7話目 転生した【鈴愛side】
私は、暇になるとよく屋上へ行く。
というか、最近は姉が高校生になってしまって、話し相手がいないので、毎日のように屋上へ来ている。
屋上のドアは壊れていて、鍵がなくても出入りできるようになっていた。
今日も、誰もいないことを確かめて、屋上へ足を踏み入れた。
「今日は風が強いなぁ。」
そんなことをつぶやきながら、屋上の端まで歩く。
「きゃっ」
突然、かなり強い風が吹いてきた。
私の体がフェンスに打ち付けられる。
ここでフェンスが壊れたら、私やばいな。そう思った瞬間。
ガシャッ
と音を立てて、フェンスが崩れ落ちた。私はフェンスと一緒に落ちていく。
「きゃあああああっ!!!」
「────様、フィオ様。起きてください。」
女の人の声が耳に届いた。
私はバッと起き上がる。
はじめは病院だと思った。でも、そうじゃないと気づいたのはすぐ。まず、ベットが違う。こんなキラキラしてない。
棚やクローゼットなども置いてあることから、ここは誰かの部屋だろう、と思った。
でも、誰の部屋?私の知り合いに、こんな豪華な部屋を持っている人はない。
床に敷いてあるもふもふのカーペットも、この大人3人ほどが眠れるくらいの大きさのベットも、かなりの高級品だ。
この状況が全く理解できなくて、私は固まる。
「フィオ様。おはようございます。御朝食はどうなさいますか?」
突然、隣に立っていた人が喋る。
メイド服を来ているから、メイドなのかな?
「えっと…大丈夫です。」
私はしどろもどろに答える。
「分かりました。では、失礼します。」
と言って、メイドは部屋を出た。
メイドの人が言ってた、フィオって誰?
もしかして、私?!
私に向かって「フィオ」って言ってたよね。これは…私死んじゃったから、フィオに転生した的なやつですか?
しかもフィオってたぶん、お姉ちゃんが小学生くらいの頃やってたゲームだよね?魔法使いが主人公のやつ。
転生とか、「妄想しすぎな奴」みたいだけど、正直それが一番納得する。
「私…ゲームの王女様に転生したんだ…!」
「王女フィオ」に慣れてきた頃。
私はいつものようにフィアライの中央広場へ行って、住人と会話をしていた時だった。
「鈴愛……?」
懐かしい名前が聞こえた。
声がしたところにに目を向ける。10歳くらいの少女がいた。
このゲームの主人公だ。なんでこの子が私の前世の名前を知ってるんだろう。
「なんで私の名前…?」
「私だよ…月乃美麗だよ…!」
「……お姉ちゃん…?」
お姉ちゃんも転生してきたの?しかも、私と同じこのゲームに…?
嬉しさが溢れたのか、私の目から一筋の涙がこぼれ落ちた。
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