第1話 六章
講堂内から出た四宮はその場で目をつぶり両手を左右に広げた。
手に持つ剣が淡い紫色の光を灯す。
魔法を行使する際に発生する魔力色である。
「サーチ」
短くそうつぶやくと四宮の体から魔力の波動が周囲へと放たれた。
サーチ魔法は自身の魔力を体外へと放出して、その魔力波が魔力を吸収する異物に干渉すると術者に感覚的な違和感として感知する事となる。
魔物は自身で魔力を生成することができず、他より吸収して活動エネルギーに変えなければならない。
吸収できずにいると魔物は体を維持することができずに崩壊していく。
その様な魔物の性質上、僅かな魔力でも吸収活動をしようとする、本能である。
結果魔力を薄く周囲に伸ばしたサーチ魔法は、その特性上吸収された場には魔力の穴という欠陥ができてしまう。
それが術者には感覚的な違和感として残りおおよそのポイントがわかる形となるのであった。
そのサーチ魔法は術者の魔力生成量により探知できる範囲が変わることとなる。
四宮の魔力生成量でサーチ魔法を使用した際、この学園の広さであればギリギリ感知することができる量となる。
「大体100くらいね」
どうやらこの学園内にいる魔物の数は先程四宮が呟いた数になるのであろう。
「建物内には侵入不可式バリアがあるから出現していないのは僥倖ね」
そう言いながら四宮は目を開き、感知した魔物を狩るため学園周囲を高速で走り回るのであった。
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