一年目 ハル(三)
食事を終えて手伝う間もなくテキパキと片付けをするマヒロを木陰から見ていてミヨは落ち込んだ。
正確に手伝ったけれどミヨはマヒロ程テキパキと完璧には出来ずに、マヒロに気を使わせてしまった。
「気にしなくていいんだよ、ミヨはできることを頑張ったんだからさ」
とマヒロは言ってくれはしたもののミヨは気にしてしまい罪悪感と自己嫌悪に陥っていたのだ。
「(……マヒロにこんなに尽くしてもらっているのに、私……何も返せてない。何もして上げられない……。)」
ミヨの心の奥で普段沈んでいる暗く濁った感情に、ドロリ…と音を立てて引き込まれ、呑まれた。
ミヨの脳裏に時折流れるぼやけてザラついたはっきりとしない映像が流れこむ……
——……
それはどこか知らない場所、騒がしい耳に重く響く機械音。顔がぼやけた知らない人がミヨに大きな声で言うのだ。
「ミヨ! あんたはこん…でき……! だか……、おま………なん…!」
ミヨは頭がガンガンと痛み、息もできず窒息しそうになっていた。胃がキリキリと痛むのを感じた。
「(……嫌! ……痛い、痛い、いたい、イタイ)」
知らない人の金切り声が響く、響く、ひびく、ヒビ……。
「……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなサイ……」
私ってなんでこんなに……
——……チリン
鈴の音が響く、全てを流し去る。温かい光が、手がミヨを引き上げる。光の元へ………。
——……ヨ
声がする、温かくて優しくて……
——……ミヨ!!
開けた視界には……水のような澄んだ宝石のように綺麗な【水色】の瞳があった。
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