第2話 一章 新しい師匠!?

「はじめまして新入生の皆様、入学おめでとうございます」

壇上に立つ女性がいた。

その女性は先程四宮に学園の全体の指揮を任されていた相澤早苗がいた。

「それでは新入生の皆様これよりクラス別に行動をしてもらいます」

そういい相澤は指を鳴らすと指先が淡い紫色の光を灯して何もない空間にプロジェクタースクリーンの様な物を映し出した。

「入学をする前に行われた、魔力量測定にて現れた色により学年が決まる事になります」

プロジェクタースクリーンには各色のクラス名が書かれていた。

青色のブルースフィア。

黄色のイエロートパーズ。

緑色のグリーンエメラルド。

紫色のパープルアメシスト。

赤色のレッドルビー。

そこには担任教諭と書かれた文字があり各担任教諭の名があった。

ブルースフィアの金井葵 かないあおい

イエロートパーズの黄坂奏 おうさかかなで

グリーンエメラルドの隅田翡翠 すみだひすい

パープルアメシストの相澤早苗 あいざわさなえ

レッドルビーの四宮紫苑 しのみやしおん

「ではこれより校庭へと向かいその後各担任教諭達が名前を呼びますので呼ばれた教諭の前に整列してください」

そう言い切ると相澤は壇上にて軽くお辞儀をしてその場を離れた。


講堂内に小さなざわめきが起こる。

それは入学式が終わり新入生達の緊張が終わった後のささやかなほぐれであった。

日常的な事とはいえ異形、即ち魔物の襲来が起こり命の危険にさらされたのである。

本来ならば入学式前にクラス分けが発表され、それに従い講堂内の席に座る形であった。

それが今では皆とりあえず座れるところに座り、入学式をするというイレギュラーな形での始まりであった。

そんな中街中での戦闘行為で遅めの参加となった遥は、最後尾に位置する席への着席が必然となる。

クラス分けの詳細な内容が悲しきかな、背の低い遥では見えにくい状況であった。

『魔力量は赤色だから多分レッドルビーだよね?』

かろうじて聞こえたクラスの振り分けが魔力量で違う事だけであった。

遥の測定時には赤色を宣告された為に、自身はレッドルビーだと認識しているようであった。

それぞれ今後の学生生活にて同級生と思われる人達が講堂を後にする中、遥は先程の実戦により疲れていたのか少し眠たそうな顔をして椅子に座ったままウトウトとしていた。

そんな遥の様子が気になったのか、遥の席の近くにいた少女が遥の肩を軽く揺らした。

それに驚いた遥は目を開き周囲を慌てたように見渡した。

「あなた、眠たそうだけど大丈夫?」

黒髪で前髪がきっちりと整えられており、髪の長さは短くて丁度襟足に掛かるかからないぐらいの長さである。

目がツリ目でキツイ印象はなくどちらかといえば顔全体のバランスもいいので可愛い感じではなく、美人な印象がある。

このまま成長すれば妖艶な雰囲気のある美女に成るだろうことは容易に想像できる。

そんな美人な少女は遥の様子を気にした様子もなく声をかけていた。

そうして遥は慌てていたせいか、意味の分からない返答をした。

「わ、私浅井遥です!」

「あ、うん私は水無月悠未」

遥の咄嗟の自己紹介に慌てることなく、『みなずきゆうみ』は淡々と自己紹介を返した。

「水無月さんだね、よろしくお願いします」

遥は軽くその場でお辞儀をした。

「うんよろしく、それよりも早く校庭に行かないと先生に怒られるよ」

水無月は少し急かすように遥に伝える。

その雰囲気にあてられたのか遥は慌てて椅子から立ち上がる。

「ごめんね、声かけてくれてありがとう」

そう言うと遥は水無月の手を取る。

当たり前のように手を繋いできた遥の行動に水無月は戸惑いながら目を繰り返し瞬きをしていた。

「あの手」

その声は遥には届かず空へと消える。

そして遥は掴んだ手をそのままに歩き始めるのであった。

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