黒田郡探偵事務所 第六章 天岩戸にて
KKモントレイユ
第1話 裕美と葉山
東京で裕美と圭太は葉山に会った。
しかし「九州で大変なことが起こっているようだから九州へ行く」と新幹線で東京に向かっている途中に連絡があった。東京ではほんの少しの時間、葉山と会ったが、葉山の方はすぐに九州に行くと言って先に旅立った。
この短い時間に裕美の方は東京支部と中部支部の情報を少しつかんだようだった。そして今日に至る。
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裕美と圭太が東京を発って九州についた宮崎県某市に着いたのは昼過ぎだった。
「ごめんね。急に九州まで来てもらって」
約束していた場所で葉山と優一が裕美たちを待っていた。
「本当よ。そちらは」
「優一君」
「なに? 東京から九州まで呼び出して彼氏の紹介?」
裕美は優一の周りを一周回って顔を見て……
「素敵な人じゃない」
という『なんだかネコみたいな人だな』と思った。しかし、改めて近くで顔を見られると『とんでもなく綺麗な人だ』と思った。まるでモデルのような容姿にドキッとした。
葉山に睨まれ首を振る優一。微笑む葉山。そんな二人の様子を見て裕美が微笑む。
「仲いいのね。私は
そう言って裕美が微笑む。
市内の喫茶店で少し話をしたあと、ある人物に会うのだと言って店を出た。その人物のいる場所には歩いて行けそうだという。
葉山が話を切り出した。
「ところで東京でも少し話したけど、ここで調べたいことがあって」
「『四つの秘宝』の話?」
「そう、某市にいる矢田さんという方から『向こうの世界の秘宝を持ち出そうとしているものがいるようだ』と
「向こうの世界? こっちのものを集めようとしてるんじゃなくて、向こうのものを持ってくるの?」
裕美が怪訝そうな顔で葉山に聞く。
「霊寿さんはそう言ったわ」
葉山が呟くように言う。
「『四つの秘宝』、『剣』、『鏡』、『
葉山は少し考えるような仕草をして
「『剣』は、この人、優一君」
「え? なに? あなた『秘宝』を恋人にプレゼントしたの?」
「いやいや、もともと私が正当な所有者ではなかったのよ」
「いや、あなたでしょ。どう考えても」
首を振る葉山。
「私があの『剣』を手にしても『剣』は何も反応しなかったの」
「……この人は?」
「龍が宿るところを見たわ。私も
「そんなことがあるの?」
「あったのよ……でも、もちろん何かのときは私も手伝うから」
裕美は少し心配そうな顔で優一を見たあと
「大丈夫?」
と聞く、自信なさそうに頷く優一に、
「まあ、もちろん、みんな協力するから……恵庭もすごいから……」
「ああ、優一君は
「え? そうなの。会ったの」
頷く優一。
「そう……見た? 彼女の力」
「はい」
「すごいでしょ」
「驚きました」
「そうよね。彼女の場合、そこにいる邪悪なものを『
裕美の隣にいる
「僕も驚いたよ。腰抜かした」
という。なんだか昔話の登場人物のような人だと思ったが、優一も岩手で初めて
「あ、ごめんなさい。彼を紹介してなかったわね。私の婚約者、
そんな話をして歩いているうちに目的地に着いた。そこは町の中にある神社のような場所だった。
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*これまでのすべての章*
黒田郡探偵事務所 第一章
https://kakuyomu.jp/works/16817330652061338785
黒田郡探偵事務所 第二章
https://kakuyomu.jp/works/16817330652640169333
黒田郡探偵事務所 第三章
https://kakuyomu.jp/works/16817330652831503800
黒田郡探偵事務所 第四章
https://kakuyomu.jp/works/16817330653025504131
黒田郡探偵事務所 第五章
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