第12話 強く

赤丸がついた日にちに罰をつけた。




 二週間がたったが、私は相変わらず独りぼっちでいた。りりかの嫌がらせは、いじめへと変わりつつある。




 受験のイライラが高まりつつあるのと、今回の私のテストの結果がいつもよりずいぶんとよかったせいもあるだろう。


数学がずいぶん悪かったにも関わらず、不動の一位を誇る亀山君にまで迫る勢いだった。中でもコミュニケーション英語と英語表現はどちらとも百点であった。




テストを返すときに、英語の担当である亀山先生に「がんばったな」と褒められた。受験を見据え、今まで以上に力を入れた結果が出て、私はほっとした。と、同時に、亀山先生はりりかのお気に入りな先生の一人で嫌な予感を覚えた。




その予感は的中し、その日のお弁当はトイレの餌となっていた。




 私に告白してきた吉田君はというと、りりかに何か吹き込まれたのか、私を明らかに遠ざけるようになった。




どうせ、ゆあは誰とでもヤリまくっているとか、誰かの彼氏を取ったとか(全部向こうの方が告白してきて、私は全部断った)、化粧を落とせばかなりのブスとかあることないこと吉田君に言ったたのだろう。




私を見る目は、侮蔑の意を含んでいる。代わりにりりかと親密になっていた。もしかしたら、もう付き合っているのかもしれない。




 私はこの数日間で、「りりかとは、卒業したら合わない。どうせ、卒業までの関係だ。だから、クラスの立ち位置を気にするよりも、今後の人生のために勉強に没頭することのほうが有意義である」という考えをだした。




 私はりりかのいじめに動じず、ただ机に向かって勉強をした。




経験上、いじめは反応したら負けだと知っていた。いじめる側が余計、嬉しがるだけだ。ねちねちとした視線も、「裏切者」「死ね」「ぶす」「臭い」といった悪口にも意を介さず、ひたすら大学受験のために手を動かした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る