POWER is stronger than MAGIC

蒼雪 玲楓

筋肉の有用性

ここは魔法、と呼ばれるものが存在する世界。

人の価値はその人が持つ魔力の量と、それを操る資質で決まるとさえ言われている。

つまり、魔法を扱う力量が低いほど無能の烙印を押されるということになる。


よく、魔法職は近寄って倒せばいいとイメージするかもしれないがそれは少し話が違う。

たしかに近寄れれば可能かもしれない。

、だ。


まず、だ。上位の魔法が扱える者ほどその手札の数が多い。

単純な遠距離系の魔法の種類が多い上に近距離用の魔法、身体能力向上の魔法、挙げていけばキリのないくらいにその種類は多い。

一般的なイメージを実現するのであればこの多種多様な魔法を攻略するという前提が存在する。

しかし、その攻略にも回復魔法や本人の肉体補助の魔法も必須となる


だから、結局のところは魔法の腕がその者の実力である。

それがこの世界の一般認識だ。


そう、あくまでも認識である。



その一般認識に喧嘩を売るような教義を掲げる集団があった。

その集団の教義はこのようなものだ。


『魔法は筋肉に劣る。鍛えられた筋肉の前ではどれだけ魔法を研鑽しようとも無意味なのだ』


これが普通の宗教団体であれば神か何かを信奉しているのだろうが、この集団はそこのところも一般的ではない。

彼らが信奉するものはただ一つ。

鍛えられた己の筋肉肉体のみ。


対魔法を筋肉でどうするのか

【 Q. 遠距離からの魔法はどうするのか

A. 見えてから避ければいい。瞬時の判断に反応できる筋肉があれば問題ない


Q.誘導型だった場合はどうするのか

A. 追いつかれるより早く動けばいい。狙いを付ける魔法も狙われないくらいの速度で動けばいい


Q.でも結局近づけないなら意味がないんじゃ?

A.誰が近づけないと決めた。避けながら近づけばいいだけではないか


Q.魔法は遠距離だけではないんですよ?

A.何が来ようとも当たらなければいい。あとは近づいて一撃当てればいいのだ 】


とまあ、解決方法も脳筋と言わざるを得ないものなのだが困ったことに最近実績を上げているのだから余計に目立ってしまっている。

誰かが国のトップに近い最強魔法使いに果たし状を物理的にたたきつけたという噂もどこかから流れてくる。


これは、魔法の世界とその常識を文字通りその筋肉でねじ伏せた集団の物語。

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