第7章(3)

   +++


「起きたまえ」

 頭のすぐ側に靴が踏み下ろされ明羽は驚いて飛び起きる。

「この毛布は誰の仕業だ!」

 隊長が身ぐるみをがす勢いで明羽が身体に巻き付けていた毛布を引き剥がす。頭上でわめき散らさえて明羽が見上げればあの男があの赤黒い制服をきっちり着込んで立っていた。横一列に並んだ宿の従業員らしい人物達が皆揃って首を横に振っている。従業員の列に隊長と同じ赤黒い制服を着た運転手が並んで手を上げた。

「き、さ、ま、か!」

 隊長が運転手の胸倉を掴んで揺さ振る。

「すんません。隊長。でもこごえ死なれちゃ困るじゃないっすか」

「コレは亜種だぞ! そんな簡単に死ぬものか! むしろそれで死ぬかどうか確かめても良かったぐらいだ!」

「俺クビですか?」

「貴様をクビにしたら誰がモービルの運転をするんだ! 私に運転させるつもりかっ! 朝食を済ませ次第すぐに出発する!」

「はい」

 怒鳴り散らすだけ怒鳴り散らして隊長は靴音高らかに廊下を去って行く。明羽は運転手を見上げた。視線に気付いた運転手は明羽と目が合うと頭を掻き、何も言わずに隊長の後を追って歩き出す。明羽は自分の首と足首に付けられた枷から伸びる鎖を見下ろした。ゆっくりと太陽が夜に冷え込んだ空気を暖めていく。朝食から戻って来た隊長が手すりに繋がった鎖を外すのを明羽はジッと見る。鎖が引っ張らせて明羽はたたらを踏んだ。首と足首に痛みが走り、明羽はこの先この枷が外されることはないのだと悟る。昨日油断しないと決めたばかりなのに朝になったら枷が外されるかもしれないと無意識に考えていたことを明羽は恥じる。

 捕まって二日目も砂漠の天気はすこぶる良かった。青と白に二分する世界を一台の黒いモービルが走る。モービルで移動している間、隊長は明羽に向かってずっと話続けていた。話し掛けているのではなく一方的に喋り続けていた。明羽が口を挟めば「貴様に発言を許した覚えはない」とお決まりの文句が飛んでくる。明羽はジッとえ続けた。

「貴様らはな。存在自体、生まれてくること自体が間違いなのだよ。存在自体がおかしいお前達がとうと崇高すうこうな我ら人間と同じ土俵に立つなどちゃんちゃらおかしな話だと思わないかね」

「思わない」

「貴様に質問などしていない。口を開くことを許可した覚えもない」

 拳が飛んできた。明羽はそれを咄嗟とっさに避けるが次の瞬間すねに衝撃が走りそこから痛みが広がる。目をつぶった瞬間顔がひしゃげるのが分かった。重い衝撃に堪えられず明羽は床に投げ出されていた。叩き付けられた衝撃で一瞬息ができなくなる。明羽はすぐに立ち上がることができない。それでもなんとかひじを支えに明羽は上体を起こそうとした。

「下等生物が! 私に楯突こうと考えている時点で貴様の頭はおかしいんだよ。間違っているものの癖に意思を持つな。おこがましい」

 鎖が引かれ明羽の首に枷が食い込む。息ができなくなって明羽は痛みと苦しさに目の前が真っ赤になった。腹の底にグラグラと熱いものが湧き出てきて身体の芯を駆け上り一直線に脳へと駆け上がっていく。

「ん?」

 明羽の様子に隊長が違和感を覚えた時、運転手が振り返ることなく言う。

「その辺にしておいたらどうです?」

 明羽の中を駆け上がっていた何かがゆっくりと後退する。

「ん? 何か言ったか?」

 隊長の「黙れ」という言外の威圧にも運転手は黙らない。

「報復されたらどうするんです? 隊長は本当に怖いもの知らずですよねー。それ、片羽とは言え四枚の翼を持つ天使ですよ? 俺、亜種に殺されるとか御免なんですけど」

「ハッ。こいつらの力が恐ろしい程だったのは大昔の話だ。今のこいつらに昔程の力はない。私達を見ろ。私達人間を! こいつらのような力を持たずともこれ程までに繁栄している。それは何故だ!? 奴らは自身をおごり、我らをあなどったのだ。自分達よりすぐれている者がいることを認めず、それどころか気付かない大馬鹿者ども。ああ、愚かしい、愚かしい。私達が正しいことは今の世界が証明している!」

「馬鹿みたい」

 明羽は呟いていた。

「何か言ったか?」

 しまったと思って明羽は黙ったが隊長の靴先が明羽のあごに突き刺さる。

「あーあ」

 運転手がわずかに振り返る姿を明羽は途切れる意識の最後に見た。


   +++


 目が覚めると明羽の視界は暗く、見上げれば数多の光の粒が黒一面に散りばめられていた。

「デジャブ……」

 けれど違いはあった。目が覚める前から毛布は掛けられていたし明羽がいるのは廊下ではなく馬鹿広いバルコニーだった。首と足首に付いた枷から伸びる鎖は手すりに繋げられていたが背後に扉はなく床から天井までガラス窓で覆われていた。その窓全てが固く閉ざされている訳だが明羽はため息をつく。家の窓といえば木戸が一般的なこの世の中で壁一面にガラス窓をあしらっている建物など明羽は初めて見た。ここもきっとどこかのオアシスの最高級宿なのだと明羽は悟る。明羽は手の平に息を吐きかけた。薄い毛布を頭から被り丸くなる。

「イテテ」

 体中がきしんでいた。顎を蹴られた後も殴られ続けていたようだ。恐る恐る頬に触れると痛みが走る。

「うぅ……。氷呂……。会いたいよ」

 こぼれそうになる涙に気付いて明羽は頭を振る。

「まだ、まだだ」

 言い聞かせながら明羽はわざと大きなため息をついた。


 朝になると明羽のかぶっていた毛布について隊長が運転手に怒鳴りつける光景が繰り広げられる。前にも見た光景に明羽はどこかホッとする。隊長と運転手が朝食から戻ってくると前と同じように隊長が鎖を引っ張った。引きられないように明羽は必死に付いて行った。

 砂漠の太陽の光が今日も痛い程に突き刺さる。明羽は昨日の二の舞になるまいとモービルが動き始めてからはずっと黙っていた。それでも時々拳は飛んできたがそれを避けるとさらに酷いことになることも学習したので避けずにやり過ごす。殴られても比較的平気なところが分かってきて嫌な特技ができてしまったと明羽は内心ため息をついた。

「クソッ! 暑い!!」

 それはモービルに乗り始めた当初は昨日と同じようにネチネチと喋り続けていた隊長がいつしか口数が少なくなり、一言も喋らなくなって間もなくのことだった。

「暑い!」

「そろそろ一番暑い時間帯に差し掛かりますからね。日が傾くまで休める場所見つけないとですね」

「近場にオアシスはないのか?」

「無人のオアシスなら」

「何故有人のオアシスに立ち寄れるように進まない! 能無しが!」

「そんなこと言われましてもね。ぽっかりないところにはないんですからしょうがないじゃないですか」

「叫んだらさらに暑くなったぞ! もう、その無人のオアシスでいいから迎え!」

「はい」

 運転手は少しずつモービルの進行方向をズラしていった。そのオアシスは青と白の中に忽然と現れる。明羽は幾度と見た光景だと思った。木陰の下にモービルが滑り込むと隊長が荷台から飛び降りた。

「水!」

「積んでる水よりオアシスの中に湧いてるのの方が冷えてるんじゃないですか?」

「どこだ!」

「このオアシスは確か」

 運転手が説明を終えると隊長は一目散に自生する低木を掻き分けてオアシスの中へ分け入って行った。

「元気じゃん」

 明羽が呟くと運転手が振り返る。明羽と目が合うと運転手は頭を掻いた。水を求めてオアシスの奥へ消えた隊長は明羽を縛る枷の鎖をしっかりとモービルに繋いでいっている。明羽はモービルから降りることはできなかったが木漏れ日の下、葉擦はずれの音を聞く。太陽の熱を受けて火照った肌に吹く風が心地よかった。

「涼しい」

「おら」

「へ? わ!」

 顔面に向かって飛んで来たものを明羽はキャッチする。手の中の丸みを帯びたオレンジ色の物に明羽は目を瞬く。

「なにこれ?」

「果物知らんのか」

「くだもの?」

 途端、明羽の腹が鳴く。

「腹はそれが食いもんだと分かってるみたいだな」

 運転手の言葉に明羽は赤面する。取りつくろうように質問する。

「で? 果物って?」

「水分たっぷりの木の実だよ。皮をいて中身を食う」

 木の実と聞いて明羽は黎の森で食した果実を思い出す。あれは焼いて食べたがこちらは生で食べるらしい。手の中の果物はなんだか柔らかく森で食べたもののようにパリッと割ることはできなさそうだった。明羽が頭の上に疑問符を浮かべていると見兼みかねた運転手が見本を見せる。

「爪を立ててむしり取るというか引きがす感じで」

 運転手は簡単そうに果物を割って見せたが明羽がそれを見よう見まねで行うと果物は潰れて中から液体が零れ出した。

「わわわっ」

 思ったよりも柔らかかった果物に驚き、明羽は慌てて零れてきた汁をすする。

「甘い! すっきり甘い!」

「そううゆうもんだからね」

 運転手は更に丁寧に果物の皮を剥いて現れた八つ程に別れた房のひとつを口に放り込む。明羽はそれを見て残りを潰さないように果物の皮を剥き、出てきた房を口に放り込む。

「む? なんか固いものが」

「種は食えねーぞ」

 運転手が足元に向かって口から何か吹き出すのを見て、明羽もモービルの外へ口の中の固いものを吹き出す。残りも食べてしまおうと手の中に目線を落とした時、明羽は運転手にお礼を言っていないことを思い出した。

「ありがとう!」

「は?」

 運転手が頓狂とんきょうな声を上げて明羽を見た。

「言い忘れてた」

「は……アハハハ」

 運転手が笑った。明羽はその笑い方に目を見張る。

「亜種が、ククク、亜種が礼言ってら。プライドとかないのかね。まさか俺があんたをあわれんでるとでも思ったのか? ハハッ! 馬鹿だ。隊長の言うこともあながち間違ってないんだなあ。俺があんたにほどこすのはあんたを北の町までちゃんと運べばたんまりカネが貰えるからだよ。だから死なれちゃ困るんだ。隊長みたいに俺は危ない橋は渡りたくないんでね」

 明羽は嬉しかったからお礼を言いたかった。けれど、伝わらない。その考え自体が間違いだと目の前の男は言う。明羽は運転手の声が遠退とおのいて行くのを感じた。明羽の胸の内に暗いおりが降り積もり始める。ガサガサと音を立てて隊長が戻って来る。

「ん? 何かあったか?」

「何もないですよ?」

「その手にあるものは?」

「あ」

 隊長が運転手の胸倉を掴んで揺すった。けれど、明羽にはもうどうでもいいことだった。目の前にいるふたりは明羽の知る人間とは掛け離れた生き物だった。明羽はオニャの顔を思い出そうとする。かすみがかったようにうまく思い出せなくて俯く。三日目にして明羽は完全に口を閉ざし、心を閉ざす。信じられるものがないという孤独を知る。

「氷呂」

 明羽は小さく呟いた。


   +++


 砂嵐が吹き荒れる中、知る人ぞ知る村に向かって一台の黒い車が走っていた。

 白い三角形の耳がピクリと動く。青灰色の髪が振り返るに合わせて揺れた。村長は自宅の囲炉裏端いろりばたから立ち上がり、夏芽は薄暗い診療室から飛び出す。村長と夏芽が村の入り口に辿り着くと近場の村人達が既に集まっていた。風に舞う砂の壁の向こうに人工的な光が二つ並んで浮かび上がる。段々とハッキリ大きくなっていく光に次いで車の輪郭が浮かび上がる。

「帰ってきた!」

 村人の誰かが叫んだ。村の中に入った車はゆっくりと停車する。車のドアノブに手を掛けようとした氷呂に標は声を掛ける

「氷呂」

「大丈夫です。標さん。心配掛けてすみません」

 氷呂は標を振り返らないで言った。明羽の勝手な行動に呆然自失におちいっていた氷呂だったが道中少しずつ返事を返せるまでにはなっていた。けれどその声色は明らかに口で言うように大丈夫ではなく標は掛ける言葉を見つけられずに俯いた。車から降りてきた氷呂と標の姿に村人達の顔が明るくなるが三人目の姿が見えないことにその表情を曇らせる。

「明羽ちゃんは?」

「明羽は……いない」

 村人の問いに答えた標に何人かが目を瞬いた。波紋が広がるようにそれはざわめきに変わっていく。

「標!」

 村人達を掻き分けて夏芽が標にせまる。勢いのまま夏芽は標の胸倉を掴んだ。

「標! どういうこと!?」

「説明する! 説明するから……」

 標がまんだ説明を始めると村人達は自然と静まり返った。決して張っていない標の声がその場にいる村人達の耳に届く。聞き終えて夏芽は掴んでいた標のえりを一層強く握り込む。

「あんた、明羽ちゃんが連れて行かれるのを黙って見てたっていうの!? 私言ったわよね。明羽ちゃんと氷呂ちゃんのことを頼むって!」

 標は夏芽の顔を見ることができず歯を食い縛って俯く。

「どうして……どうして取り返そうとしなかったの! みすみす連れ去られるままにしたの! どうして追い掛けなかったの、そのまま帰ってきたの!」

「明羽は自分であいつらに付いて行ったんです!」

 標と夏芽が氷呂を振り返る。氷呂は目を大きく見開き、力一杯握った拳をブルブルと震わせながら足を踏ん張って立っていた。

「氷呂!」

 謝花が人集ひとだかりの中から駆け出る。不安そうな顔でそれでも様子のおかしい氷呂の側に駆け寄って行く。

「氷呂……」

 謝花が氷呂に触れようとすると氷呂ははじかれたように一歩退しりぞいた。氷呂はジッと自身の足元を睨む。唇を噛み締め何かをこらえるように全身に力を入れていた。えきれなくなって地面を力任せに叩き蹴る。

「どうして! 明羽!!」

 いつもとあまりに違う氷呂の様子に村人達は静まり返っている。氷呂は荒い呼吸を繰り返す。肩を震わせ俯くと透明な滴が砂地に小さな染みを作った。

「氷呂」

 氷呂は両手で顔を覆い、謝花はそんな氷呂にそっと近付く。謝花はそっと氷呂の肩に触れた。今度は謝花の手を避けることなく氷呂は抱き寄せられるままに謝花の肩に顔を埋める。

「明羽……明羽……」

 震える声で小さく呟き続ける氷呂の肩を謝花は優しく撫でる。夏芽は俯き、掴んでいた標の襟から手を放す。夏芽の手が下り切る前にその手を標は掴む。夏芽が驚いて標の顔を見た。標はギュッと目をつむっていた。

「ごめん。夏芽」

 そう言った標の顔に夏芽は頭突きを食らわせる。今度は標が驚いて夏芽を見た。

「謝ってんじゃないわよ!」

 夏芽は零れ落ちそうになる涙を堪える。

「……大丈夫か?」

「うっさい! さっきまで私の目もまともに見れなかった癖に!」

 標が黙ると夏芽も黙る。不意に訪れた静寂に氷呂の小さな嗚咽おえつだけが聞こえる。

「標」

「村長」

「私の家で詳しい話を聞かせてくれ」

「……はい」

「村長。氷呂ちゃんは」

「ああ。分かってる」

 夏芽の心配顔から村長は氷呂に目を向けた。謝花の肩に顔を埋めたまま氷呂は顔を上げる様子を見せない。村長は氷呂と謝花に歩み寄る。

「氷呂」

 村長の声に氷呂の肩が反応する。ゆっくりと少しだけ謝花の肩越しに氷呂は村長に目を向けた。涙に濡れる青い瞳を村長は見つめる。

「今はとにかくゆっくりおやすみ」

 村長の言葉に氷呂はほんの小さく頷いた。

「謝花。氷呂を頼む」

「はい」

 謝花が氷呂を連れてその場を去ると村長は村人達に向き直る。

「予想外のことが起きた。今後どのように動くかまた改めて話し合う機会をもうけよう。僕はこれから標に何があったのか話を聞く。内容は追ってみんなに伝える。だから今はそれぞれの家で待っていてくれ」

 村人達は不安そうな顔を見合わせながらそれでも散り散りに帰って行く。村長と標が広場に続く道を歩き始めるとそれを夏芽が追い掛けた。

「私も同席させてください」

「うん。一緒に聞いてくれ」

「はい」

 村長の家の囲炉裏端に三人で座ると標は村を出てからの行動を覚えている限り順を追って話し始める。大嵐を避ける為予定外の大回りを強いられたこと。休憩の為に立ち寄った岩石地帯で何に出くわし、誰がどのような行動を取ったか、標は丁寧に語った。本当なら氷呂にもいてもらって記憶違いがないか照らし合わせながらの方が良かったのだろうがこればかりは仕方がない。

「亜種、殲滅せんめつ作戦……?」

「ああ。氷呂の耳がそう聞いた。間違いない」

「何よ。それ……。私達が何したっていうのよ!」

 夏芽が床に拳を叩き付けた。一度では腹の虫が納まらないのかもう一度振り上げられたその手を標が掴む。

「手、痛めるぞ」

「分かってるわよ……」

「お前、馬鹿力なんだから」

「はあ!?」

 夏芽が標に掴み掛かろうとするがその手を標が掴んで止める。夏芽はそれでも前に出でようとしたが標の腕はびくともしなかった。村長が息を吐き出して、標と夏芽はハッとする。

「とうとう動き出したんだな。人間の王は」

「村長」

「いつかこんな日が来るかもしれないとは思っていたが。来ないでほしいと思っていたよ」

「村長。これから私達はどうすれば……。それに明羽ちゃんは……」

「明羽がすぐに殺されることはないと思う。私の願望かもしれないが。仮にも人間の世論を騒がせた片翼の天使だ。だが、北の町に着いてしまっては分からない。見せしめにすぐ殺されてしまうかもしれないし、飼い殺しにされるかも分からない」

「ああ、そんな……。本当にもう。どうしてあの子は」

「帰りの車の中で」

 標は囲炉裏の中でくすぶる火種を見つめる。

「辛うじて自分を取り戻した氷呂が教えてくれたんだが。明羽は伝承に付いて疑念を持っていたらしい。その真偽を気にしていたと」

「はあ!?」

 夏芽が外にまで聞こえるんじゃないかという大きな声を出した。

「はあ? ハア!? あの子そんなことを知りたいが為に王の親衛隊に自分から捕まったっていうの?」

「そうゆう反応になるよなあ。俺もそれを聞いた時は唖然とした。唖然とし過ぎて俺は声にならなかったが」

「あの子どうして私達に……ああ、もう……」

「一言でも相談してくれてればなあ……」

 夏芽がため息をつき標は遠い目になった。

「村長。明羽ちゃん。どうしましょう。助けに……村長?」

 囲炉裏と床の間という何とも言えない中途半端な場所を見つめていた村長が顔を上げた。

「あ、ああ。明羽か。そうだな……。標。新しい村の候補地には辿り着けなかったということだね」

 明羽のことから話をすり替えたようにも聞こえる村長の言葉に夏芽は目を丸くする。

「村ちょ……」

 前に出ようとした夏芽を標が手で制した。標の目を見て夏芽は黙って座り直す。標はそれを確認して村長に向き直る。

「はい」

「そうか」

 夏芽は標を睨み付けた。標はそれを受け流す。

「標。夏芽」

「はい」

「ハイ!」

「少し考えさせてくれ」

 村長は囲炉裏と床の間という何とも言えない中途半端な場所をまたも見つめていた。


 村長の家を後にした夏芽が井戸の縁に腰掛ける。それに標は近付く。

「村長は明羽ちゃんを諦めるつもりかしら」

「そんなことはないと思いたいが」

「じゃあ、何を考える必要があるっていうのよ」

「村長は村のみんなのことを考えないといけないんだ。明羽のことだけじゃなく」

「大勢を助ける為にひとりを犠牲にするって言うのね」

「そんなこと言ってないだろ。夏芽は村長がそんな選択をする人だと思ってんのか?」

「思わないわよ! これっぽっちも思ってないわ!」

「だったら、その村長が考えるて言ってるんだ。少しぐらい待とう」

「でも、今も明羽ちゃんは……」

「いざとなったら俺ひとりでも行くから」

「標。なら今すぐ行って」

「黙って出て行ったら明羽の二の舞だろ」

「ふん。カッコ付けてんじゃないわよ」

「そう来るのか」

「明羽ちゃんを助けに行くってなったらその時は私も一緒に行くわ」

「いや。夏芽は残れ」

「なんでよ!?」

「北の町は遠いからな。村唯一の医者がいなくなったらみんな困るだろ」

「で、でも今は謝花ちゃんもいるし」

「今の謝花に任せられるのか? みんな不安になってる。謝花なんて特にそうだろう。そんな謝花に任せられるのか?」

 夏芽は黙り込む。

「……分かったわ。私は残る。その時は今度こそ任せたわよ」

「ああ。今度こそ」


 日が沈むと村の中はいつも以上に静まり返る。毎夜のようにもよおされていた広場での飲み会はひかえられ、村の中は冴え冴えと寒々しい。明羽と氷呂の家の扉が外側から少しばかり開かれる。できた隙間から音もなく滑り込んだ影は寝床に音もなく近付く。

「明羽……」

 聞こえてきた氷呂の呟きに影は足を止めた。苦しそうな寝息が聞こえて、影はまた氷呂に近付いていく。謝花が調合した眠り薬を飲んで眠る氷呂は悪夢にうなされ涙を流していた。うなされる氷呂に影は尾を静かに振る。

「氷呂。僕は明羽が殺されるとはとても思えないんだ。明羽を後回しにする僕に君は失望するだろう。君はひとりで村を飛び出して行こうとするかもしれない。それがとても心配だ。君を引き止める理由を僕には見つけられそうにない。どうか少しだけ時間をくれ。明羽は必ず助けに行くから。村が少しでも落ち着いたら必ず、明羽を助けに行くから」

 村長は音もなく獣の姿から人の姿へと変化する。柔らかそうな白い髪を揺らし、薄紫色の瞳に憂いを滲ませながら手を伸ばす。村長は氷呂の青い髪を優しく撫でた。

「お父様……」

 氷呂の呟きに村長の手が止まる。

「君達の親は本当に今どこで何をしてるんだろうね」

 村長は低く静かに呟いた。


   +++


 今日の村周辺の嵐は少し弱まっているのか仄明ほのあかるい朝を迎えていた。中央広場では村長を中心に全村人達が集まってあふれ返る。村人達は固唾かたずを呑んで村長を見つめる。村長は井戸の縁に立ち、村人達の顔を見渡した。

「昨日。標と氷呂が帰って来たことはみんなもう知っていることと思う。しかし、新天地候補の調査は行えなかった。候補地に向かう途中で明羽が人間に捕まったからだ」

 村人達にどよめきが広がる。

「人間達は明羽を連れ、北の町へ向かったのは間違いないだろう」

「北の町!?」

「人間達の中心都市じゃないか!」

「人間の王が住むっていう……」

「そんなところに連れて行かれて、明羽ちゃん……」

「明羽姉ちゃんを捕まえたのは誰だよ!?」

「狩人か? 盗賊? それとも金目的の商人か!?」

「人間の王直属の親衛隊だ」

 村長の静かな声に村人達が静まり返る。

「そんな、絶望的じゃないか……」

「でも、助けに行かないと……」

「そうだ。明羽ちゃんは俺達の、村の救世主だ。仲間だ!」

「見捨てるなんてできる訳ない!」

「すぐ助けに……」

「いいや。明羽のことは後回しにする」

 村人達の表情が驚きに凍り付く。

「村長!?」

「人間の王は亜種殲滅作戦なる作戦を実行しようと準備を進めているらしい」

「亜種、殲滅作戦?」

「なんだそれは……」

「どうゆうこと」

「私達はもう十分数を減らしてるっていうのに!?」

「人間達は僕達を根絶やしにしないと気が済まないのだろう」

「そんな!」

 言葉の見つけられない村人は黙りこくり、中には涙を流す者もいた。泣きながら理不尽に抗議する者。不安に、絶望に、膝から崩れ落ちる者もいた。

「だから僕は村の安全を、みんなの安定を最優先に考えようと思う。当面の目標は新天地への移動に定め」

「それでも」

 村長の言葉がさえぎられる。子供達が前に出て来ていた。

「明羽姉ちゃんを助けに行こうよ」

 子供達の先頭に立つ男の子が言った。見た目には何の特徴も見えないがその身体には聖獣の血が流れる間の子の男の子。

「きっと後悔するよ。村長」

「僕は明羽を助けに行かないと言っている訳じゃない。村が安定してからと」

「そんな呑気のんきなこと言ってる場合じゃないよ。明羽姉ちゃん割と泣き虫なんだから。そんな明羽姉ちゃんを放っておいて移動の準備なんてできないよ!」

 他の子供達が大きく頷いた。子供達に感化されたのか大人達も同調し始める。

「そうだ。村長」

「村長」

「明羽ちゃんを助けに行こう」

「でも村はどうする?」

「ここを知っている狩人がいるんだぞ」

「明羽ちゃんの救出、新天地の調査、準備を同時に進行することはできないか?」

「それだ!」

「それだ!!」

「いい考えだ!」

 村人達が村長にまっすぐな視線を向ける。村長はため息をついた。

「分かった」

 村人達が歓声を上げる。

「では、誰が明羽を助けに行く?」

 村長の冷たい声に歓声は一瞬で静まり返る。

「この村から一歩も出ず、この村で生きることを選んだ君達が仲間の為、外に出る決意をしたことを僕は評価する。さあ。誰が行く?」

 村人達は一様に俯き、お互いの顔を見合わせる。自らが持つ耳、尾、角に触れ、村人達は足元を見つめる。静まり返ってしまった広場に村長は目を伏せた。自分の口から村人達を脅すよな言葉を放ったことを反省する。みんなの為と言った口からそんな言葉を放ってしまったことを反省する。

「すまない。今のは僕が」

「俺が!」

 震える手が茶色い空に伸びていた。

「俺が、行く!」

 子供達の先頭に立つ男の子は、明羽を助けに行こうと言った男の子は溢れそうになる涙を必死に堪えながら腕をまっすぐ天に伸ばしていた。男の子の強がりに村長は目をしばたいた。

「無理はしない方がいい」

「む、無理なんてしてにゃい!」

「手は震えているし、涙目だし、それに今噛んだね」

 男の子は顔を真っ赤にした。

「私も行きます!」

 顔を真っ赤にした男の子を支えるように背後にいた子供達が前に踏み出していた。

「わたしもっ」

「わたっ私も!」

「僕もっ」

「ぼくも行く!」

「俺も!」

「オレだって」

「ボクも、いく!」

「アタシも行くよ!」

「お、お前ら」

 男の子も女の子も関係なく自分より前にいる者を押し出しながら子供達が前に出る。子供達の声に大人達は大人達で何か決意したような顔になり、村長は嫌な予感がした。手が一本、二本と上がっていく。

「自分も行きます!」

 ひとりの声を皮切りに他の大人達も「自分が自分が」と叫び始める。大人達の勢いに子供達はポカンと大人達を見上げるばかりになった。村長はため息をつく。

「分かった分かった! 僕が悪かった! みんな落ち着いてくれ」

 村人達の声がゆっくりと静まっていく。

「君達の気持ちは良く分かった。標」

「はい」

 村長の側で成り行きを見守っていた標が返事をする。

「ここにいる全員に明羽の救出を任せられると思うかい?」

 村人達が身構える。標は苦笑した。

「無理ですね。移動手段もないし。大勢で動くのは得策じゃない」

 標の言葉に村人達がこっそりと、けれどしっかりとホッと胸を撫で下ろす。

「では、この中からりすぐって任せるのは?」

 村人達が再び身構える。唾を飲み込む者が何人かいた。

「やめた方がいいですね。外に不慣れな者ばかりです。ボロが出るのが怖い」

「では、どうしたらいいと思う?」

「そうですね。俺が行けたらいいんですけど。候補地の調査が終わってない」

 村長と標の掛け合いの行く末を村人達は固唾を呑んで見守った。

「それはトリオが戻ってきたら頼もうか。水脈の調査うんぬん、何とかしよう。明羽のこと、頼まれてくれるか? 標」

「喜んで」

 村人達から歓声が上がった。ここ最近で一番の歓声だった。

「し、標ー!」

「頼んだ!」

「頼んだぞ!」

「移動の準備は以前の集会でまとめたマニュアルを元に各自進めるように!」

「はい!」

 村長の呼び掛けに村人達が元気な返事を返した。

「解散!」

 広場を去って行く村人達を標が眺めていると声が聞こえてくる。

「良かった……良かった……」

「何ビビってんだよ。外に出るのなんて俺は怖くないぜ!」

「だったら今からでも標の兄貴に一緒に連れてってくれって言って来いよ」

「う……」

「標がいてくれて良かった……」

「私まだ心臓バクバクいってるわ……」

「勢いで行くと言ったが今更手が震えてきた……」

「俺も。あの瞬間は本気で行くつもりだったんだがなあ」

「私達には早かったわね……」

 村人達の呟きに標はひとり肩をすくめた。村長はふと広場に面している道のひとつに目を向ける。青い髪を揺らしながら氷呂が広場に入ってくる。氷呂の姿に気付いたのは村長だけではない。集会が終わっても残っていた謝花と夕菜が氷呂に駆け寄る。

「氷呂!」

「氷呂ちゃん」

「謝花。夕菜。集会があったの? 私……」

「大丈夫よ。氷呂ちゃん。集会の内容は私達が教えてあげるから」

「夏芽さん」

 謝花と夕菜の後ろから氷呂に近付いた夏芽は俯く氷呂の顔を覗き込む。

「顔色悪いわね」

「休めた? 氷呂ちゃん」

「私の薬、効かなかったかな?」

 不安そうな顔の三人に氷呂はゆるく首を横に振った。いまいちハッキリしない氷呂の返事にますます心配そうな顔で夏芽と謝花と夕菜は顔を見合わせる。

「氷呂。明羽を助けに行くこと、決まったよ」

「そう」

 謝花の明るい声にも氷呂は顔を上げることさえしなかった。

「氷呂」

 村長と標が氷呂に近付く。

「村長」

「標が明羽を追って北の町へ向かってくれることになった。みんなも賛同してくれている」

 村長にそう言われても氷呂はジッと地面を見つめていた。身じろぎしない氷呂に村長は目をしばたく。氷呂は目を覚ましたら明羽を追って村を飛び出していくのではと、止める者がいても振り切ってでも行くだろうと危惧きぐしていた村長は予想外の氷呂の様子に内心戸惑っていた。

「氷呂。氷呂は……」

 謝花は震える声で言う。

「標兄様と一緒に明羽を追うよね?」

 氷呂は黙っている。

「氷呂!」

「謝花ちゃん。落ち着いて」

 氷呂の腕を掴んだ謝花の手に夏芽が手を重ねる。夏芽にさとされても謝花は引き下がらない。

「私、いつも羨ましく思ってたんだよ。明羽と氷呂はいつも一緒でふたりはいつも見えない何かで通じ合ってた。他の誰も入る隙のない絆で結ばれてた。そうでしょう? 氷呂!」

「分からないの!」

 氷呂の叫びに謝花は驚いて身を引く。

「明羽が何を考えているのか私にはもう分からない! 明羽なんてもう知らない! 好きにどこへでも行けばいい!」

 服の裾を握り込んで震えている氷呂に謝花は涙目になる。

「氷呂。氷呂……。お願いだからそんなこと言わないでよ」

 不安を少しでも和らげようと謝花は夏芽にすがりつく。氷呂の叫びに村長もショックを隠せない。

「氷呂……」

「村長。私、私は……もうどうしたらいいか分からない!」

「氷呂ちゃん! 氷呂ちゃん! 落ち着いて!」

 夕菜も気丈に氷呂に声を掛けるが、

「私は行かない!」

 氷呂の明確な拒絶に広場は静まり返った。


 村の中を風が吹き抜ける。村長の張る結界によって砂粒と勢いの削がれた風が吹く。準備を万端に整えて標は満を持して村の入り口に車を出した。

「標兄様」

「謝花」

 標の側まで駆け寄って謝花は口を開くがすぐに閉じる。俯き不安そうな顔をする謝花に標から声を掛ける。

「大丈夫だ。謝花。必ず明羽を連れて帰ってくる。俺を信じろ」

 謝花は首を横に振った。その意図が読み取れずに標は首を傾げる。

「氷呂の様子は?」

 問われて謝花は項垂うなだれる。

「ずっと機織り機の前に座ってます。布を織るでもなくずっとぼんやり座ったまま動かないです」

「そうか」

 標と謝花が揃って黙り込むと不意に謝花が村の外へと目を向ける。

「謝花?」

「エンジン音が」

 暫くして標の耳もエンジン音を捉える。嵐で見通しの利かない村の外に平行に並ぶヘッドライトが浮かび上がり、その車は村に入ってくると標と謝花の前で止まった。降りてきた黒服に身を包んだ三人組に標は声を掛ける。

「やっと帰って来たな」

「標ー」

「ただいまー」

「こっちは完全に外れ。標もまた出るのか?」

「いや、俺は……」

 標はトリオがいない間に決まったことと明羽のこと、それを踏まえて氷呂の今の状態を説明する。標の話を聞きながらトリオは始終ポカンとしていた。

「そんなことって……」

「標。ごめんな」

「うん?」

「俺達何の役にも立てなくて」

「何言ってんだ。お前達三人とも村に貢献こうけんしまくってるじゃないか。今までは採掘で、今は新天地候補探しまでしてくれてる」

「そうですよ」

 標とトリオの会話に割り込んできた謝花はムスッとしていた。

「謝花さん?」

「本当に役立たずなのは私達」

「じゃ、謝花?」

「標兄様は優しすぎるんです」

 急に何の話だと標は頭上に疑問符を浮かべたがトリオは当然のように頷いた。

「私達、全部標兄様に押し付けてるんですよ? 明羽を助けに行こうって言い出したのは私達なのに。外に出るのが怖いからって人間が怖いからって標兄様任せにしてしまっている」

「人には向き不向きってもんがあるからな。それにどのみち移動手段もない訳で」

「後から気付いたんです」

「……ん?」

「あの広場の集会の後、自分達のあまりの情けなさに」

 村人全員の気持ちを代弁するような謝花の物言いに標は大人しく聞き役にてっする。

「みんな同じ気持ちだと思います。それでも標兄様」

 謝花は顔を上げる。口を引き結びまっすぐに標を見上げる。

「すみません。頼らせてください」

 標は謝花の頭に手を置いた。標の手の平で謝花の双眸そうぼうが隠れる。

「標兄様?」

「なに改まってるんだか。いいんだよ。今まで通り。俺は俺の出来ることをやるだけだ」

「しょうがないよ。村のみんなは根っからの引き籠りだもん」

 謝花をはげます標の言葉をなかさえぎるように言葉を発してしまったトリオが目を丸くする。それでもトリオは言葉を止めない。

「えと。僕達はみんな臆病だから。でも、分かってるんだ。今まではそれでも良かったもしれないけど。それじゃあダメな時が来てるんだって。まだ、難しいかもしれないけどちゃんと自分達で立ち上がるから、立ち向かうからさ。もう少し待っててよ」

 謝花と同じように村人全員の気持ちを代弁するようなトリオに標は目を瞬かせる。

「ただ、いつになるかは分からないけど」

「いつになるか……」

「分からないけど!」

 標の反復を継いで元気に言ったトリオに標は笑ってしまう。

「気の長い話だなあ」

「でも絶対! いつまでもこのまんまじゃないから!」

 トリオは村の皆の代弁をしているだけではなく自分達にも言い聞かせていた。それが分かった標は頷く。

「そっか、そうか、そうだな。じゃあ、俺はその日が来るまで気長に待てばいいな」

「おう!」

「どーんと構えててくれ。標!」

「それまでものすごく迷惑掛けちまうけど!」

「頼りにしてくれてるんだろう? 構わねえよ。俺のやることは何ひとつ変わらない。じゃんじゃん頼ってくれ」

「標」

「標っ」

「標!」

「標兄様……」

 トリオと一緒に謝花も感動に瞳をうるませていた。

「そのいつかが来たら村のみんなで世界旅行でも行くか。それを実現させる為にも俺は明羽を連れ戻しに行ってくる」

「はい。標兄様。明羽をよろしくお願いします」

「おう、謝花はみんなのことを頼む。それに夏芽の助けになってやってくれ」

「頑張ります!」

「それから、氷呂のことも頼んだ」

「……はい」

 氷呂の名に謝花は辛そうな顔になったが確かに頷いた。

「新天地調査のことは任せてくれ!」

「ん。任せた」

 トリオと拳を突き合わせて標は車に乗り込む。

「行ってくる」

 謝花とトリオに見送られて標は車を発進させた。


 明かり取りの窓から入る薄い光の中、機織り機の前に座る氷呂は両手で顔を覆う。

「……明羽」

 消え入りそうな声で呟いた。

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