新たな一面を知り、また好きになる
第47話
「あっ、サトーちゃん髪切った!」
蘭ちゃんが、かわいいねって褒めてくれる。
「二年前に比べたら随分と垢抜けたよね」
紫穂ちゃんは、相変わらずハッキリとものを言う。
「ありがとう」
褒めてくれているのは分かっているのでお礼を言っておく。
二人に出会って二年が経ち、私たちは三年へと無事に進級していた。時間が過ぎるのは早いなぁ。
「サトーちゃんは素が良いからね、ほら肌なんてスベスベだよ」
「紫穂ちゃん、そんな風に触ったら氷室先輩に怒られるよ」
先輩はもう卒業しちゃってるから、見られることも怒られることもないだろうけど、蘭ちゃんは気を使ってくれる。
「ねぇ最近は先輩と、どうなの?」
いや、冷やかされているのか。
「最近は、お仕事が忙しいみたいで会えてないの」
先輩は、半年ほど前から何やら会社のプロジェクトチームに抜擢されたとかで忙しそうにしていた。
リモートではなく出社する日も増え、そんな時はお姉さん宅で泊まっている。
寂しいけれど仕方ない。
先輩は「こんな筈じゃなかった、騙された」なんて言いながらも、休まず仕事をこなしている様子だし、話を聞く限り期待されているみたい。社会人一年目から凄いなぁと思う。
二年目に入り、さらに忙しくなっていたが、私は自分の寂しさよりも先輩の活躍を応援したいと思っている。
「そうなの、寂しくないの?」
「平気だよ、今夜は久しぶりに会えるしね」
「あぁ、それで。今日は一段と可愛い格好してるもんね」
「そ、そう?」
良かった、昨日の夜は何を着ようかと迷いに迷ってようやく決めた服装、蘭ちゃんがそう言うなら間違いじゃなかったんだ。
先輩の隣を歩くなら、せめて先輩の迷惑にならない程度にはと思って私なりに努力しようと思っている。社会人になった先輩はーー贔屓目じゃなく、一段と綺麗なんだもん。
「サトーちゃん、幸せオーラがダダ漏れだよ」
二人に揶揄われながらもサークルの時間を終え、校門を出た。
「天寧」
するとそこに、一人の女性が立っていた。
やっぱりそうだ! 遠くからでもすぐわかる。
私の彼女、綺麗なんだもん。
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