第13話

 拠点を作り、現実世界で1日がたった。

 ログインし、フジイチが魔法を使って拠点の微々たる経験値を上げていると、フジイチの画面に拠点の魔物達から要望が来た。

 ナギノミナからは水、ジョナからは苗木、ラミィとゴウトからはお揃いの鈴の首輪。

 フジイチは、要望を叶えるために地図を開く。

 冒険者ギルドから買ってきた地図が、ステータス画面にインプットされているので、簡単に確認する。

 装飾品の店や花屋、飲食店に彼らの要望の品が並んでいることまで把握して、フジイチは街に行くならついでに、MP回復薬でも作って来ようと意気込む。


 街からちょっと外れた森の中に転移して、歩きで街の中に行く。

 まずは街の出入り口の一番近くにある装飾品の店ワンダホーに入る。

 店先には硝子のようなひし形が繋がっているものがぶら下がって、陽に反射してキラキラしていた。

 ワンダホーは、主にペットの装飾品を扱っている店で、鈴の首輪が手頃な値段で買える。

 赤い紐のついたものと、青い紐のついたものの2つを買い、500ゴートを支払った。

 次は飲食店に向かった。飲食店、美味びみ

 古びた店を演出している美味びみは、お昼時なのに客は一人もおらず、店員が中で暇そうに座って、あくびをしていた。

 この水はこの街で唯一、持ち帰りが出来る店だ。小瓶の中には、浄化された水が入っている。水の値段は2つの首輪と同じだったので、高いなと感じる。そして水の小瓶を手に入れて、そこでフジイチは、水ってもしかして何でも良かったのか?と疑問に思う。しかし買ってしまったので、しょうがないと諦めるのだった。

 最後に、花屋に向かう。花屋は、花屋かやという店名だった。花屋かやは、複数の花の匂いが混ざり、良い匂いとは言い難かった。

 花屋かやに売ってある苗木は、様々なものがあった。その中でも安い、リンコの苗木を買った。それでも、1000ゴートと高い。



 どの店もウィンドウ上で、やり取りできたので、フジイチは誰ともやり取りしなかった。


 残りの所持金は、500ゴート。フジイチが持っているHP回復薬(悪質)を冒険者ギルドで50個売っても全部で1250ゴートほど。1個の原価は20ゴート。冒険者ギルドでは、25ゴートで売れる。それはMP回復薬(悪質)も同じ値段だ。品質が粗悪であれば、更に値段は下がり、原価と同等になる。

 品質が高ければもう少し高く売れるが、これ以上、品質を上げるためには職業を薬師か錬金術師に転職して、レシピを買うしかない。

 まだ聖職者なフジイチは、残りのお金でMP回復薬を作れる材料だけ買い込む。


 そして、レンタル屋に入る。

 MP回復薬(悪質)は、オレンシとハーブ草を1個ずつで、2個出来る。

 50個ほど作れば、あっという間に時間が過ぎ現実で2時間経ち、フジイチはログアウトする。

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