第10話:占い師の館。

好人はルシルとのセックスで何度もエクスタシーに浸った。


あまりに夢中になってふたりは魔法陣から出ていた。

そのことにふと気づいた好人・・・。


「わ〜大変だ・・・魔法陣から大々的に出てるよ」


「大丈夫だよ・・・慌てなくても・・・」

「魔法陣から出たら火傷するって言ったのはウソ」


「え?、ウソ?・・・まじで?」

「なんで、そんなウソつくんだよ、ビビったじゃん」


「途中でヨシトが逃げちゃったらマズいと思って・・・」


「あんなすごいセックスしてる最中に途中で逃げるようなそんなバカな

男はいないよ」


「あはは・・・ごめん」


ってことで、ルシルの中に好人の精子が入ったわけだから、ルシルから言えば

契約成立ってことになって、好人はこれでルシルを裏切って浮気なんかした

日には好人は地獄に落とされる?かもしれない。


これで人間界に帰る見込みはなくなった。

ルシルはルシルで、好人を人間界になんか返すつもりはなかった。


でも表面上は好人に協力してるふりをしていた。


好人が賢者タイムになっても、しばらくするとまたルシルとセックスが

したくなった。

ふたりは堰を切ったように、気持ちを抑えきれずに求めあった。

それから、好人とルシルは毎晩、セックスに明け暮れた。


そしてセックスの何かをルシルにきっちり教え込まれた。

で、へたくそだったクンニも、テクニックが向上していた。


もし人間界に戻っても好人は人間の女性を喜ばせる自信をつけていった。

他の女子を喜ばすなんてこと、一生ないって言うのに・・・。


ある朝、朝食の時ルシルは思いがけず、好人が人間界へ帰る方法に

ついて話し始めた。

表向きはである。


「さてと、そろそろ好人が人間界に帰る方法でも見つけようかな」


「お、そうだ、こっちの生活が心地よくて忘れるところだった・・・」

「何か、いい考えある?」


「ひとつあることはあるけど・・・」


「私じゃ無理だけど、ひとりいいアイデアを持ってそうなやつがいると

思うんだけど・・・」


「ちょっと私と一緒に来て」


そう言うとルシルは好人の手を引いて、そのいいアイデアを持ってるかもって

言う人?悪魔?のもとへでかけた。


また、遅れてきたバスに乗って30分。

忘却の街ってところでバスを降りた。


バスを降りてしばらく歩くと・・・


「ここだよ」


とルシルの尻尾が指したので、見ると

そこはものすご〜く古ぼけた怪しそうな店で、というよりヤカタって感じで


小さな看板に「divination」って書かれてあった。


「この看板なんて書いてあるの?」


「ディヴィナシオン・・・」


「なんて意味?」


「占いって意味」


「あ〜・・・占いね・・・占い師に僕が帰る方法を聞こうってこと?」


店の中に入ると、大きいのや小さいのまで、いろんなシャレコウベがジャラジャラ

吊るしてあったり 夜中に勝手に動きそうな不気味な人形が置いてあったりキミが

悪いったら・・・

なにもしてないのに、ジロってこっちを見る、フクロウとか・・・。

とにかくジャンクな店だった。


悪い夢の世界の占い師の​店らしかった。


「じいさんいる?」


うめくような声がした。

でも、姿は見えない。

ルシルはもう一度言った。


「じじい・・・隠れてないで出てこいよ」


すると胡散臭そうな、じいさんが背中を丸めて、店の奥から出てきた。


「なんじゃ・・・ルシルか・・・」

「久しぶりだの・・・」


「まあ、おまえが来ると思ってたわい」


そう言って占い師は好人のことを、ちらっと見た。


そのじいさんは頭はハゲてるのに顎の白いヒゲがやたら伸びて、

池面に擦れていた。

やはりこの爺さんも顔色が悪いったら・・・。


「このおじいさんも悪魔なの?」


「そうだよ・・・みんな悪魔」


ルシルがそのじいさんに近づいて、しばらく何か言いあっていた。


「ねえ、なんて言ったの?」


「今までの状況を説明してヨシトが人間界に帰る方法を教えてくれって言ったの」


「大丈夫なの?胡散臭そうなおじいさんなんだけど・・・」


「胡散臭そうってのは、余計じゃ人間・・・」


「俺のこと人間って分かってるんだ」

「よく分かってるね、おじいさん」

「で、とりあえず一度は人間界に帰りたいんだけど、なんとかなるかな?」


胡散臭そうなじいさんは何か、どこにでも転がってそうないびつな石を取り出して

目の前の古ぼけた机にばらまいた。


「ん〜・・・・・」


「ん〜・・・・・」


「ん〜・・・・・」


「ん〜ばっかじゃなくてさ、なんとか言いなよじいさん」


ルシルが腹立たしそうに言った。


「慌てなさんな・・・」


「ん〜・・・・」


「う〜ん、でたぞ・・・」


「うんこが出たみたいに言うな」


「すまんが・・・ここから西へ4・5キロほど行ったところに黒ガラスっちゅう

飲み屋があるで・・・おまえそこで酒買ってきてくれんかの」


「くそじじい、私をパシリに使う気か?・・・ナメんなよ」

「自分でいけよ・・・」


「足が悪いで・・・」


「僕が買ってこようか?」


「ヨシトはそんなことしなくていいの・・・じじいがつけあがるから」


「じゃあいいわい・・・もしかしてと思ってちょっと言ってみただけ

じゃからの・・・」

「 あのな・・・たぶんじゃがもう一回耳鳴りがしたら、もしかしたら

帰れるかもな・・・」


「なんかさ、無難な答えだな・・・」

「誰でもわかるようなこと言ってんじゃねぞ、じじい」


「じゃが耳鳴りがもとでここに来たんじゃろうが・・・」


「耳鳴りって言われても・・・・いつ起こるか分からないし・・・」


「耳鳴りが始まったきっかけを思い出せば、よかろう」


(耳鳴りが始まったきっかけ・・・サラダが亡くなった時のこと・・・)

「そんな急に言われてもな・・・」


たしかにサラダがなくなったのは悲しいことだけど、急には耳鳴り

なんてしないよ・・・そう好人は思った。


つづく。

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