現実
夢か…
「おはよう浩也。ご飯出来てるわよ」
「あー、はーい」
ゴールデンウィークの後半になると、浩也の友達は実家に帰っていったのだ。皆、思っていたより真面目なんだ。だから、浩也もなんとなく家に帰ってきたのだった。急にも関わらず、迎え入れてくれるのは流石だと感じた。夕食も普段自炊をしている浩也にとって、凄まじく美味なものだった。
朝食の味噌汁が身に沁みる。一ヶ月半振りのその味は、四月のことを思い出させる。
入学して一週間が経てば、それなりに話し相手も出来てくる。そんな中で一人、話しかけたい人がいたのだ。ただ自信がない。
ネットの反応、漫画での描写、動画やテレビでの扱い、芸人のネタ、どうやって集計したのか分からないアンケート。
やめてくれよ…あんなもの見せられたら自信なんて残るはずないだろう。
「親が悪い…」
その言葉が微かに頭に残っている。そんなこと思っていないはずなのに、どこかでそう考えている事実があることをいよいよ包み隠すことは出来なくなった。
身体が「純物」であれば、心は汚れていく。
そんなことを思わず考えるこの現実は、なんとも惨めだ。
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