第3話 ただいま、故郷の日本!
「ふぅ………」
出張帰りののサラリーマンが、飛行機の外を眺めていた。ほとんど雲がかかっていて、地面は見えなかった。
まだ仕事を始めて数年。初めての出張に心の疲れを蓄積し、さらに緊張したせいで暇つぶしの道具さえ持ってきてなかったため、彼は飛行機の外を見るしかやることがなかった。
それが、誰も見た事ないような、珍しい光景を見るきっかけになるとはつゆ知らず。
「………え?」
サラリーマンは目を見開いた。初めて見たのだ。
飛んでる飛行機の翼の上に、人がいるのを。
「これどこ行きの飛行機?」
「日本の成田空港だ。
「おー、あとどんぐらい?」
「あと40分くらいじゃないか?」
「んーしゃらくせぇ!!飛ぶぞ!!」
「だろうと思った。」
黒いジャージの少年と、刀を腰にさげた茶髪の少年が、飛行機の翼の上で会話したあと、またすぐにジャンプして飛んでいった。
「え、え!?なんだ今の!?」
「うるさいぞ、どうしたお前。」
飛行機から唯一それを見たサラリーマンは、そのあと隣の先輩にその話をしたが、理解はされなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
東京の秋葉原駅の近く。たくさんのクレーンゲーム屋やアニメイトが並ぶ道。歩行者天国が行われている道の真ん中を、黒いローブを来た男性が歩いている。
ネットに載せたいのか、何人かの人達は道路を背景に写真を撮っている。
声をかけてくるメイド達をどうにか避け、待ち合わせの飲食店に男は向かう。
店に入り店員に先に連れがいることを伝えると、席に連れていかれた。
そこには、髪をポニーテールにした、可愛らしい子が座っていた。
「武玄さん。こんにちは。」
「あぁ、魅琴。」
白いセーターを来た可愛い子、名前を
魅琴はコーヒーを飲みながら、武玄を待っていた。
「武玄さん、海外でなにか掴みました?」
「あぁ、また予兆があった。きっと、やつらが関わっている。」
武玄はそこでパスタとハンバーグステーキを頼み、魅琴はピザを頼んだ。
「それは強いタイプの概念格ですか?」
「最強の1歩手前、と言ったところだ。俺じゃあ無理だろうな。」
「じゃあ私が行きましょうか?」
「あぁ、そうして欲しい。が、難点があってな。」
「なんです?」
「多分、教会のヤツらが関わってる。足かがりが欲しいから内部にいって情報を集めて欲しいんだ。だが舞台は海外だ。………分かるな?」
「あー、なるほど。私は英語苦手ですもんね。」
彼らの会話の内容は、普通の人には分からない。秋葉原という場所も相まって、そんな会話していても不思議に思う人は少ないかもしれない。
この内容が分かるなら、彼らが敵視している人々か、あるいは、あの最強の2人か。
「じゃあ、俺らで行こうか?」
「………お前ら、帰ってきてたのか。」
突然話しかけられ、武玄は身を引き締めたが、目の前にいた人物を見て安堵した。魅琴は立ち上がって、満面の笑みで喜んだ。
「おかえり!!快斗君!!瀬太君!!」
「ただいま魅琴!!」
「おう。戻ったぞ。」
はるか遠くの暗い世界から、最強の2人、快斗と瀬太は、自分の祖国に帰還したのだった。
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