第19話

 フジイチは仕事で疲れ、ログインも出来ない日々が続いたが、ようやく明日が休日ということで夜遅くにログインする。スポーンする場所は、拠点の中。

 フジイチはナギノミナに寄りかかりながら、魔法を使う。使い続けると、魔法のレベルが10でマックスになる。

 アイスの魔法は太陽がから遠い場所で湖に浮かんでる流氷になり、

 MPが空になると、回復しないままにナギノミナの体に顔を埋めた。


「疲れた」


 その一言に、拠点の魔物達は動き出した。

 ジョナは大きくなった木に生ったリンコを落とし、そのリンコをスプークがフジイチの元に持って行った。レミィとゴウトは、フジイチの両隣に座り、体を寄せる。

 スプークの持っているリンコに気が付き、受け取った。光沢のある赤い色のリンコがとても魅力的に映り、フジイチはそのリンコを口に含んだ。シャクっとした音がなり、リンコから溢れる果汁。酸味があり、甘さも十分にある。


「おいしい」


 そのリンコで食事をしないままにログインをしていたフジイチは、自分が空腹だったことを思い出した。


「心配してくれてありがとう。ちょっとご飯食べてくる」


 フジイチはログアウトして、食事を済ませる。疲れもあって料理をする気力が無いので、ミルクでふやかしたシリアルを食べて腹を満たす。


 食事をしたフジイチは、もう一度ログインをして、今度はアブラットの街にスポーンする。

 街では日が昇り、朝が始まろうとしていた。

 フジイチはレベルを上げるために森に向かところで、シトリから連絡が来た。


『ログインしてる?』

『してます』

『じゃあ、会わない?』


 シトリの言葉に少し悩んで、了承の返事をする。それから数分でシトリは、フジイチの元に訪れた。


「で、今日は何するの?」

「レベル上げですかね」

「了解、じゃあ、手伝うよ。何処が良い?何処でも連れていくけど」

「近くに海とか、湖とかってありますか?」

「近くには海があるよ」


 フジイチはその言葉にチャンスだと思い、


「それなら、海の魔物とか戦ってみたいです」


 と提案した。


「分かった。良いよ」


 シトリは、時短だとまたフジイチを肩に担いで走る。その運び方にフジイチは体を揺らされながら、遠い目をした。


 あっという間に、海にたどり着いた。降ろされたフジイチは、少し気分悪くなって、座り込んだ。

 潮風がフジイチの頬を撫でて、波の音が落ち着かせる。


「じゃあ、呼ぶね」


 昨日と同じようにシトリは《挑発》で、魔物をおびき寄せた。複数の魔物は砂浜に現れ、座ったままでフジイチは《鑑定》していく。

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