第7話
露天風呂から出たフジイチは、机一杯に並んだ料理に目を輝かせる。
「これが旅館料理!!」
「今日で1番テンション高いじゃん」
レイミャーコはフジイチの変わりように半笑いになる。
「まぁいいや。いろいろ説明されたけど、覚えてないからさっさと食べよ」
その言葉に今度はフジイチが半笑いになった。そんなフジイチを無視して、料理に手をつける。
「ここの良いところはさ、バフが掛かる事なんだよね。お風呂に入っても、料理を食ってもね。まぁそれよりなにより、サービスがめちゃ良いから、泊まる必要なくてもこの街に来たらつい泊まっちゃうんだよね」
フジイチはステータスを開いて、バフを確認する。それぞれプラス10ほど上がっていた。ただ露天風呂に入っただけなのにと、感嘆の声を漏らし、料理にも期待する。
頂きますと、手を合わせてフジイチは箸を取った。料理に手をつける前に、レイミャーコから鑑定しながら食べると良いよと、アドバイスを受ける。
フジイチが《鑑定》しながら、最初に手をつけたのは海アジの刺身だ。出汁醤油をつけると、赤身がすうと半透明になる。美味しい白米にバウンドさせてから口に含むと、とろりと溶ける。それでいて、生臭さはなく魚の美味しさだけが口に残る。今度は白米と一緒に刺身を食べる。
「…美味しい」
「分かる」
メインの料理は、台座に乗っている小鍋だ。台座の下には固形燃料があり、小鍋を冷まさない工夫がされている。フジイチが《鑑定》しても分からない名前のキノコやはくしゃいと表示された野菜が出しの中に浮かんでいる。
フジイチはレイミャーコを横目で見て真似をする。出汁に魅了牛の薄切りをしゃぶしゃぶして火を通す。薄く白身がかかると、パクリと口に運んだ。程よく乗った脂が舌でとろけ、噛み切れる柔らかさだった。
「マジで美味しい」
「それな。そこにあるつけダレもマジで合うから試してみ」
フジイチは、カミナミの塩だれと表示されたタレにしゃぶしゃぶした肉をつけて食べる。
「これも美味しい」
さっきの脂がさっぱりとして、より肉の味がはっきりして、少し歯ごたえのある肉になった。
今度は桜の絵が書かれている器に入っている茶碗蒸しをスプーンで掬って食べる。つるんとして口に入っていく。茶碗蒸しの中には、エビや銀杏、キノコが入っていた。
「これ好き」
「だろうね」
レイミャーコは、熱燗に入った日本酒を楽しんでいるようだ。フジイチは飲めないわけではないが、好んでは飲まないので、レイミャーコは勧めない。
フジイチが次に口にしたのが、天ぷらだった。いろいろな野菜の天ぷらがあり、それをカミナミの塩をつけて食べていく。
あっという間に机に乗った料理が無くなり、フジイチは満足してキャラクターを用意された布団に寝かせたあと、ログアウトして休憩に入った。
フジイチ
職業 聖職者―魔法使い(偽装中ダンジョンマスター)
レベル 10
HP(体力) 214
MP(魔力) 252
STR(力) 39
VIT(生命力) 68
INT(知力) 51
DEX(器用さ) 53
AGI(素早さ) 44
MND(精神力) 75
LUK(幸運) 1
EXP(経験値) 0/255
魔法
ファイア レベル5
ウォーター レベル1
アイス レベル1
ウィング レベル1
ダーク レベル1
ライト レベル1
クリーン レベル1
ヒール レベル1
スキル
貯蓄(運) レベル1
魔法基礎 レベル2
鑑定 レベル3
短距離射程 レベル2
魔法分裂 レベル2
隠蔽中
特殊スキル
拠点作成 レベル1
魔物育成 レベル1
アイテム
初心者の服
初心者の靴
初心者の杖
魔法使いの帽子
解体用ナイフ
HP回復薬×5
MP回復薬×5
HP回復薬(上質)×10
MP回復薬(上質)×10
装備中
右手 曇りなき杖・・・INT+5、DEX+5
頭 聖者の帽子・・・VIT+20、MND+20
聖職者専用装備 制作者なし
顔 瓶底メガネ・・・複数ターゲット捕捉
体 聖なるローブ・・・VIT+5、MND+10
靴 軽快なブーツ・・・DEX+5、AGI+5
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