全に強化され、攻撃力の補正値が150も上昇していた。分厚い装甲には、一刀毎に大きな傷がつき、イーナは全く留まることを知らずに主導権を握っていた。
次々と与えらるらたダメージに、カラクリットは遂に怯んだ。相手の静止した時を待っていたイーナは、剣を高々と上げた。この大技は、イーナにも隙ができてしまうので、タイミングを探っていたのだろう…。
「聖光斬!」
イーナは、掲げていた剣を力強く振り下ろした。すると、カラクリットの頭上から光の筋がまるでレーザー光線のように降り注いだ。
Dokkaan!
カラクリットは、なすずべ無く、攻撃に身を晒していた。やがて、動力の供給源である魔石を破壊されて、そのまま活動を停止した。
「討伐、完了です!」
イーナは、ガーディアン型カラクリットを打ち破ることに成功したのであった…。
―――― to be continued ――――
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