第4話

「それで、冒険者登録の為の試験の話はレイミャーコから聞いているのかしら?」

「そこは大丈夫」

「レイミャーコが試験官で良いのかしら?」

「まぁね」

「わかったわ」


 アンズが1枚書類を出して、大きなハンコでポンと叩くと、フジイチの画面の上部に小さくクエストを受注と表示された。


 クエスト

 冒険者登録試験

 ハーブ草とリンコでHP回復薬(粗悪)を作ろう

 メイ毛で毛糸(粗悪)を作ろう

 メエ肉で焼いた肉(粗悪)を作ろう

 職業を変更しよう


「それでは、レイミャーコ様、フジイチ様。お気をつけて行ってらっしゃいませ」


 アンズに送り出されて、冒険者ギルドを出る。


 アブラットという街は森に囲まれている。すぐに街を出ると、レベルが低いプレイヤーはすぐに魔物に襲われてしまう。それを防ぐために、レベルが高い冒険者と一緒に外に出て、対応を学ぶと、フジイチはレイミャーコに説明された。


「このクエストが歴代プレイヤーが出すまで、このゲームは死にゲーなんて言われててね。初心者のプレイヤーが幾度も殺されるんだ。私も慣れるまで何度も死んだんだよ」


 へぇと、フジイチは左から右へ話を流す。


「そうだ、さっき渡すの忘れてた奴」


 そう言って、レイミャーコに譲渡されたのは、漫画で書かれていることもある瓶底メガネ。アイテム名も瓶底メガネ。そのメガネは、グルグルがきちんと書かれていて、しかも大きく瞳がまるまる隠れるほどだ。

 しかし、性能は破格で、このゲームは基本ターゲットというものを設定出来ないのだが、このメガネを掛けると、敵対している魔物をターゲット出来るというものだ。

 早速、フジイチはメガネを掛けた。


「陰キャじゃん」


 とバカにされたような感覚をフジイチは覚えたが、この姉のことだそんな意図は無いと頭を振って思い直した。


 二人が街を出ると、確かに森になっていた。レンガで舗装されている道は、1メートルほどの幅があり、整備されていない所は鬱蒼と木々や草が生えている。

 チラリと見えた虫にフジイチは、顔を顰める。


「アンタ、虫克服しないとデッカイ奴も出てきてやばいよ?」

「え?マジ?」

「マジ」


 コクリと頷かれて、ぽっかりと口を開けて呆ける。そんなフジイチの頭をポカンと叩いて、正気に戻す。頭を叩かれて、フジイチにダメージがほんの少しだけ入った。


「ほら行くよ」

「…ラジャー」


 レイミャーコは道を逸れて森の奥深くに入っていく。その後をそわそわしながらついていくフジイチ。

 レイミャーコは《索敵》、《鑑定》の2つのスキルを併用して、目当ての魔物が見つかると、今度は《挑発》をしておびき寄せる。

 2人の前に3匹の魔物が飛び出してきた。


 羊のような魔物イーメイ、山羊のような魔物イーメエ、それと同じくらい大きなリンゴに顔がついている魔物イーリス。

 メガネのお陰で、その3匹に小さな赤い丸がついている。3匹が攻撃してこないようにレイミャーコは睨んで《威圧》をする。

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