第1話 三章

高濃度の魔力爆発により空へと飛んだ白井はその場で体勢をとり、その場で魔力による浮遊状態へと術式を扱い静止した。

魔法とは簡単に言えば自身の作り出した魔力を自分の認識できる範囲の事柄で現実世界へ現象として表すことである。

空を飛ぶ魔法とは自分を空中に浮かせて、その後はその場で自身の体を中に浮かせることを行い、ようやく飛行する事柄に移行できる。

白井は飛ぶ為の最初のプロセスである上空への浮遊を、魔力による爆発の衝撃で自身を上空に上げる形で上空へとその無謀とも言える力技で自身の体を空へと上げた。

その後その爆発で得た推進力を、ある程度体に負荷が掛からないように瞬時にそして同時に魔力を繭のようにして体を包み込んだ。

魔法衣を着ているとはいえ高火力の魔力による爆発は自身を傷つける可能性がある。

そして空に上がったあとは自分を空中に浮かせて維持する魔力を常に出し続けるだけである。

その馬鹿げた方法での力技は今現在の魔法士で表に出ている限りでは彼女にしかできない方法である。

そもそも本来飛行魔法とは永久魔力炉を用いた専用の飛行ユニットを使用するのが一般的だからだ。

何故白井が単独で飛行魔法を扱えるのかは、この世界で最大級の魔力生成量を誇るからである。

それは同じく赤を関する魔法士にもできない白井個人だけの技である。

「さて、あのバカは何処にいる?」

そう言いながら白井は空から人を探す。

その瞬間空に対して極太の魔力の塊が放たれる。

それを確認した白井は大きくため息をついた。

「はぁ、わかりやすいが馬鹿者め」

口ではそう言いながらも何処か白井は楽しそうに言う。

白井は足場のない空中で魔力の塊を作り出した。

その足場を蹴るように自身の足元に魔力の爆発を起こす。

次の瞬間その爆発力で白井の体は先程打ち上げられた極太の魔力の塊の方へと跳んだ。

そのスピードはかなりのもので車のアクセルを全開にしたような速さである。

空中で障害物の一切ない場所で、誰の気を使わなくてもいい場面だからこそできる速さである。

その速さで一気に白井は目的の場に到着した。

次の瞬間真下から大きな声が聞こえる。

「嘘でしょー!」

そんな悲痛な声に白井は急いで急降下をし始める。

自身の体を空中で丁度逆立ちするように頭を地面の方へ向けて足を空へと向けて足の方に魔力で固定化した足場を作る。

先程と同じ要領で足元を魔力で爆発させて地上へと落ちるように向かった。

その爆発力を上手く体を使い受け流しながら白井は地面へと着地する瞬間に体の姿勢を足に地面が来るように無理やり転換した。

その衝撃を魔力にて無理やり温和したせいか、着地した地面は白井の魔法により抉り取られている。

アスファルトを抉ってまくり上がる砂埃の中、先程の地上で叫んだ人物の5メートル程進んでようやく勢いを止めた。

そんな白井の登場に地上にいた人物は驚き声を上げる。

「えぇぁぇああ!」

奇妙な鳴き声で、その声は驚きと、やはり驚きしかない声色だった。

恐る恐るその人物は着地した白井に近寄る。

舞い降る砂埃の中から人影を見つけて凝視しているようだ。

「あのう?もしかして師匠?」

その声がけとともに白井は声の主に反応した。

「そうだ、おまえの師匠だ!」

そう言い出すと白井は勢いよく目の前にいる人物を抱きしめた。

「わぁ!」

白井に抱きしめられて驚きの声を上げる。

「馬鹿者」

「えへへ、浅井遥元気であります!」

白井はそう言う遥の頭を抱きしめながらゆっくりと慈しむ様に撫でくりまわすのであった。





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