第三章 期待しちゃってもいいんですか?
第11話
「じゃぁ何、その子はセフレに恋しちゃったの?」
「チャレンジャーだねぇ」
「そう……みたい、ようやく自覚したというか」
例によって、蘭ちゃんと紫穂ちゃんに相談をしていた。
気付いてしまった、先輩への想いについて。
「私はやめといた方がいいと思うなぁ、その子が傷つくだけじゃない?」
「でも、サトーちゃんはその子を応援したいんでしょ」
「うん、初めての恋みたいだから、悔いのないように」
「どっちかだよね」
「そうだね」
二人でアイコンタクトし納得し合っている。
「え、何が?」
私は、食い気味に大きな声を出してしまった。
蘭ちゃんが、まぁまぁと私を落ち着かせようとしながら話してくれる。
「たとえばアプローチをかけたとするでしょ」
「うん」
「脈があればそのまま恋人関係になれるかもしれないし、なければセフレ関係も解消」
「あぁ、そう思えば、その子にとってはいいかもね。ズルズル引きずるよりは」
紫穂ちゃんの発言は、振られる前提のような気もするが。
「たとえば、どういうふうにアプローチするの?」
私としては一番聞きたいのはソコだ。
「それは、ほら。もうすぐバレンタインだし、ね?」
「そっか、なるほど」
バレンタインに告白、出来るかな?
「ねぇ話は変わるけど、バレンタインにさぁ、先輩たちにチョコあげない?」
紫穂ちゃんの提案に、イベント事が好きな女子が多いせいか、1年の子ほぼ全員が同意した。
「いつもお世話になってるしね」
「お返しも少しだけ期待して?」
「女子の先輩にもあげるよね?」
「それは、もちろん。ジェンダーレスで」
そうして私は、氷室先輩にチョコをあげる担当になった。
希望したわけではなく、偶然である。
あみだくじで決めたのだから、本当に偶然である。
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