第4話 初めて攻撃魔法と違和感






辺りは木々で生い茂り、月の灯りさえ遮る。

1メートル先も見渡せない魔の森の前で、私は『漫画』の最終ページを開く。


今日は満月であり、森に入る前の開けた場所であれば視界はある程度確保できる。




最終ページには、魔法の種類が記載されており、きっと神マリーからのプレゼントだと思っている。





『ライト』





聖属性魔法の初歩、ライトを発動すると辺りが光に照らさせれた。






『サーチ』






続いて空間属性魔法のサーチを発動すると、魔物のいる方角、数、あらゆる情報が視覚的に捉えることができた。


前世で剣士として生きていた時は、相手の殺気、気配を感じていたのだが、魔法では客観的に捉えることができる。



便利なものだ。





その他、今日試したい魔法を確認し終えると、『漫画』が片手を使えなくする荷物に変わった。


辺境伯邸から魔の森へは私が走れば10分もかからないため、剣以外、荷物になりそうな鞄は持ってきていない。






「漫画をどうするべきか。ここに置いて行くか」




地面に『漫画』を置こうと屈むと、開いていた最終ページに【空間収納】の文字が見えた。


説明書きでは、荷物や食べ物を魔法で空間を作り、収納できると記載されている。

しかも、空間収納では時間が停止せているため、食材を腐らせることもないらしい。




早速、【空間収納】を使うと、あっさりと『漫画』を収納することができた。






「はぁ〜。魔法とは、本当に便利なのだな」




1人、誰もいない場所で呟くと、魔の森へと足を踏み入れた。



今の体は12歳であり、前世と同じように剣が振るえるのか試してもいないが、自分でも驚くほど落ち着いていた。


同時に血が騒ぎ、気持ちが高揚しているのが分かった。






ザンッ






腰に下げた剣を瞬時に抜くと、迷うことやく横一閃、振り抜いた。



角を生やした体調3メートルほどの熊のような魔物は、自身が切られたことに気づかず、声を上げる前に首が落とされていた。





「うむ。体格差はあるが、技術は鈍っていないようだな」







同じ熊の魔物が5体、私に向かって襲いかかってくる。





「今度は、魔法を試すか」





右手に魔力を集め出すと、一気に手を横に振る。







【アイス・ソイル】







地面が瞬く間に凍り、熊の足は30センチほど氷に埋もれて身動きが取れなくなる。







【アイス・スピア】






動けなくなった熊に向けて氷で作られた槍が5発発射されると、頭部を貫き、熊達は生き絶えた。





私は辺りを見回す。


【サーチ】で魔物の位置は把握しているが、現段階では人を察知できるのかは分からない。


辺りに人がいないことを確認した私は、両手で拳を作り、頭上に突き上げた。






「魔法、すっごい!!なんて、すっごいんだ!!あぁ〜、憧れの魔法が使えるなんて、もう〜、信じられん」





魔の森の中で、私は1人、歓喜した。

前世でどれだけ努力しても使えなかった魔法が、こうも容易く使えるとは・・・。



加護とスキルの恩恵ありきで、今世で大した努力もしないまま使えることに対して何も感じないのか?そう問う人もいるかもしれかい。



私は胸を張って答えるだろう。





何も感じない、と。




努力は前世で死ぬほどしたのだ。

今はただ、魔法が使える喜びに浸る。






「ふはははは!!」





まるで魔王のような不気味な笑いを森の中に響かせ、私は魔物を狩り続けた。








2時間ほどで、数百体は倒しただろうか。

時刻は深夜3時。




「今日はここまでとするか」




最後に討伐した魔物を【空間収納】に入れる。

討伐した魔物をそのままにするのは良くないだろうと、全て回収した。






「それにしても、最後に倒した魔物は、前世にもいたシルバー・ウルフ。ランクAと高ランクだった魔物・・・」





別に問題なく倒せた。

だが、違和感が残った。





「どう見積もっても、ランクS相当だった」





前世で戦ったシルバー・ウルフより間違いなく強かった。

これは単純に世界の違いなのか、もしくは神のマリーが話していたことなのか・・・。






転移前、神のマリーと話した時、3つの話をされた。






1つ目は


この国、ライアスノード王国を見捨てること




2つ目は



禁忌の話




3つ目が


魔物のサブリメーション化







魔物のサブリメーション化、簡単に言えば魔物が強化される現象だ。

数百年に一度、魔の森に広がる魔素粒子が活性化される。


それだけなら何も起こらないが、二つ目の『禁忌の話』が重なり、魔物のサブリメーション化が発生した。と、私は聞いたのだ。






一抹な不安を抱きながらも、その日から3日間、私は討伐は続け、お茶会用の料理の練習もした。









そして、お茶会当日を迎えたのだった。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



名前:アルネミナ・ドゥーエ・サラビア

年齢:12歳


ライアスノード王国・サラビア 辺境伯令嬢



Lv1 →Lv75

HP:1,200 →15,000

MP:10,500 →80,600

攻撃:2,800 →32,800

防御:1,600 →21,600

魔力:5,000 →105,000




『加護』

 ・神の遣い

 ・魔法の才

 

『スキル』

 ・魔法全種類創生

 ・料理スキル



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




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