第14話 ご褒美

 侯爵様が率いる救出団は、見事な活躍を示し、聖女候補であるララーヌ様を救い出した。地下にある王都の墓地には、邪悪な悪魔たちがアジトを構え、悪魔の支配を広げるために、ララーヌ様を生け贄に捧げようとしていた。しかし、救出団は彼らの陰謀を見破り、果敢に立ち向かい、勝利を手にしたのである。ララーヌ様を無事に救い出したことで、彼らは勇気と決意の象徴となった。


 物語の発端は、小さな子猫のミリーが行方不明になったことだった。ララーヌ様は、ミリーを探し出すために自宅を抜け出し、その際に邪悪なる魔物たちに狙われてしまったのだ。彼女は、ミリーを発見したが、それが彼女を拉致する陰謀の罠だった。彼女は地下の悪魔の巣窟に連れ去られたのである。


 地下空洞は未だ全てが探索されていないため、近くの調査隊が調査に入ることになった。彼らの目的は、人々に危害を加えるような存在や、魔物などの存在を確認することだ。


現在、俺は侯爵様に招待され、リッテルバウム邸に滞在していた。


(リッテルバウム邸)


「ヒビキ君。改めて本当にありがとう。君がいなければ、娘どころか、捜索団が全滅していただろう。」


「いえ、いえ。私もまさか悪魔がいるとは思いませんでしたよ。無事帰ってこられて良かったです。」


「ヒビキ様。私からもお礼を言わせて下さい。本当にありがとうございました。」


 俺は、冒険者になって、まだ大した経験も積んでいない若輩者である。侯爵家でこのようにお茶を啜っている姿を誰が予想できていただろうか?


「ヒビキ君。君の活躍に見合った褒賞を用意したい。君からは何か要望はあるかね?」


「そうですね…なかなか思い浮かばない物ですね。でしたら、今後何か困った事があった際には、頼らせて頂いても宜しいでしょうか?」


「ほう…君はまだ若いのに、先見の明がある様だね。」


「恐れ入ります。」


「では、このコインを君に贈ろうと思う。このコインは、我がリッテルバウム家と、縁が深い者しか持つことが許されない貴重な物だ。何かあった時には、このコインを見せれば穏便に済むこともあるだろうし、商店で見せれば、より優遇した扱いを受けられるだろう。」


「この様な貴重な物を、私が…?」


「もちろんだとも!我が家は、君に多大な恩義があるからね。それ位はさせて欲しい。貴族としての面子もあるしね!それに君ならば正しく使ってくれるだろう?」


「わかりました。有難く頂戴致します。」


「ララーヌ!コインをヒビキ君に。」


「はい。お父様。」


「ヒビキ様。リッテルバウム家は、あなたの功績に、最大限の感謝を込めてこのコインをお贈り致します。」


 白くて美しい手のひらに載せられたコインは、俺の手にそっと渡された。少しだけ触れた手の感触に密かに心臓の音が高鳴っていた。


「ララーヌ様。謹んで頂戴致します。侯爵様。ララーヌ様。貴重な物をありがとうございました。」


 侯爵様との優雅な談笑を楽しんだ後、リッテルバウム邸を後にし、次は達成報告のために冒険者ギルドへ向かうことにした。道中、手にしたコインが心に残り、鑑定アプリを起動してその真価を確かめることにした。


名前 リッテルバウム家の記念コイン

説明 白金貨の素体を、国の細工師に加工して作らせた記念コイン。5枚しか存在しない非常に価値のある物。白金貨の数倍の価値がある。所持している者は、リッテルバウム家からの後ろ盾がある事を示す。国内商店での買い物の際、値引き購入が可能となる。


(白金貨だって!?何かとんでもない物を頂いてしまった気が…。Eランク冒険者が持っていていい物なのだろうか。とりあえず大切に保管しておこう。)


 侯爵家のコインは、無くさないようにストレージにしまっておいた。


――――


(冒険者ギルド)


「ヒビキ君!聞いたわよ!大活躍だったそうね。推薦した私の目に狂いは無かったわ。」


「あっ…ルナさん。注目されているので、もう少し声を抑えて欲しいのですけど…。」


「あはっ、ごめんなさいね。嬉しくてね。侯爵様からは、依頼達成の報告が来ていたので、ギルドもその様に処理をしているわ。報酬はこちらね!」


Charin。


「えっ…と、袋!?」


 俺は、渡された袋の中を覗いて見ると、大量の金貨が入っていた。ざっと10枚はありそうである。


「え!?嘘でしょう?」「この金額は、正気ですか?」


「正気よ。これは、依頼主からヒビキ君へと預かった物よ。あなたは、それだけのことを成し遂げたと言うことよ。受け取りなさい。」


「では…確かに。」


「はい!それでは、報酬の件はおしまいね。」「次は、ギルドカードを出してくれる?」


「はい。こちらですけど…?」


「おめでとう!ランクアップよ!」


「な、何故に!?」「Dランク上がるのは、条件があって難しいのでは?」


「ええ。その通りよ。Dランクアップの条件は、貢献ポイントの規定数の到達。そして、もう1つは、昇格試験に合格するか、その実力をギルドマスターか、ギルド会長が認めた場合よ。一般的には、ギルドが指定した相手と模擬試合をするのだけれど、あなたの場合は、ギルド会長の侯爵様の推薦があるから…。」


「貢献ポイントは…?」


「先日の鉄鉱石の搬送で、大量の貢献ポイントを稼いだじゃない。文句なしの昇格よ!」


「うぉー!やった!」


(侯爵様。ありがとうございます!)


 遂に、俺は冒険者としての地位をDランクにまで上げることができたのであった…。


―――― to be continued …………

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