第12話
フジイチが選んだ魔物はケルピーだった。自分がケルピーと共に、水の中で自在に走っている所を思い浮かべ、その景色に心を惹かれたのだ。
ケルピーの画像をタッチすると、水色の馬が現れた。その馬に内臓は無く、体の中の気泡がコポコポと上がって弾けている。上から下へと透明さが上がり、足に関しては、向こう側が見えるほどに透明だった。鬣は藻で出来ていて、水の中にあるかのようにユラユラと靡いている。
フジイチがケルピーを触ると、触れた部分に波紋が出来た。撫でるとケルピーは嬉しそうにフジイチへ顔を寄せる。
『名前を決めてください』と、表示されてフジイチは考える。
「良し、お前の名前は凪いでる水面。ナギノミナ」
フジイチの言葉に足を上げて、ナギノミナは喜んだ。急に足を上げた為、フジイチは驚いて飛びのく。
それからナギノミナは空を駆けあがり、水を降らしていく。フジイチはその様子を顔を上げて眺めた。
フジイチが作り上げた火の玉の周りをクルクルと一定距離を保ちながら周回する。魔法で出来た水溜まりが降った水で大きくなっていき、拠点の半分が水に埋まる。その水の色が天井に反射して、空を写し出した。空が出来ると火の玉はより遠くに上がっていき、太陽のように輝く。太陽が水を蒸発させて、雲を作り風を起こし、水に波が出来た。
ナギノミナがフジイチの元へと帰る頃には一つの景色がそこに広がっていた。
フジイチがステータスで割合を見ると、水の割合が多い。だが、他の要素が消えたわけでは無い。拠点のレベルは、1上がり3になり、育成出来る魔物の数が増えた。
「ナギノミナは凄いな」
靴を外して、フジイチはパシャパシャと寄せる波に足をつけ、ひんやりと冷たい水に浸る。
目を瞑れば、海にいるかのようだった。
フジイチはステータスを開いて、拠点の画面から自分の倒した魔物を選択してイーリス、イーメイ、イーメエの3匹を呼びだした。
彼が倒した時よりも3匹は、ずっと小さく子供のようだった。イーリスに関しては、顔も違っており、穏やかだった。
近くに寄ってくるそれぞれにフジイチは、しゃがんで視線を合わせて名前をつける。
「イーリスはジョナ。イーメイは羊だから、レミィにしよう。イーメエはゴウト」
名前をつけられた魔物たちは、フジイチから離れていった。
ジョナは水際でコロコロと転がり、ラミィは日向が一番近いところで座り、ゴウトはぴょんぴょんと跳ねまわる。現実では味わえないその長閑さに、フジイチは欠伸が出た。
ナギノミナ レベル1♂
HP(体力) 666
MP(魔力) 668
STR(力) 167
VIT(生命力) 166
INT(知力) 165
DEX(器用さ) 164
AGI(素早さ) 168
MND(精神力) 169
LUK(幸運) 2
EXP(経験値) 0/1000
種族 ケルピー
ジョナ レベル1♂ レミィ レベル1♀ ゴウト レベル1♂
HP(体力) 100 HP(体力) 120 HP(体力) 22
MP(魔力) 2 MP(魔力) 102 MP(魔力) 22
STR(力) 50 STR(力) 10 STR(力) 1
VIT(生命力) 50 VIT(生命力) 50 VIT(生命力) 10
INT(知力) 1 INT(知力) 1 INT(知力) 10
DEX(器用さ)10 DEX(器用さ) 10 DEX(器用さ) 50
AGI(素早さ) 10 AGI(素早さ) 1 AGI(素早さ) 50
MND(精神力)1 MND(精神力) 50 MND(精神力) 1
LUK(幸運) 1 LUK(幸運) 1 LUK(幸運) 1
EXP(経験値) 0/122 EXP(経験値) 0/122 EXP(経験値) 0/122
種族 イーリス 種族 イーメイ 種族 イーメエ
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