あとがき@心残り
あとがき
と言う名の心残り
映画のエンディングで登場人物がみんなで踊ってるやつ、僕好きなんですよね。
主人公チームが楽しそうに踊ってるのは勿論の事、敵役が牢屋の鉄格子に囲まれて、不愉快そうに嫌々踊ってる(逆に主人公を出し抜いて、いっちばんキレキレで踊ってる)のとか最高ですよね。
もし、この小説にエンディングがあるとすれば……。
※YouTubeで「Bee Gees」の『You Should Be Dancing』を聞きながら、以降の文章を読んで下さい。
舞台はファフロツキーズの中の一室。
特別に設けられた【ダンスホール】か、【ディスコ】。
『サタデーナイトフィーバー』よろしく赤や黄色や青とかの原色が点滅する床があって、おっきなミラーボールが釣り下がってる。
分身したジュリィがドラッグクイーンを務め、その後ろで王様とか大臣とか老魔法使いとかのオジサマ連中がバンドやってる。
グラサンかけてスパンコールのスーツ着てね。
お客は、登場人物全員。
ほとんど楽屋裏。
というかこの作品をクランクアップした後の打ち上げみたいな雰囲気かな。なので敵味方分け隔てない。
場の中心では、『トニー』と『ステファニー』よろしく、ウィルと姫の独壇場。息をぴったり合わせてノリノリで踊る二人。
その周りには分隊長とか近衛兵、騎士団長、魔導士団に家具アタマカボチャ頭たちの姿が。
ゴーレムやグレムリンもCGじゃなくてそういう演者として存在するので、デーモンも試作ゴーレムも竜人ゴーレムだってこの場にはいて、一緒に踊っている。
その他、ウィルオウウィスプの一族も勢ぞろいで、下手したら『リメンバー・ミー』の一場面みたいに見える。
各話だけに出て来た連中は、場面が切り替わって、その自分が出て来た舞台で踊っている。
第三話なら、宝石商ばあちゃんはテントの前で、菓子屋のオヤジは露店の中で、スカウンドレルの悪ガキはその店の前で。
かませ犬の魔法使いもその辺で。
ちょっといけ好かないけど、孤児院の連中もウインディおかえりパーティーの会場で踊ってるとか?
それと、第五話に出て来た「レッドラムの魔法の産物」とかね。
グリフィン隊の一人が水ゾンビを見てギョッとするんだけど、劇中とは逆にまたブロンドの美女の姿になって、そしたら懲りずに二人で踊ってる、とかあったら面白いと思う。
これだけ大所帯にあって、メインキャラクターの「アルベルト」と「ウインディ」は会場にいない。
なぜなら彼女らは、今エピローグで絶賛悪企み中だから。
ウィルがゴーレムが持ってきた大きな板に『ファフロツキーズの鍵』を刺し込むと、
エピローグのウインディとアルベルトが悪企みしていた、孤塔の一室の四隅に亀裂が入り、その壁が映画のセットの様にパックリ四面に割れ、──ダンスホールへご招待。
四面に割れた壁は、サイコロの展開図のように十字に倒れる。
二人は突如としてディスコのど真ん中。見渡す限りのどんちゃん騒ぎ。
密会していたつもりが急に、大勢人がいる所連れて来られて、キョロキョロするウインディとアルベルト。
すかさず姫が「大魔法使いの杖」で二人に魔法をかけ、二人は衣裳チェンジ。
アルベルトはド派手なフリンジ袖(袖にびらびら紐がついてる奴)のイカした衣装に着替えさせられ、陽気な音楽と薄着の美女(水ゾンビ)につられて、ノリノリでディスコにくり出す。
片やウインディも真っ赤な情熱的なドレスに着替えさせれる。
が、いつも通りのムスっとした通常運転の「へ」の字口、そんで「ふんす」と腕を組んでベッドに座り込んでしまう。なんてノリが悪い。
周りが元気よく踊っている中心で、ベッドに座って(この頃には床も椅子も消えている)ムスッとしているウインディは非常に浮いている。
しかしここで間奏前最後のサビに合わせるようにウィルが、
「You Should Be Dancing Yeah !(人生楽しめっ!!)」
と挑発し、
それでウインディはキッとウィルを見返して立ち上がる。
ディスコの中心にたまたまいた孤児院の連中をお尻で突き飛ばして、
[ ちょうどここで間奏が入る ]
パラッパラッパラッパラッパララッ×2 パラッパラッパラッ、パパパァ~、
ギュイーンッギュイーンッ♪
イカした管楽器の音色と、めちゃカッコイイギターのビートに合わせて、ウインディが覚醒する。
これまでのジトォっと湿気った雰囲気から一転、キレキッレのダンスを披露し始める。
(隅っこで黒猫も二足歩行で、あわせて踊ってたら可愛くていい。)
フロアはウインディの完全な独壇場。周囲もそのダンスに釘付け。
そのウインディの吹っ切れ様を見て、ウィルと姫は顔を合わせてニヤケ面。
そして二人もその熱気に充てられてダンスフロアの中心へ。ウインディに混ざる。
一行はますます、熱量を上げて踊り狂う。
場面が切り替わって、夜空を泳ぐファフロツキーズを背後から映す。
その体表面に浮き出た窓からは、絶えずチカチカとまぶしい光が放たれて、うっすらディスコの音楽が聞こえてくる。
ここまで来たらもう曲も終わり。
だんだんとフェードアウトしていく音楽に合わせて、ファフロツキーズも一行を乗せて、夜空の奥へ飛び去って行く。
で、【 お わ り 】の丸みがかった文字が出ると。
どお? 面白そうでは?
「はあ~ おもしろかった☆」
と思って映画館を出れそうだよね。
あとはねぇ、映画のエンディングで登場人物のその後がイラストでちょっと紹介されるのとかも好きなんですよ。
え? 長いって? 何をいまさら。ここまで読んでおいて。
まだ続きますよ? だってこれだけ僕の好きな要素を詰め込んだ話だもん。いまさら妥協なんてしない。
それに、ここ「あとがき」だし。
伏線やオチはおろかストーリーさえ考えなくてもいい、比較的自由な場所でしょ?
だから未練がましくエンディングのアイデアをここに書きなぐっているわけですよ。
でさ、でさ。
この小説で言うなら、
「勲章を授与されてる分隊長」とか、
「お父さんに怒鳴られてるのに、かまわずメイドをナンパしてるアルベルト」とか、
「ウインディの孤児院で魔法のすばらしさを説いているウィルと姫」とか、
「その後ろで、背景で小さく院長とウインディが和解している」とか、
「炉窯の中で焼け焦げたデーモンの死骸を削って【デヴォルの木炭】を発見してるウィル」とか、
「それを組み込んだ魔導具を姫と作って大儲けするウィル」とか、
「ビックベルをもう一本建てようとしてるウィル」とか、
「伯爵になったからうんと着飾ってかっこつけてるウィルと、それに苦笑いを向けている姫」とか、
「孤塔の窓辺に肘をついて、晴れやかな顔で外を眺めるウインディ」とか……
こういうの見ると映画のディティールが上がるし、ただただスタッフロールを眺めているより楽しくていいよね。
とまぁ、そんなこんなで書きたい事は全部書いたので、ここらで終わりますか。
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なんであれば、他作品も面白いので是非どうぞ。
「短編」と銘打ってる奴は5分もあれば読めますので。
それでは。
ここまで長々とありがとうぞんじます。
また「森岡幸一郎」先生の次回作にご期待下さい。
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