第2話 小さな神社 冥界への入り口
四人は神社の鳥居をくぐった。静かな空間だと感じた。掃除をしていた男が四人に気付き会釈をした。
「こんにちは、峰岸と申します。私たちは東京から矢田さんという方を訪ねて来たものですが」
その男は顔を掃除の手を止め近づいてきた。
「おお、
四人も顔を見合わせ、男の口から『
「私が矢田です。
「きれいな神社ですね」
「そう言って頂けると嬉しいです。小さな神社です。どうぞこちらへ」
矢田は四人を神社の隣にある自宅の方へ案内した。応接に通された四人がソファに腰をおろすと、矢田の奥さんが「どうぞ」とおいしそうなお菓子とお茶を出してくれた。
矢田もゆっくりソファに座りお茶を飲みながら話してくれた。
「最近、どうも京都辺りのどこかの団体だろうか、頻繁に、この辺を訪ねてきているようです」
葉山と裕美が頷く。
「ついこの前、着物を着た六十ぐらいの女性と黒いスーツの男と数人の男性、そして高校生ぐらいの男の子がこの辺りに来たのです」
「高校生ぐらい?」
葉山と優一は顔を見合わせた。
「そうです。何か思い当たることでも?」
「いえ」
葉山は続きを話してくださいというようなジェスチャーをした。
「そう、数人の男性は特に何者でもない団体の方々だったようですが、その高貴な女性と高校生ぐらいの男の子、そして何か得体のしれない力を持っているような黒いスーツの男性。この三人が探していたものがあったようで、この神社にも参拝に来たのです」
そこまで話して矢田はお茶を一口飲んだ。
「実は、ここは私たちの目に見える形では実在しないのですが、ある貴重なものが『黄泉の国』から持ち帰られて保管されていると思われている場所なのです。いや、だったというべきでしょうか? この本殿の奥です。しかし、私たちは話にしか聞いたことがなく、それを見たことがありません。ただ、ついこのほど
葉山と裕美は、また顔を見合わせる。
裕美が口を開いた。
「何だかつかみどころがないようなお話ですね。なにか、これを持っていかれたというような、なくなっているものなどもないのですか?」
「そうなんです。
葉山が言う。
「私はここに来るのは初めてで、以前それがあったときの気配というか空気というようなものを知りませんが、確かにここは、今は『そういう異質なもの』の気配は感じませんね」
そう言って裕美の顔を見る。
「そうですね。少なくとも言われるような『黄泉の国』というようなところから持ち帰ったものが、もしあったとするなら通常ではないものを感じると思うのですが、少なくともそういう違和感は感じないですね。神聖な空気が漂っている神社という感じですね」
葉山と裕美は矢田にお礼をいって家をでた。もう一度、神社に参拝し、あたりを
「こういうときは
裕美が言う。
「そうなの声を掛けたけど、どうしても来れない用事があるって」
と話しているとき、
「おい! 久し振り!」
と後ろから
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