第9話 対面(後編)

五月六日午後六時 ホテルランバス最上階 フレンチ・ダイニング「スカイランバス」開店


 開店と同時にロビーから先ず、招待客から店内に案内され、一番最後に沙耶、香織、薊らが案内された。


「わー、素敵!」


 沙耶達が店内に入ると、店内に広がる殆ど仕切りのないスクリーンのような窓ガラスから、少し夕暮れがかった都内が一望できた。五十棲は、声を上げて喜んだ。



 特に特等席と思われる場所には、黒川家一行が案内されていた。一行は一狼と両親の他に、ボディガードの白城のテーブルと執事の槙島とメイド長の早川、メイドの本庄、春日部らが、二つのテーブルに分かれて座っていた。


 沙耶の両親は、全ての招待客のテーブルを一つずつ挨拶をして回っていた。名目は娘の誕生会とはいえ、その目的は接待にあるため、娘へのプレゼントなどは固くご辞退させて頂き、料理と夜景を楽しんで頂くことを趣向としていた。しかも帰りの招待客には手土産まで用意されていた。宗一の挨拶回りが終わると順に其々のテーブルに飲み物が出され、窓に映る景色と飲み物を楽しんだ。



「父さん、母さん、海外出張お疲れ様でした」


 一狼の言葉でグラスに注がれたワインやミネラルウォーターで乾杯の音頭とともにグラスが交わされた。


「しかし一狼にお友達がいたとは知らなかったわ。今まで学園の誰一人、お友達の名前など聞いたことが無かったから、母さん少し驚いたわ。それが葵さんのところのお嬢さんだったとは、奇遇なことね」


「いや、一度食堂で話をしたぐらいなんだけど」


「それにしても今日も坊ちゃんから声を掛けるなんて珍しいですよね。今までも外でご学友をお見かけしても、坊ちゃんから声を掛けるなんて一度も無かったことですよ」


「そうかな。最近では学園でも結構、何でもない話をすることも増えたんだがな…。ところで母さん、望月さんに色々聞いてたみたいだけど、母さんの知り合いの娘さん? か何かだったの」


「いえ、何でもないの。気のせいだったみたい」


 一狼や白城は、ローズの思い違いだったと言う言葉に多少の違和感を覚えていた。それはローズが名前だけの会長職ではないことをよく知っていたからである。元は有名模型会社だった黒川模型(現黒川グループ研究所)を今の三代目社長菱一と結婚をしてから、忽ちのうちに業種を問わず、国内外の大企業を結ぶグループ会社に発展させたのは、ローズの経営手腕が大きいことは家族やグループ企業以外にも有名であったからである。


「そうか…。母さんでも思い違いなんてこともあるんだね」


「そりゃ、あるわよ。よくお父さんに諭されることがあるもの」


 そうこうと話す内に、テーブルには小前菜が出され始めていた。


「今日はね、父さんや母さんに紹介したい人を招待したんだけど、都合が悪くて来れなかったんだ」


「ほう。その人も学園の友達かね?」


「いいえ、最近知り合ったんだけど、ぶっきらぼうなんだけど、何だか馬が合うって言うのかな。すごく自然にいられるんですよ」


「あら、それはまた初耳ね。男性? 女性? のどちらかしら」


「女の子なんだ。年は少し下だと思うけど、同じ中学生ぐらいかな。でも凄くしっかりとしてて…」


「そんな、未だあまりよく知らない子を紹介したいだなんて、余程、一狼も気に入ったんだな」


 菱一は、一狼の顔を見ながら微笑んだ。


「よっぽどの美人さんかしら。お名前はなんと言う方なの?」


「シスルと言います」


「………そ、そう」


 ローズの答えには何か妙な間があった。


「次の機会にまた紹介します。父さんも母さんも絶対に気にいると思いますから」


「一狼にそんな友達が出来たとは、驚いたな。次の機会に是非、紹介してもらうとしよう」



 五十一階の窓ガラスに映る都会の夕暮れの景色は格別であった。

 赤く染まった空と鮮やかな青い空色のコントラストを背景に高層ビルの窓や街に次第に灯りが見え始めていた。


「なんて綺麗な夕焼けなんでしょう」


 五十棲は、窓の景色を見ながらうっとりとしていた。


「それにしても私達だけこんな服装で良かったのかしら?パーティーなんて一度もお呼ばれしたこともそういう機会なんて無かったから」


「良いのよ。私が誕生会のことを言ってなかったから。それにいつもの服装で良いと私が言ったから。…ほら、私も一緒でしょ」


 しかし招待客の女性は、皆、パーティードレスだった。多少浮いた感はあるが、葵建設の社長の娘のパーティーで、沙耶もワンピース姿でそれ程、気には止められていなかった。


 そして沙耶のテーブルにも次々と料理が出されていった。


「それにしても薊ちゃんのカトラリーの扱いが上品で素敵だわ。薊ちゃんの良いところ発見できたわ」


「本当。上手ね。私の家は和食レストランなので、食事であまりナイフやフォークを持つ機会がないの。羨ましいわ」


「ありがとうございます」


 薊は二人の言葉に喜んで答えた。



「それでね、一狼。私とお父さんでまた三日後にヨーロッパへ海外出張に行かなければならなくなったの。明日は一緒にいられると思うけど、次の日は会社で会議があるから、それ以降、暫く留守になるわ。ごめんなさいね」


「………」


「坊ちゃん、どうかされたんですか?」


 白城は、小声で隣に座る一狼に問いかけた。


「ああ、銀からメールが来て…」


「母さんごめん。明日は本宅に行くから。今から友達のところに行ってくる」


「何だ、一狼。他にも友達がいたのか?」


「父さん、母さん、本当にごめんなさい。明日、きちんと説明しますから。友達が交通事故に遭ったみたいで…」


「あら、それは大変。直ぐに行ってあげなさい。白城、一狼を頼むわ」


「はい、承知しております。奥様」


「坊ちゃん、私が車でお送りします。詳しくは車の中で。…それと奥様、槙島も一緒に行かせてもらいます。メイド達は残しますので最後まで楽しませてやってください」


「良いわ。それでは、槙島も一緒に頼むわね」


「はい、奥様!」「早川、本庄、春日部は、ゆっくり楽しんでいってくれ。これは命令だ」


「はい、少尉!」



 一狼、白城、槙島の三人は、レストランから出てエレベーターに向かった。


「シスル、電話に出ないなぁ…」


「それで坊ちゃん、どうしたんですか?」


「銀から第三分隊の長良が遺体で発見されたって言うメールが入った。これから帰って折返し、埼玉に向かおうと思う」


「坊ちゃん、先ず館林君から詳しく状況確認してから、ことに当たった方がいいと思いますよ。少々危険では済まなくなりましたからね。慎重にお願いします」


「こんな時に、エレベーター遅いなぁ」


 槙島は、話を聞きながら苛立ち始めていた。



「何かしら? 黒川様が席をたたれて、レストランから出て行かれるような…」


 沙耶は一狼のテーブルからレストラン出口に向かう一狼達を見ながら呟いた。そして振り向いて薊を見るとテーブルの下で、何かソワソワしているような動作を見た。


「薊ちゃん? どうかしたの?」


「う、うん…お家から電話が入ってる見たいなの。ちょっと席を立たせてもらって、外で電話してくるね」


「そう。構わないわよ。何もなければ良いけどね。早く電話してあげて」


「うん」


 薊は、レストランを出て化粧室に向かった。

 それから直ぐに薊が電話を済ませて帰ってきた。


「薊ちゃん、どうだった?」


「うん…。お爺ちゃんが、体調を崩して病院へ行ったらしいの…」


「それは大変! 直ぐに家の車で薊ちゃんの家まで送らせるわ。それとも病院までの方が良かったかしら?」


「あ、大丈夫。お爺ちゃん、病院から帰ってきてるけど、お婆ちゃんが元気がないだけだから。それで途中で悪いのですが、今から家に帰ってあげようと思うの…。帰りは自分で車を呼んで帰るので大丈夫です」


「薊ちゃん、でも……」


「沙耶ちゃん、香織ちゃん、折角誘っていただいたのに、ごめんなさい。料理もここからの景色も最高だったわ。とても楽しかった」


 薊は、電話から帰って席に着くことなく、二人にそう言って葵の両親の元へ向かおうとしたが、沙耶が引き止めた。


「薊ちゃん、両親には私から伝えておくから、早く帰ってあげてお婆さんを安心させてあげて」


「沙耶ちゃん、ごめん。ありがとう。プレゼント、私も用意するから楽しみにしていてね」


「良いのよ。そんなこと。さあ、早く。後は気にしないで」


「うん。沙耶ちゃん、香織ちゃん、バイバイ」


「薊ちゃん、バイバイ。気をつけて帰ってね。またレインするから」


 沙耶と香織は、そう言ってレストラン出口まで見送った。




黒菱スカイタワー一階 地下駐車場出口


「白城、出口を出たら俺を降ろしてくれ! シスルが迎えに来るから」


 黒川家のリムジンがビルの裏通りにある駐車場出口から出ると直ぐに路肩に寄せて停車した。


「それでは私たちは黒菱タワーに戻ります。戻って直ぐに準備したら坊ちゃんに連絡しますので、それまでお気をつけて」


「ああ、よろしく頼む」


 そこへシスルがいつものように黒尽くめでバイクに跨って突然、現れた。そしていつものように目元のマスクとヘッドセットを残して覆っていた一部が体の中に消えていった。


「やぁ、シスル、ありがとう」


「後ろに乗って」


 一狼は、シスルのバイクの後部座席に座った。


「しっかり捕まっててくれ」


 二人を乗せたシスルのバイクは信じられないスピードで、裏通りから表通りへと飛び出していった。一狼はシスルに思いっきりしがみついた。表通りでは、通行する車が次々と急ブレーキを踏んだが、そこにはもう二人の姿はなかった。


「何だかもう、慣れたなぁ。これで良いのか?」


 白城は、その光景を見ながら、車を出した。




埼玉市民病院 霊安室


「快斗! …う、うわぁー!」

「快斗、快斗、快斗、目を開けて…」


 長良快斗の両親が遺体確認をしていた。

 病院の待合室では、分隊取締役のユッキーと分隊総長の柴崎ら数十名の分隊メンバーが頭を落とし、ある者は立ったまま、ある者は地べたに座り混んでいた。



 銀と翔が病院前に到着した。


「黒狼は、まだ来てないようですね」


「なぁ、翔。俺がここで黒狼を待ってるから、お前が中へ入って、気づかれずにそっとユッキーを連れてきてくんないか?」


「うっす!」


 翔が病院の中へ入っていくと病院の裏手の方から一人の男が銀の方へ近づいてきた。


「お前が副総長の銀か?」


 黒いライダースーツに白いライダージャケットを羽織った男は、銀にそう言って近寄った。

 銀は、サイドスタンドをゆっくりと立ててバイクを降りた。


「あーん、テメェ誰だ?」


 銀は、男の前に立ちはだかった。


「お前んとこの総長は、どこの誰だ?」


 黒いライダースーツの男は銀の問いかけに答えようともせず、俺の聞きたいことだけに答えろと言った態度だった。


「何でテメェにそんなこと教えなきゃいけねぇんだよ!」


「別に良いよ…ケッ、ケ。……一人、また一人。いやぁ、今度は四、五人まとめてが良いか?」


 男は気味の悪いニヤケ顔で意味不明なことを言った。


「まさか、テメェ、長良をやってねぇよな!」


 男はゆっくりとジャケットの内側に手を入れながら銀の方へ一歩出た。男は銀より少し背が低いぐらいだが、銀が見下ろすような形で、銀は男の顔を睨みつけていた。

 すると男は銀の顔に向けて何かのスプレーを吹きかけた。


「何しやが…る……………」


 銀は、顔に何かを吹きかけられると直ぐに意識を失い、その男に寄りかかるように倒れた。


 「他所でゆっくりと話を聞いてやるよ。ケッ、ケ」


 男はそのまま銀を背負うようにして病院の裏手の駐車場へと向かって歩き出した。


「クッソ、バカでかい図体しやがって!」


 そこへ病院の夜間通用口から翔とユッキーが外へ出てきた。


「あれ、何すっかね?」


 ユッキーが銀を背負った男に気づいたが、灯りがなく、その二人の後ろ姿は人の影のようにしか見えなかった。


「あーん、何だ? なんか誰かを背負ってるみたいだな。病院だからな病人でも背負ってるんじゃないか?」


 翔はそう言ってユッキーと病院正面の銀のところへ向かった。


「あれ? 銀、いねぇなぁ。コンビニでも行ったか?」


 そこには銀と翔のバイクしかなかった。

 そこへ音も立てずに猛スピードで病院内へ入ってくるシスルと黒狼が現れた。


「翔、銀はどうした?」


 黒狼はシスルのバイクを降りて、銀の所在を確かめた。


「いや、銀にユッキーをそっと連れ出してくるように頼まれて連れてきたんすよ。銀がここで黒狼が来るのを待つって言ってたんすが…」


 シスルは、病院の陰に消えようとする人影に目をやった。


「黒狼、銀が攫われた」


「何っ!」


「今から助けてくる。病院の裏手だ」


 シスルは、全身黒尽くめになり、その場から姿を消した。

 翔とユッキーは、その光景を目を丸くして、驚く声すら出せなかった。


「翔、ユッキー、俺らも行くぞ!」


 黒狼は、二人に呼びかけると病院裏手へ走り出した。翔とユッキーは、黒狼に返事を返すこともできず、黒狼が走り出したので、その後について走った。



トン、トン


 男は銀をワンボックスの後部ドアから車の中に押し込めようとしているところをその背中を突かれた。


「何してんの?」


 シスルは、可愛らしい声で男に尋ねた。


「な! 何なんだ。テメェ」


 男が振り返るとそこには、音もなく、気配も感じられずにいつの間にか立っている黒尽くめのシスルに驚いた。そしてシスルの目元のマスクとヘッドセットを残してその黒い物がシスルの体の中に消えていった。


 男はそこに立っているものが、何なのか分からないまま、シスルのジャケットを掴み捩じ伏せようとするがびくともいない。


「ナナナ、何!」


 どう見ても男より小柄なシスルを簡単に捩じ伏せられるという思い込みと現実が理解できないでいた。


「お前は誰だ。名前を言え」


 シスルは、先ほどの可愛らしい声とは打って変わって冷たい命令口調で男の名を尋ねた。


「名前は、嶺屋」


 男は自分が何を言ってるのか理解できないまま答えた。


「何言ってんだ? 俺?」


「お前は、デビルスターの我聞と仲間か?」


「ああ、そうだ」


 そこへ黒狼と翔、ユッキーが走ってきた。


「シスル、大丈夫か? 銀は?」


 黒狼は、シスルと男に近づくとシスルと銀の身の安全を確認した。


「ああ、大丈夫だ」


 シスルがそう言って黒狼の方へ振り返ると、嶺屋と名乗る男はその隙を突いて、シスルに回し蹴りを入れた。


「…?」


 全くびくともしない。それを見て何度も蹴りを入れるが全く効いている様子はなかった。


「何しやがんだ!テメェ!」


 黒狼は、シスルに蹴りを入れるのを見て怒った。

 黒狼の側に立つ翔とユッキーは、目に見る事実と実際の現実が噛み合っていないことに全く理解が追いつかなかった。ただ其処に立ち竦むだけしか出来ないでいた。


「黒狼、ちょっと待て、今からコイツから色々と聞き出すから」


 そう言ってシスルは、嶺屋の方へ振り向こうとした時、男はジャケットの内側から拳銃を抜き、銀の方へ向けた。


「おい! コイツ死んじゃうよ!ケッ、ケ」


「止めろ」


 嶺屋がしめしめと言う顔でシスルを脅すとすかさずシスルが嶺屋に止めるよう命じて、銀に向けた拳銃へ手を伸ばそうとした。


「良いんか? コラッ!」


 シスルは、ゆっくり嶺屋に近づき拳銃を取り上げ、そのままシスルのジャケットの懐にしまった。


「え? えっ? ええっ!」


 嶺屋は、身動き出来なかった。しかし口だけはシスルからの命令が無ければ自由のようだ。


「テメェ! 何しやがったんだ!」


「さあ、続きを始めよう」


 シスルがそう言うと嶺屋の身体の縛りが解けた。嶺屋ももうその異常さに抵抗する気が失せてしまっていた。


「デビルスターとは、どう言う組織か答えろ」


「デビルスターは、セブンシールの下部組織で、実行部隊だ」

「テ、テ、テメェ! 何言わしやがんだ!」


「具体的に実行内容を言え」


「主に麻薬の密売、武器の販売、クーデターやテロ支援だ」

「テメェ、止めろ! …こ、殺される!」


「人身売買はしてないのか?」


「セブンシールから依頼が有れば、誘拐犯から買い受けて、引渡している」

「お、お、お、おい! 本当に止めてくれ! ゲロったら、お終いだ!」


「デビルスターは、何人いるんだ」


「四人だ」

「………………」


「持ってる携帯を出せ」


「クッ、クッ、ク、クソーーー!」


 嶺屋は、自分のポケットから携帯を取り出してシスルに手渡した。

 シスルはそれを受け取るとジャケットの懐に入れた。そして黒狼の方を振り向いた。


「黒狼、警察が来る。ここから出る用意をした方がいい」


「よし、分かった」


「コイツ何か口に入れましたよ!」


 翔が後ろの嶺屋の動作に気づいてそう言うと、嶺屋は白目をむいて地面に倒れた。


「そいつはもう放っておけ」


「黒狼、銀を頼む」


「ああ、任せろ」


 黒狼は、銀を背負ってバイクの所へ戻った。翔とユッキーも何もかもその一部始終に唖然とした表情で戻っていった。



 黒狼は銀のバイクの後ろに銀を乗せて、黒狼の運転で帰る用意をした。

 翔とユッキーは呆然として見ているだけだった。


「翔、ユッキー、お前らも帰るぞ!」


 黒狼がそう言うと翔とユッキーはただそれに従うしかなく、自分のバイクに跨った。


 三台が出発しようとした時、シスルが音もなく突然姿を現した。そして


「ちょっと待て。ここで今起こったことは全て忘れろ」


 シスルは、そう言って翔とユッキーの記憶を消した。


「………」


 翔とユッキーは、シスルの言葉の後、自分が何故バイクに跨っているのか理解できないでいた。


「黒狼、大丈夫か? 私が銀を乗せて行こうか?」


「いや、大丈夫だ」


「それでは、私は後から別にドライブインへ行く」


「じゃあ、皆んなドライブインに集合。いいな!」


「う? う、うっす!」


 翔とユッキーは、何が何だかわからないまま黒狼の指示に返事をしたのだった。


 そう言って黒狼達は病院を後にした。そして暫くすると一台のパトカーが回転灯を回しながら病院に入ってきた。パトカーは、そのまま病院の裏手にある駐車場へと向かった。


 病院裏手の駐車場には、一台のワンボックスカーの後部ドアが開き、中には嶺屋の遺体が転がっているのが発見された。


 そこには、シスルの姿はどこにもなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る