3話目 こんな展開、聞いてない!

「ド、ド、ド、ドラゴンンンン!!!!????」


わわっ!本当にドラゴンじゃん!ゲーム始めたばっかでこんな強い敵出てくるの?

あれ?このゲームの光景、どこかで見たような……

「あっ。私が小学生の時らへんにプレイしたゲームかも!」

題名忘れちゃったけど。こんなとこ、あった気がする!確かこのドラゴン、姿だけ見せてどっか飛んでいくんだよね。ということは、戦わなくてよし!

「わー。でっかいなぁー。」

戦わなくていいことが分かった私は、のんきにドラゴンを見上げている。すると、

ドオンッ

と、爆発音に似た音を出して、ドラゴンがこちらに向かって一歩踏み出してきた。そしてすごい音を出して炎を吹き出してくる。

「え」

えっと…炎吹き出してくるってことは…攻撃されてる?飛んでいく気配…ないな。ってことは、

「戦わないといけないの?!」

そんな展開、聞いてないよ!!

と、と、とにかく魔法で対抗しなきゃ。私はショルダーバッグに手を突っ込んで、紙を取り出す。その中の

『使える魔法』

を読む。

『フローティング

イレース

ファイア

スモールファイア

アイス

スモールアイス』

と、書かれていた。

あ、スモールファイアって、もともとある呪文なんだ…ちょっと自慢気に言ったの恥ずいな。

『フローティング』って、「浮遊」って意味だよね。これで空が飛べるんだ!

「フローティング!」

そう言うと、私の体はふわっと浮き上がった。

「わああ……!!」

私、空を飛んでる!ちょっと怖いけどすごい!そこらへんを飛び回ってみる。

ゴオオオオ…

突然、ドラゴンが炎を吹き出す音が後ろから聞こえた。そっか。ドラゴン倒さないといけないんだった!

『イレース』ってなんだろ。使ってみようかな。

「イレース」

ぼとっ

「痛っ」

地面に叩きつけられた。イレースって飛ぶのをやめる呪文なのかな。なるほど。

それにしても痛い…結構上空にいたからなぁ…

ゴオオオッ

「あっつ!!」

ドラゴンが吐いた炎が体をかすめた。反撃してやるっ!!

「フローティング!」

空を飛ぶ。

「ファイア!」

杖をドラゴンに向かって振りかざして言った。

ボオオオンッ

と、音を立てて炎がドラゴンに当たった。だが、煙の中から普通にドラゴンが出てきた。

「えっ?絶対ぶつかったはずなのに…」

もしかしてドラゴンが炎系だから効かなかった?じゃあ氷は効くかな。

「アイスッ!」

大声で呪文を唱える。

杖の先から巨大な氷が出てきて、つららのように細く、鋭くなった。ドラゴンへ飛んでいく。そして、ドラゴンの頭らへんに刺さった。

グオオオオオ…

ドラゴンがうなり声をあげた。空気が振動する。そのうなり声は、耳をふさいでも響いてくるほどだった。

うなり声は、しばらくすると、ピタリと止まった。おそるおそるドラゴンがいたところまで飛んでいってみる。

「あ、ドラゴン、倒しちゃった…」

ドラゴンは、地面に倒れて動く様子はなかった。しっぽの方からサラサラと砂のようになってと消えていく。

強そうだったのに、こんなにあっさり倒せちゃった。

ドラゴンが完全に消えると、ポツンと何かが残っていた。

戦利品かな?私はそこに飛んでいく。

「イレース」

足が地面に触れる。残っていたものをしゃがみこんで見た。

「杖?」

拾い上げると、確かに杖だ。先端に龍の模様が描かれている。これ、本当にブラックドラゴンが落としたのかな?

「あ、こういうときに、モンスターリスト見ればいいんだ。」

『モンスターリスト』

を開く。

『ブラックドラゴン

中ボス。炎属性の攻撃は一切効かない。その代わり、氷属性の攻撃がよく効く。倒すと、今自分が所持している武器のブラックドラゴン版がゲット出来る(杖だとブラックドラゴンの杖、剣だとブラックドラゴンの剣など)。』

「ブラックドラゴンって…中ボスなの?!出現する時期、早すぎません?」

私、こんな早くに中ボス倒しちゃった…しかも一発で…

「あなた、何者?」

今私が言おうとしていたセリフを誰かに言われる。え、人?!

「誰?!」

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