第10話

「えっと、あの、そうだ! どうしたら文章の基本が身に付きますか?」

「そんなの、わからないわよ」

「へ?」

 なんでよ、先輩が言ったんじゃん。

 基本がなってないって。

「私も基本が全く身に付いてないから」

「え、そう……ですか?」

「だからあのサークル入ってるんだし。みんなと一緒に上達するために」

 あぁ、先輩はダメだししたんじゃなくて、客観的に指摘してくれただけだったんだ。

 先輩って、言葉が足らないために誤解されること多いんじゃないかな。


「先輩?」

「どうした?」

「えっと、電話ありがとうございました」

「うん」

「おやすみなさい」

「ん、おやすみ」



 今日は家へ帰ってからもずっとモヤモヤしていて、それが何故なのかよくわからなくて、ただぼんやりしていた。

 先輩からの電話で驚いたけど、気持ちが一変した。声が聞けただけでも嬉しかったんだと思う。さらにいつもよりもたくさん話が出来たもんだから舞い上がって。

 思わず言いそうになった言葉。

 ーー先輩、好きですーー


 そして、もっと先輩の事を知りたい、いろんな表情を見てみたいと思う。


 もしかして、これが恋しいという気持ちなの?

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