第26話
フジイチが貰う畑は、馬車で少し行ったところにあった。100㎡くらいの広さの土がむき出しになっていた。その周りは雑草がぼうぼうと生えていた。
「もし、土地が足りなくなったら自力で耕してもらっても大丈夫です。最大の土地の範囲は、杭が刺さってあるので、そこまででお願いします」
「分かりました」
「あと、登録してくれれば最初は家畜が1匹程飼えますよ」
「家畜?」
「雑草を食べてくれるイーメイやイーメエがおススメです」
畑を少し眺めてからポラリスは、今度は家を紹介した。
「見た目はボロボロですけど、雨漏りはしたり、倒壊したりはしないので安心してください。外見を変えたいときは、私に言ってください。知り合いの大工さんに格安で仕上げて貰えますから」
家は木造で建てられていて、屋根は藁で出来ていた。まるで、日本の昔話に出てきそうな建物に少しフジイチは苦笑した。
「中には、薪コンロと糸車、ベッド、あと粗末なものですけど、調合に必要なものを用意しました。農業に必要なものは納屋にあるので、あとでご確認下さい」
「ありがとうございます」
「それと、これはお祝いの品です」
ポラリスから貰ったのは、山クジラの肉のシチューとルドーヌ産のワイン。それには、フジイチもテンションが上がる。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ。もし困ったことがあれば、すぐに私達に相談してくださいね」
「はい、ありがとうございます」
紹介し終わったポラリスは、馬車に乗って帰っていった。それを手を振りながらフジイチは見送り、家に入った。家は少し埃っぽかったが、フジイチは気にしていない。
ステータスを開くと、最初に『自宅兼畑を取得しました。名前を記入してください』と表示された。
フジイチがうぅん?と頭を傾かせて、少しの間だけ考え、“青葉の園”と入力した。その後に『自宅を拠点とリンクする事が出来ます。しますか?』と質問が出てきたので、はいと承諾した。
『自宅と拠点がリンクしたことによって、拠点から従魔を連れてくることが可能になりました』
「あ、これ、レミィかゴウトがこっちに来れるのか」
選択画面に拠点にいる魔物達の名前と写真が並んでいた。流石にナギノミナを連れてくるのは異常だとフジイチも思うので止めておく。
早速フジイチは、ゴウトを選択してみた。すると、小さな光が集まって、山羊が姿を現した。
「明日にでも、ギルドに登録して来ようかな」
姿を見せたゴウトをすぐに拠点に送り返して、今度は自分が拠点に向かう。
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