第24話 刈られるモノたち 前編
リッケルトはゆっくりと席を立ち、一同を見回す。
席に座りなおすシャルとグレゴール、その横では、アリィが臨戦態勢を取っている。
「ラインよ、お前たちは、下がれ。
トリトン伯の令嬢をここへ。」
ラインとミッキーはリッケルトにお辞儀をすると、部屋を出ていった。
やがて、部屋に通されたソープが、一同にお辞儀をし円卓の空いた席に座った。
全員が席についたところを見計らって、リッケルトは話し始める。
「この世界には、人族が存在している。
亜人も居れば、獣人も居る。
動物が居て、植物が有り、モンスターが居る。
ここまでは、理解できるかな?」
一人怪訝そうな顔のソープを除き、全員が大きく縦に首を振る。
「そして、神という存在…。」
「それが、何だというの?」
リッケルトの言葉を遮り、ソープが身を乗り出してくる。
「まぁ、そう急かさないで下さい。」
リッケルトが戯け、シャルはソープに目線で自制を求める。
ソープは座り直した。
「この世界には、唯一神を信奉する国が多く、後は土着の神々…異形の神々が居るといったところだろうか。」
「そうですね。
異形の神々は分かりかねますが…。」
リッケルトの言にグレゴールが答える。
「当然の回答ですね。」
リッケルトは満足げに頷く。
「話を続けよう。」
そう言って、漆黒の大剣を召喚するリッケルト。
突然、リッケルトの影から出現した漆黒の大剣を見て、全員が席を立ち構える。
「失礼した、これからの話しには『彼』が必要なのでね…。」
リッケルトは肩を竦め、攻撃の意志がないことを示す。
全員がゆっくりと席に座ったところで、話を再開するリッケルト。
「『彼』の名は、シュバーツ、
リッケルトが剣の柄に手をかけると、剣に刻まれたルーン文字が怪しく輝き出す。
「ソールイーター…。」
アリィは口を押さえる。
「知ってるの、アリィ?」
シャルが問いかける。
「ええ…聞いた事はあります。
ただ、外典の伝承に残されているという話を聞いただけで…。
詳しくは…。」
『ほう…我と同じ存在が過去に有ったのか?』
突然響き渡るバリトンの声に全員があちらこちらと見回している。
「シュバーツ、遊びが過ぎるぞ。」
リッケルトが語りかけると、全員の視線が剣に向けられる。
『ははは、失礼した。』
「話を続ける。」
リッケルトは話を再開する。
「この世界に居る異形の神々には、二つのタイプが有る。
一つはこの世に受肉した者、もう一つは
「「「「受肉?エネルギー??」」」」
四人が揃って首をひねり、疑問符が灯り、その姿に苦笑するリッケルト。
「さて、話を続けよう。
異形の神が受肉した姿は、『邪神』とか『魔神』などと言われることがあるね。」
四人は首をひねったまま、疑問符が新たに灯る。
「そして、異形の神が
「!!!」
リッケルトの言葉に絶句するアリィ。
「そんな…私たちの信奉する神が邪神や魔神などと同じものというのですか?」
アリィがリッケルトに詰め寄る。
「オリヴィア、君らの信奉する『神』は、異形の神とは次元の異なる存在のようだね。
もっとも、『神』を
「…」
何か心当たりが有ったのか、アリィは黙り込んでしまい、他の三人は彼らのやり取りを固唾を飲んで見守っている。
「今回、国王たちの身体に取り憑いていたのが、『神』を
リッケルトが肩を竦めてみせる。
「では、父や姉たち…国王や王女たちの身体から出てきた黒い影は…。」
「お察しのとおりです、王女殿下。」
一同の間に沈黙が漂ってしまう。
「『神』を
リッケルトはゆっくりと歩き回りながら、話を続ける。
「つまり、国王たちは一度殺害された後、『復活の秘法』で復活させられたと思われる。」
「そんな!
そんな事があるはずありません。
『復活の秘法』は、『
あなたは、私たちの『
アリィが再びリッケルトに詰め寄る。
「
『
「そ、そんな…。」
リッケルトの言葉に膝から崩れ落ちるアリィ。
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