第2話 帰りのバスで彼女の横に座る(僕 高校1年生)想いのままに・男子編
上級生達は早々(そうそう)に帰って仕舞(しま)って、弓道場の後片付(あとかたづ)けと掃除(そうじ)をするのは、1年生達の日課(にっか)となっている。
整理整頓も済(す)ませ、射場(しゃじょう)の戸締(とじ)まりをして退場へ退場の一礼(いちれい)をする頃(ころ)には、夜の帳(とばり)が辺(あた)りを包(つつ)んでいた。
僅(わず)かに暖(あたた)かくなって来ただけで、まだまだ寒(さむ)さの残る4月下旬の午後7時半近くの外は既(すで)に真っ暗(まっくら)で、太陽が南回帰線(みなみかいきせん)から北上(ほくじょう)して来ているのを全(まった)く感じない。
金石(かないわ)街道のバス停で来るべきバスを待つ視線の果(は)て、西の空の低空と地平際(ちへいさい)に残るカーマインレッドとオレンジ色の空の明るさが、漆黒(しっこく)の上空から迫(せま)る深い藍色(あいいろ)で急速に色褪(いろあ)せて閉(と)ざされて行く。
程(ほど)なくして濁(にご)って行く空を背景に、バスが来るのが見えた。
金石のバスターミナルを始発(しはつ)とするそのバスで香林坊(こうりんぼう)まで行き、錦町(にしきまち)、土清水(つっちょうず)方面へのバスに乗り換(か)える。
別に香林坊まで行かなくて、武蔵(むさし)が辻(つじ)で橋場町(はしばちょう)経由(けいゆ)に乗り換(か)えるのも有りだれど、少しでも長く眠(ねむ)りたいから香林坊まで乗っている。
それに気が向いたら片町(かたまち)や竪町(たてまち)の界隈(かいわい)で、ラーメンやお好(この)み焼きを食べるか、喫茶店(きっさてん)でカフェオレっぽくしたブレンドコーヒーを飲むかしてから帰っていた。
乗客の殆(ほとん)どが武蔵が辻までに降車して、香林坊以遠まで行く客は少ない。
いつもの最後尾の窓際(まどぎわ)の席を確保して、誰(だれ)にも邪魔(じゃま)されずに爆睡(ばくすい)できるようにする為(ため)、バス待ちの最前列に立つ。
この時刻(じこく)、バス待ちの連中は、部活の後片付けで遅(おそ)くなった1年生ばかりだ。
バスが停車してピタリと目の前に来た乗降口の扉(とびら)が開き、僕は勢(いきお)い良く真っ先(まっさき)にバスに乗り込み、いつもの一番後ろの座席(ざせき)へと向かう。
だが、狙(ねら)いを付けていた席には、既に女の人が座(すわ)っている。
(珍(めずら)しいな……)
社会人達の帰宅で混(こ)み合う時間帯の過(す)ぎたバスの車内はガラガラの空(す)き具合(ぐあい)で、大抵(たいてい)はバスを待っていた生徒達の全員が座れていた。
僕の場所と決めている最後尾の其(そ)の席に、これまで座って来ている乗客を見た事がなくて、いつもと違う有り様(ありさま)に戸惑(とまど)う僕は何処(どこ)に座ろうかと迷(まよ)ってしまう。
仕方(しかた)が無いので、反対側の最後尾の座席に向かおうとした。
僕の後ろからは、次々と部活の終わった生徒達が乗り込んで来る。
五人(ごにん)掛(が)けの最後列の座席は、僕のいつもの席以外は空(あ)いていて、わざわざ女性の横に行って座るのは抵抗(ていこう)が有って躊躇(ためら)った。
それと、其のワザとらしさが厭(いや)らしい下心(したごころ)を含(ふく)んでいると思われそうだ。
いつもの座席に座っていたのは、大人(おとな)の女性じゃなくて女子高校生だった。
尚更(なおさら)、抵抗が強まって、横には座れない。
いつもの僕の指定席のような場所に座る女子高校生の頬杖(ほおづえ)を突(つ)いて上半身ごと窓の外へ向けた顔は、暗(くら)く影(かげ)になって良く見えない。
音楽でも聴(き)いているのだろうか、耳に掛かる髪(かみ)の間から白いイヤホンの一部が見えて、その先端(せんたん)の髪で隠(かく)れた耳の辺(あた)りがチカチカと小さく光っていた。
たぶん、イヤホンに組(く)み込まれたLED素子(そし)が曲のリズムに連動して瞬(またた)いているのだろう。
組んだルーズっぽい白いハイソックスを穿(は)いた素足(すあし)は、短(みじか)めなスカートから曝(さら)け出た太腿(ふともも)が車内灯の灯(あか)りに白く映(は)えて眩(まぶ)しい。
夕方(ゆうがた)の砂丘(さきゅう)の上に見えた白い太腿の果(は)て、思い出した黒い下着で赤裸々(せきらら)に厭らしい気持ちが湧(わ)き上がり、間近(まぢか)で眺(なが)めたい欲望(よくぼう)に再(ふたた)び股間(こかん)が痛(いた)み出しそうだ。
ハイソックスがズリ落ちないように留(と)めている、細いライトブルーのバンドがキュートだ。
そんなキュートさに再(ふたた)び顔を見ようとした僕は、暗い窓ガラスに映(うつ)る女子高校生の顔の瞳(ひとみ)に気付いて固(かた)まった。
(彼女だ……)
其処(そこ)に、彼女がいた!
(こんなに暗くなるまで、浜(はま)にいたのか……?)
暗くてよく分からない表情の彼女の目が、僕を見ているのが分かった。
後ろから来た同学年の奴(やつ)が、立ち止まった僕の横を擦(す)り抜(ぬ)けて彼女の方へ行こうとする。
強引(ごういん)に、そいつを遮(さえぎ)って反対側へ追い遣(や)り、急(いそ)いで僕は彼女の隣(となり)に座った。
「なんだよう?」
進路を妨害(ぼうがい)され、追い払(はら)われる不機嫌顔(ふきげんかお)のそいつが、低(ひく)い声で脅(おど)すように言う。
「すまん! 彼女だ!」
隣(とな)りの彼女に聞こえないように、掌(てのひら)で遮蔽(しゃへい)しながら小声で返(かえ)すと、僕を睨(にら)んでいたそいつの顔が驚(おどろ)きに変わった。
「マジ?」
そいつは体と顔を傾(かたむ)けて頷(うなず)く僕越しに、そっぽを向いて不貞腐(ふてくさ)っているみたいな彼女を、あからさまにジロジロと値踏(ねぶ)みすると、信じられないと驚く表情に羨望(せんぼう)を混(ま)じらせ、この状況(じょうきょう)をどのように理解(りかい)したのか分らないが、大人(おとな)しくなったそいつは、肩(かた)を落として無言で反対側へ移(うつ)って行った。
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冷たい雨が降り続く4月上旬の朝は、暗くて物寂(ものさび)しい。
朝のバスの中で、彼女の座席横に立つ僕は彼女を見下(みお)ろしていた。
彼女の髪に付いた雨の雫(しずく)と真新(まあたら)しい制服の肩や背(せ)に残る露(つゆ)や飛沫(しぶき)に濡(ぬ)れた小さな染(し)みを見ていた。
毎朝、同じバスに乗って来る彼女の座席の横へ黙(だま)って立つ僕は、きっと、ストーカーや痴漢(ちかん)もどきの気持ち悪い奴と思われているだろう。
スマートフォンのメールに僕は横に立つ事を書かない。
時々、返信されてくる彼女のメールも、そこには触(ふ)れて来(こ)なかった。
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高校に入り、バス通学が始(はじ)まった。
香林坊のバス停で、バスを乗り継(つ)いで学校の在る畝田町(うねだまち)のバス停まで行く。
始(はじ)めは遅刻(ちこく)しないように余裕(よゆう)をみて、朝はもっと早い時刻のバスに乗っていた。
立夏(りっか)も既に過ぎて大気が湿(しめ)りだす頃、学校からの帰宅(きたく)で乗っていたバスに兼六園下(けんろくえんした)のバス停から彼女が乗車して来た。
僕に気付かないのか、無表情に僕を無視して空いた席に座る。
(彼女も、バスで通学しているんだ)
さっそく確認(かくにん)した。
直(す)ぐ様(さま)、彼女にメールを送ってみる。
【君も、バス通学なのですか? 朝は、どの時刻のバスに乗るのですか?】
相変(あいか)わらず、直ぐにメールの返事は来ない。
翌日の朝から、乗車時刻を変更しての彼女が乗るバス探(さが)しが始まる。
彼女が通(かよ)う高校の所在地(しょざいち)と通学距離(きょり)から、僕より早い時刻のバスに乗らないだろうと考え、僕の乗るバスから一(ひと)つずつ遅い時刻のバスに乗り込み、彼女を探すことにした。
彼女の諸々(もろもろ)の突発的(とっぱつてき)な事情や僕の見落としが有るかも知れないので、同じ時刻のバスには二日(ふつか)続けて乗って確認している。
これではストーカー行為(こうい)その物だけど、彼女に会いたい想(おも)いが募(つの)る僕は焦(あせ)るばかりで、客観的(きゃくかんてき)に自分を見直(みなお)す事が出来なかった。
金沢駅行きの他に粟崎(あわがさき)行(ゆ)きも有るバス路線は、橋場町経由と香林坊経由の2路線が有り、特に朝の通勤時間帯のバスの本数は多い。
バス通学をしていると思う彼女探しを始めてから、既に十日(とおか)が過ぎた。
今朝(けさ)は探し始める以前に乗っていたバスより、40分以上も遅い時刻のバスに乗る。
これ以上、遅い時刻のバスには乗れない。
その時刻だとバスの運行や僕自身の行動に少しでもイレギュラーが起(お)きると遅刻してしまう。
(これに乗っていないと、本当に、偶然(ぐうぜん)の出逢いだけになってしまうな……)
憂(うれ)いと僅(わず)かな期待が混(ま)ざり合う不安な気持ちで、僕はバスを待つ。
程無(ほどな)くして、僅かに右に折(お)れる道路の彼方(かなた)にバスが見え、やがて一つ先のバス停の乗降を済(す)ませて近付いて来る。
バスが近付いて来るにつれて、フロントガラス越しに内部の様子が、初めは薄(う)っすらぼんやりと、そして段々とはっきり見え出して来た。
二(ふた)つ向こうのバス停が始発なので、混(こ)み合っていなくて乗客はみんな座席に座り、車内に立っている人影は無い。
バスは間近(まぢか)に迫(せま)り、運転手や座席の乗客の顔が、はっきりと見分けられるようになって来た。
(いた! やっと、見付けた!)
バスの最前席、降車口前の座席に彼女は座っていた。
彼女も、僕に気付(きづ)いているようだけど、その姿勢や表情は少しも変わらず、減速して停車するバスの中の無感情な目線だけが、僕と交差して行く。
車体側面の中央に有る乗車口からバスへ乗り込んだ僕は、さり気無く彼女の横に立つ。
空いている座席が沢山(たくさん)有っても、彼女の後ろや向かい側の座席が空いていても、僕は座らずに彼女の横に立った。
彼女は僅かに顔を傾けて、僕が横に来たのを察(さっ)したようだが、顔を向けて僕を見上げて来る事は無かった。
僕の方は、彼女に声を掛ける勇気(ゆうき)が無くて朝の挨拶もちゃんとできていない。
一言(ひとこと)も話せなくて、会話は全く無かった。それでも、彼女を見付け出して近くに立って居られるだけで、僕は嬉(うれ)しくて幸せな気持ちで満ち足りていた。
香林坊から二つ手前の兼六園下のバス停で、彼女はバスを降り、対向車線側の白鳥路入り口前に在るバス停から、東金沢方向の柳橋(やなぎばし)行きのバスに乗り換えて、大樋町に在る学校へと向かう。
……足早(あしばや)に向かうはずなのに、降車した彼女はバスの脇で立ち止まり、いつもの薄(うす)く微笑(ほほえ)みを浮かべているような顔で僕を見上げている。
バスが動き出しても、百間堀(ひゃっけんほり)に掛かる石川橋(いしかわばし)の石垣(いしがき)の向こうへバスが隠れて行くまで、彼女は僕の方を見続けていた。
僕と出逢えて、彼女は嬉(うれ)しいのだろうか?
それとも、絶縁を望んでいた祟り神の様なオタク男子悪縁(あくえん)と思う鬱陶(うっとう)しさと不可解(ふかかい)さで嫌気(いやけ)がしているのだろうか?
僕を睨むように見送る表情から僅かに察したのは、僕の勝手な込み思いで第六感(だいろっかん)のように曖昧(あいまい)な不確実さだけど、彼女との見詰め合いで心が通い合えたように思えた事だった。
だから、僕は抱(かか)えていた学生鞄(かばん)を足許(あしもと)に置いて右手の手を握(にぎ)り、僕を見上げる彼女に向けて自分の胸に当ててみせる。
『貴女(あなた)に忠誠(ちゅうせい)を誓(ちか)い、御護(おまも)り致します』と、騎士(ナイト)が王女(プリンセス)へ我(わ)が身を捧(ささ)げるように忠誠ポーズを取って示(しめ)した。
これは跪(ひざまず)いて頭(こうべ)を垂(た)れるべき行為なのだけれど、バスの中でも、此処(ここ)でも、行う事が出来なかった。
それに、其処まですると、きっと彼女は凄く恥ずかしがるだろう。
だが、此の儘(このまま)だと威圧的(いあつてき)に俯瞰(ふかん)していて彼女への忠誠どころか、彼女が嫌(いや)がる迷惑(めいわく)千万(せんばん)な行為になっていると思った。
怪訝(けげん)な顔をされるかと、彼女の反応を見ていると、驚いた事に僕を見ていた彼女が、彼女の……、自分の胸を見てから自分の右手を胸に付け、そしてまた、僕を見た。
その時、バスが発進して手を添(そ)えた自分の胸と忠誠ポーズを取る僕を、交互(こうご)に見遣(みや)る車窓の向こうの彼女を後方へと運び去(さ)ってしまった。
(マジ? マジ? 彼女が、誓いを受け入れてくれたぁ? 本当に? それじゃあ……)
見たままが彼女の真意(しんい)ならば、誓(ちか)いは守り通さなければならない!
(どうか、僕の勘違(かんちが)いじゃありませんように……)
とうとう、彼女を探し出せて再び逢えた。
中学2年生の時のように彼女の真横にいられて、中学校の卒業式の日のように彼女と向き合えている。
そして僕が横に立つのを避(さ)けたり、厭(いや)がったりもせずに、彼女は僕を真横にいさせてくれた。
彼女の事だから、僕を嫌(きら)っていて傍(そば)にいられるのが厭で嫌で仕方(しかた)が無くて、僕が近付くのも許(ゆる)せないならば、彼女はさっさと途中のバス停でバスを降りていただろうし、忠誠ポーズへの返礼もしなかったと思う。
(彼女は……、僕と出逢うのを…… 望(のぞ)んでいたんだ! ……かな?)
アクティブな思いを秘(ひ)めて、パッシブに待ち続けてくれた彼女に僕は感動していた。
彼女が降車して空いた席に座り、シートに残る彼女の温(ぬく)もりを感じたいのに、僕の足は彼女に出逢えた感動で小刻(こきざ)みに震(ふる)えて竦(すく)み、乗り継ぎをする香林坊のバス停に着くまで動く事ができなかった。
翌日(よくじつ)の朝も、彼女は同じ時刻のバスの降車口前の同じ最前席に座り、バス待ちしている僕を、彼女の視線が追い続けていた。
通学のバス路線を尋(たず)ねても何も答えず、まるで、『探せば』とか、『見付けてみれば』のライトノベルのミステリー調に、金澤(かなざわ)神社への初詣(はつもうで)で、直ぐ近くにいた彼女に気付かなかった僕の想いと知覚(ちかく)を試(ため)していたのかも知れなかった。
(やはり、彼女は、僕に見付けてられるのを…… 待(ま)っていた…… のか? ……そっ、そうなのか?)
昨日(きのう)に続いて、今日からの毎朝、この時刻の、このバスの、この立ち位置が、僕の定位置になった。
(彼女の近くにいて、彼女を護りたい!)
彼女に断られている儘(まま)から、今は声を掛けられないけれど、そのうちに彼女から話し掛けてくれて、普通にカレ、カノで話せるような親密(しんみつ)さになりたいと思っている。
……どうしても、話せるようになりたいです。
……御願いだから、彼女に必要とされるようにして下さい。
(僕はもう、五体投地(ごたいとうち)で、君に御願いしたい!)
だけど、昨日と同じ忠誠ポーズをしても、彼女はチラ見する事も、見送る事もなく、さっさと乗り継ぎのバス停へ向かってしまった。
(あの彼女のポーズは、返礼じゃなかったのか? 単なる僕の勘違いで、ハナっから忠誠ポーズなど眼中に無かったのか?)
以後も、乗車するバスを変更される事はなかったから、僕を見たくもないくらいに……、近寄られたくないほどに……、厭で、厭でしょうがなくて避けたいとは、思っていないみたいだった。
其の後数日で、返礼がされなくなった忠誠ポーズを、僕は恥ずかしくなって止(や)めてしまった。
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金石のバスターミナルを始発とするバスの最後部座席列には、金石砂丘へ来ていた彼女が窓側に座って眠っていたるだけで、他の座席は全(すべ)て空いていた。
普段(ふだん)の起きている彼女ならば、彼女の横に座る勇気など僕には無い!
なのに、この時は迷(まよ)いも、躊躇(ためら)いも無く、他の男子を座らせないようにして座れた自分に、僕は座ってから驚いていた。
(そうか、メール交換(こうかん)の始まりの時のように僕だと悟(さと)られていなければ、僕は彼女に率先(そっせん)した行動を執(と)れるんだ! いや違う、窓ガラスに映っていた彼女は起きていて、その瞳は僕を見ていた……。そう、僕は焦(あせ)りと独占欲(どくせんよく)から、彼女が起きていた事を一瞬(いっしゅん)忘(わす)れて、衝動的(しょうどうてき)な行動にでたんだった!)
彼女の隣に座った直後に、マナーモードにしたスマートフォンが震(ふる)えた。
振動(しんどう)リズムが、メールの着信を知らせる。
振動音が居眠(いねむ)りのふりする彼女の機嫌(きげん)を損(そこ)ねてしまうかもと緊張(きんちょう)したが、我(わ)が校の生徒で一杯(いっぱい)なバスの中の喧騒(けんそう)を煩(うるさ)がる素振(そぶ)りが無い彼女だから、喧騒の中のマナーモードの振動(しんどう)程度では憤(むずが)る事は無いだろうと、考え直して安堵(あんど)した。
だが、しかし、乗車する生徒達の騒(さわ)がしさで眠れずにいるのかも知れない……。
つつく
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