第11話

 拠点に移動すると、土の中に大きな穴を開けたような場所だった。


「ここが拠点?」


 呆けているフジイチの前にステータスがいきなり表示され、驚きつつも拠点と書かれた項目が増えている事に気づいた。

 拠点の項目を開くと、拠点の地図とレベル、拠点の説明が書かれていた。


 拠点は、倒した魔物を出現させる事ができ、世話をすることが出来る。また家を購入することで、拠点内部に家を設置可能になる。拠点のレベルは、ダンジョンマスターが魔力を注ぐことで上がる。


 説明を読み、フジイチは首を傾げる。しかし拠点のレベルが1だと魔物は育成赤ないし、魔力なんてどう注げば良いんだろうか、と。その疑問に答えるように、クエストが発生した。


 チュートリアルクエストと書かれた画面には、『魔法を使ってみましょう。使った魔法の割合でダンジョンの属性が決まります』と書かれていた。


 すかさずフジイチはウォーターと唱えると、プカプカ浮く水の玉が地面に落ちて、地面に落ちていく。小さな水たまりが出来た。すると、ステータスに表示査定る拠点の割合が水と表示され、経験値も少し溜まった。

 次はライトを唱える。こぶし大の光の玉が空に浮かび、辺りをより明るくして、影を作る。割合が光と水になった。

 今度はファイアの魔法を唱える。ボウと燃えた火が出来た水溜まりが蒸発して、浮いていた光の玉を吸収する。


「すごっ」


 まるで太陽のように燃えて浮かんだままになっている火の玉に、思わず声を漏らす。割合は火が多くなり、光や水の属性が少なくなってしまった。そのことにより、レベルが関係していることが分かる。

 それからフジイチはウィングを唱えた。シュパンと風の鎌が現れて、すぐに消えた。そのあとに微かに風が吹いて止んだ。

 次にダークの魔法を使う。黒い綿毛のようなものがプカプカと浮いて、出来た影の中に入っていった。

 ヒールとクリーンの魔法は唱えても、見た目的には何も変わりなかったが、光の割合が増える。


 作った火の玉を消さないように様々な魔法を使っては、MPが減っていくので、MP回復薬(悪質)を飲んでいく。レイミャーコに貰った方の回復薬は過剰に回復してしまうので、フジイチは自分の作った物だけを飲む。


 それから黙々と魔法を使って行くと拠点のレベルが2になった。クエストがクリアとなり、報酬が貰える。

 クエストの報酬は、ダンジョンコアを持つS級の魔物1匹を貰え、フジイチの画面に5匹の魔物が表示される。


 水の魔物 ケルピー

馬型の魔物。水に引きずり込み、水の耐性が無い生物を溺れさせる。

 火の魔物 フェニックス

鳥型の魔物。常に炎を纏い飛んでいる。火の耐性が無い生物は燃え尽きる。

 風の魔物 カマイタチ

鼬型の魔物。いたずらに切りつけて、風に耐性が無い生物は切り刻まれる。

 光の魔物 グリフォン

鷲とライオン型の魔物。金を守り、光の耐性が無い生物は近寄れない。

 闇の魔物 ケルベロス

犬型の魔物。死の気配を漂わせ、闇に耐性が無い生物は地獄の門に引きずり込まれる。


 どの魔物も不死性を持っており、ステータスもフジイチから見ると恐ろしい魔物だった。

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