第4話:意味深なルシル。

好人よしとは自分の耳鳴りのせいでコシュマールヴィル「悪夢の街」に飛ばされて、

そこでルシルと言う小悪魔と知り合った。


しかもルシルは自分の彼氏になってくれないと人間界に帰る方法を探して

やらないと言う。

好人は半ば強制的に、彼氏にされた。

って言うか・・・強制的って言うより、どっちかって言うと積極的にルシルの

彼氏になったんじゃないかな?とも言える・・・そのへんは、すご〜く怪しい。


好人は、急いで人間界に帰ることでジタバタするのは、もうやめようと思った。

焦ったって、帰れるときが来たら帰れるだろうって思うようにした。


ルシルが言った通り、しばらくしたら出前がやってきた。

出前を持って来たニイちゃんも顔色がすこぶる悪いやつで、

そいつは好人のほうを見て、なにも言わずただニヤニヤしてて、気持ち悪い

やつだった。


「なにニヤニヤしてんだよ・・・出前置いてさっさと帰れ・・・」


出前持の男はルシルにそう言われて、すごすご帰って行った。


届いた料理はなんて食物かは分からなかったし、なにが入ってるのか好人は

怖くて聞けなかった。

ルシルと仲良く食べたが、かなり美味かった・・・って言うか、クセに

なる味だった。


昼過ぎにルシルは出かけて来るからって言って、好人をほったらかして、

どこかへ出かけて行った。


ルシルがいないからって、どこかへ出かけるあてもないし・・・。

人間界に帰る手立てもないし・・・。


好人は部屋の中をぐるっと見回した。

(まあ、女の子らしい部屋っちゃ〜、そうなのか・・・?)


見ると本棚に何冊かの本があったので、本でも読んで暇つぶししようと

思って本を一冊とった。

本かと思ったら、活字じゃなく漫画だった。

悪魔も漫画読むんだなって好人は思った。

でも、セリフが日本語じゃないので、なに書いてるのかさっぱり分からなかった。


スマホでゲームでもやろうかと思ったが、バッテリーが切れていた。

しかたないので好人はベッドで少し横になった。


夕方、ルシルに起こされるまで好人は、ずっと眠っていた。

その晩、好人は昼間、寝たりしたから目が冴えて眠れないかもって思ったら

なんとルシルが、ごそごそ好人のベッドに、潜り込んできた。


「え?なにやってんの?」


「そ・い・ね・・・添い寝だよ」

「くっついちゃお・・・」


「添い寝って・・・そんなことされたら眠れないだろ」


「なんでよ・・・恋人同士なんだから、一緒に寝てあたりまえでしょ?」

「それとも私に地べたに寝ろって言うつもり・・・」


「そうは言わないけどさ・・・おっぱいが腕に当たってるって・・・」


それだけで好人の下半身はカチカチに凍った南極のバナナみたいになっていた。

そこにすかさずルシルの右手が・・・


「わ〜スケベだ・・・こんなに硬くなって大きくなって・・」


「わわわ・・・ダメダメ・・・そんなにニギニギしないでくれる?」


「出ちゃうから?」


「そんなに早漏じゃないよ」


「ふ〜ん・・・どうだか・・・」

「さ、寝よっと・・・」


そう言ってルシルは好人の冷凍バナナを触るだけ触っておいて背を向けた。


「え・そこまでしといて?・・・どうすんだよ、ほんとに眠れないよ」

「添い寝してやるって言ったくせに、そっぽ向いて寝るんだ?」


「し〜らないっ・・・」


「分かった・・・じゃ〜僕だって・・・こうしてやる・・・」


そう言うと好人は後ろからルシルにしがみついて、ピタッと体をくっつけて

左手でおっぱいを揉んだ。


「きゃはは・・・くすぐったい・・・ちょっと〜」


ルシルは、おっぱい揉んでいた好人の手をペチンと叩いた。


「って言うか・・・固いのが私のお尻に当たってるんだけどお〜・・・」


「尻尾が邪魔だな・・・」


「あのさ・・・彼氏になってって言ったけど、エッチはまだだからね」


「僕のを握っておいて?」


「ん〜だから〜・・・今夜は期待しないで・・・」

「私とエッチするなら好人には、ちゃんと覚悟してもらわなきゃいけないことが

あるから・・・」


「なに?・・・覚悟って・・・」


「そのうち分かるから・・・」

「さ、寝るよ・・・明日、学校だから・・・それに夜更かしはお肌に

よくないからね」


好人は、この流れのままエッチに突入してもいいんじゃないかなって

期待したので、何もなしで寝るのは残念でしかたなかった。

ルシルがその気にならないのならしかたない。


(覚悟ってなんだろう?)


悪魔とエッチするのに、なにを覚悟がいるんだろうって好人は思った。


「あのさ、エッチしないんなら、後ろから抱っこしたまま寝てもいい?」


「いいよ」


(ほほ〜あったかい抱き枕・・・めっちゃ柔らかいし・・・めっちゃいい

匂いするし・・・)

(やっぱり、これじゃ寝れないよな・・・)


でも、しっかり寝てしまったわけで・・・次の朝、好人はルシルに起こされた。

昨夜は、まじでぐっすり寝ていて悪い夢なんか見なかったみたいだ・・・。


ルシルは昨日のマイクロビキニみたいなコスから制服らしき衣装に着替えていた。

黒いセーラーにエンジのギンガムチックのプリーツスカート。

人間界の女子高生が着てる制服と変わらなかった。


でも中身が悪魔だから・・・。


(ルシルのこれって・・・俺にとっちゃ結局コスプレじゃん)


ルシルのビジュアルといい制服といい・・・人間の世界に連れて行ったらまじ

彼女はコスプレーヤーだと思った。


コスプレオタクの好人には、たまらなくイケてるルシルだった。


「私の制服姿でエロい気持ちになってるだろ?・・・好人」


「うん、エロい気持ちになってる・・・その制服のままエッチしたい」


「あらら・・・素直に認めるんだ」

「このままエッチしたいって?・・・好人・・・・エロい・・・ってかスケベ」

「朝から、エロくなってるんじゃねえよ」


「ルシルが挑発するようなこと言うからだろ・・・」


「ほれ!!」


そう言ってルシルはスカートをめくった。

好人の目の前で、超ミニのパンツがあらわになった。


「うそ・・・なにやってんの?・・・やめろって・・・」


好人をからかってルシルは面白がっていた。


「人を挑発して面白いか?、エッチさせてもらえないのに・・・」


「さてと、行くか・・・」


「無視かよ!!」


好人はルシルに連れられて、はじめて家の外にて出た。

悪夢の街なんて言うから、日中も暗いのかと思ったら、人間界と同じでちゃんと

太陽が輝いていた。


「ここってちゃんと昼間もあるんだ・・・」


「これが普通だけど・・・?」

「悪夢の街なんて言うから、昼間も暗いのかって思ってた?」

「あのさ、真っ暗な世界で生きてくって、たぶんそんな生活送ってたらウツのやつが

限りなく増えると思うけどね・・・」


そして、なんとなく想像がついたような街並み・・・ヨーロッパ風な中世的建物。


(よかった・・・ビルじゃなくて)

(これでなくちゃ・・・)


好人はそう思った。


(これで東京みたいに高層ビルなんか立ってたらゲッソリだからな)


細い路地は、ほとんどが石が敷き詰められていた。

路地を抜けると、少し幅の広い道に出た。

レンガ造りの建物も魅力的だったが、緑が多いことに好人は目を見張った。


「なんかヨーロッパに来たみたいだ・・・行ったことないけど・・・」


「気に入ったんなら、もう人間界に帰らなくていいんじゃないか?」


「いや〜それとはまた話が違うんだけど・・・」


つづく。

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