第33話 神の生贄
私の名前はハインケル。
地方の貧しい農家の父母の元、三男坊として生を受けた。
長男と次男は父の仕事を引き継ぎ、それぞれお嫁さんを迎え、人並みの幸せを営んでいる。
私は幼い頃に出会った精霊のいたずらにより、白魔法が使えるようになってしまった。
この事を恐れた父母は私を教会に売り渡した。
祭祀は喜んで私を引き取ると、その日から厳しい修行の日々が始まった。
挫けそうになる私の心を支えたのは、同じように教会に売られた子供たちの怪我などを完治させ、感謝される笑顔だった。
そして
たまたま白魔法の才に長けていた私は、この奇跡によって、地方のヒラ祭祀から、
教団本部の仕事は、後進の指導、つまるところ、白魔法や治癒術を含めた神聖術の研究と伝授であった。
頼りになる諸先輩、優秀な同輩、献身的な後輩に恵まれ、私は自分の力を存分に発揮して、多くの実績と成果を残すことが出来た。
後に聞いた話によれば、私の活動していた頃が白魔法の
さて、教団本部の中枢に近づくに連れて、目に付き始めるのが『
本来、神は何の見返りも求めず、慈愛を持って我々の生活を見守る存在。
神聖術は、その神の慈愛に希望をかけ、祈りの力を用いて、神の軌跡を顕現させる行為のはず…。
それが、『
やがて枢機卿へ就任し、『
教義からのアプローチもあり、多くの枢機卿が擁護してくれた結果、『
しかし、宗教とは癖の悪い生き物のようなものである。
そう、『
密かに繰り返される儀式…。
儀式の現場を取り押さえるまでに、果たして何人の尊い犠牲が有ったのだろうか?
そして、『
否、それは神に近きものでありながら、私の知ることの無き邪神であった。
白魔法は通じること無く、私の体術では傷を負わせることも叶わない。
そして、無力な私の前で『
最後の力を振り絞り、祈りのすべてを捧げ、
「
光り輝く
そう、
私の肉体は役目を終えた後も、私の魂を押し留めていた。
そして、
(力不足でしたかぁ…。)
時間は流れていく…いつしか私も虚ろな魂となり…儀式を傍観するしかなかった。
再び多くの魂が、無慈悲で忌まわしい儀式によって失われていくのだ…。
それだけが、私を私たる想いとして、 この肉体に宿り続けさせた…。
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