9話目 私の周りは魔法使いだらけ
「「は…………?」」
「もう一回言おっか?僕、君たちの仲間に入れてほしいんだ!」
ファータスはフードを取って、ニコニコの笑顔で謎なこともう一度言った。
ファータスってなかなか顔立ちがいいな。
「それは分かった!ちょっと黙ってて!」
リイラちゃんが混乱したように叫ぶ。
そして、私に耳打ちしてくる。
「ど、どうすんの?!私、アイツ、全く信用できないんだけど?!」
「私も同じ気持ちだよ。…でも、仲間は多い方が良いよね。」
私の言葉にリイラちゃんが「は?!」と言っているが、私は無視してファータスに顔を向け、
「いいよ!」
と、言った。もしファータスが私達を裏切ったとしても、マジックバードをあんなにあっさり倒せた私は、ファータスも倒せるはず!
だから仲間に入れても大丈夫!だと思う。
「私はあんな危険な奴入れたくないんだけど…?!」
「ほんと……?嬉しいっ……」
ファータスは、リイラちゃんの声は聞こえないみたいだ。私を見て瞳を輝かせている。
「これからよろしくね。えっと…」
「私はミレイ。あっちの女の子はリイラちゃんだよ。」
「ミレイ。リイラ。これからお世話になります。」
丁寧にお辞儀をしているファータス。
こんな態度見てたら、今さっきマジックバードで鈴愛を襲おうとしたやつには見えない。
「ミレイがそれでいいなら、私もそれでいいや。」
諦めたようにリイラちゃんが言った。
「ファータスも城に来ますか?」
鈴愛がファータスを誘う。
「うん。じゃあそうさせてもらうよ。」
ファータスはそう言って、爽やかに微笑んだ。
「──────ここが私の部屋です。」
「………」
あまりの豪華さに私は口をぱかっと開けて突っ立ってることしか出来なかった。
私が今見ている景色は、
高級そうな色をしているカーペット。
触ったらすっごくもちもちしてそうな紫色のベット。
細かな模様が入っているベージュの壁。
棚や机やクローゼットは今日買いたてです、ってくらいにピッカピカ。
「えっと、こんなところに私達が居てもよろしいのでしょうか……?」
遠慮がちに言ったリイラちゃん。確かに、私達がここに居ると、このきれいな部屋が汚れちゃいそうだ。
「全然良いですよ。今、あなた達の分の机と椅子を持って来ますので、少しお待ち下さい。」
そう言って部屋を出ようとした鈴愛に、
「私達が運びます!!」
と私とリイラちゃんが焦って言った。王女様にそんなものを運ばせてしまったら、どんな目で見られるか分からない。
ガタッ
3人が椅子に腰掛ける音が部屋に響く。
「…ここの部屋、すごいね。なんか居心地悪いな。」
ファータスが眉をひそめて言った。
「そんなこと言っちゃダメでしょ!まあ一理あるけど!」
リイラちゃんがこそっと言う。
私は鈴愛の部屋なんだって思うと居心地良いも悪いもないけどなぁ。
鈴愛のこと「王女様」って意識してる2人は、そう思っちゃうのかな。ちょっと動いただけで何か壊しそうだしね。
何かを壊したら大惨事だ。ものによってはフィアライ中を巻き込む騒動になるかも。気をつけなきゃ。
ガシャーンッ
「きゃあっ」
不意に、何かが壊れる音と悲鳴が聞こえた。この部屋からじゃない。遠くからだ。
この声………
「この声、王女様じゃないか?」
ファータスが杖を持って立った。不安そうな顔をしている。
リイラちゃんも私もファータスの後に立つ。
私達は部屋を飛び出した。
「鈴愛っ」
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